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かさぶたをはがすのはヤメテ!【隠された心理や病気も理解しておこう】

<監修臨床心理士 鈴木崇弘>
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傷跡をおおうかさぶた、「はがしてはいけない」と思えば思うほど気になって、結局はがす、という方、けっこう多いのではないでしょうか。でも、そもそもなぜかさぶたをはがしてはいけないかご存じですか?

 

今回はかさぶたの役割と、どうしてもかさぶたをはがしてしまう人に隠された心理や病気についても解説します

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かさぶたの役割

 

かさぶたの正体

赤味のかかったかさぶたを見て、「血液が固まって出来たもの」と考える方もいらっしゃるかも知れませんが、かさぶたはもっと複雑な構造をしています。

 

傷口ができるとその表面は体液・血液・膿が混合して固まったもので覆われ、かさぶたになり皮膚保護を行います。もうすこし具体的に見ていくと、傷口が出来ると血管が収縮し、血液の中の血小板という物質が栓のように血管を塞ぎだします。

 

血小板はやがて「フィブリン」という名の繊維状のタンパク質に変化します。このフィブリンが傷口をおおう蓋となり、かさぶたが出来上がります

 

また鼻の中に出来るかさぶたは、粘膜が乾燥すると些細な刺激で炎症が起こりできます。

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かさぶたの果たす役割

かさぶたは「瘡蓋」と書き、その名の通り傷口に蓋をする役目があります。なぜ傷口に蓋をする必要があるのかというと、バイ菌の侵入を防ぎ、傷口の止血を行うためです。

 

そして傷口が塞がると、かさぶたの下では新しい表皮が形成され、やがてかさぶたが自然にはがれ落ちると傷口は完全に塞がります

 

もしも自然にはがれ落ちる前にかさぶたをむしると、まだ新しい表皮が形成されていませんから再び血が出ます。そして傷口を塞ごうと、血小板がまた傷口に集まります。

 

頻繁にかさぶたをはがすと、新しい表皮を作るための物質が過剰に集まってしまい、傷口が盛り上がったように新しい皮膚が形成されてしまい見た目はケロイド状態になります。

 

一度ケロイド状態になってしまった傷口は、かさぶたの下から新しい表皮が形成されるよりはるかに多くの時間がかかってしまいます。また無理矢理にはがしたかさぶたの跡は色素沈着を起こしやすいので、顔にかさぶたが出来た場合はよりケアに注意が必要です。

 

かさぶたのある傷口を治す方法

まずはかさぶたが出来る前に、傷口を消毒する必要があります。かさぶたが形成されるまでにはやや時間があるので、それまではバイ菌が侵入することを留めるためには、絆創膏などで傷口を覆います。

 

これまではかさぶたが出来た場合は傷口を乾かすのが常識でしたが、最近では適度な湿度を保つ湿潤被覆法や、そもそもかさぶたを作らないように治す方法が主流になりつつあります。傷口に適度な湿度を与えることで、つっぱり感をなくすこともできます。

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また、顔にかさぶたが出来ると化粧で隠してしまおうとしがちですが、化粧の刺激でかさぶたはなかなか治りません。かさぶたが顔に出来たら化粧は控えた方が治りは早くなります

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なぜかさぶたをはがしちゃうの?

 

かさぶたをはがす行為には、心理的な問題が背景にあります。どうしてかさぶたをはがすのか、その理由について解説します。

 

かゆみ

傷口ができた当初は痛みを感じますが、かさぶたができることで痛みは緩和されます。しかししばらくすると、かさぶたに痒みのようなものを感じます。

 

これは痛みを感じる神経回路と「かゆい」と感じる神経回路が同じ事に起因します。治りかけたサインとして、痛みではなくかゆみを感じるのです

 

爽快感

かさぶたができると、どうしても異物感が肌にまとわりつきます。そのためかさぶたをはがすと、一時的には爽快感を味わうことが出来ます。

 

特に鼻に出来たできものやニキビの跡のかさぶたをはがすと一緒に角栓や芯(脂肪)も取れ、その爽快感がたまらないという人もいます。とはいえあくまで一時的な物で、爽快感の後には痛みや不快感がもどってきますので、根本的な解決にはなりません

 

自傷行為

自傷行為と聞くと、リストカットや自分の毛をむしるといった行動を思い浮かべます。しかし「かさぶたをはがす」という行為も自分の身体を自分で傷つける行為です。なぜこのような自傷行為に及ぶのかというと、「不快感」が根本にあると考えられます。

 

自分の心にわだかまりがあると、かさぶたをはがすことで爽快感を得ることが出来るので、鬱屈した気持ちを紛らわせるためにかさぶたをはがす行為に及んでしまいます

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ストレス解消

ストレスが溜まってしまうと、人は無意識にストレス発散の行動をとるものです。人によってその方法はまちまちで、カラオケに行ったりスポーツに打ち込んだり、美味しいものを食べる人もいます。

 

そして中には、かさぶたをはがすことでストレス解消にする人もいます。もやもやした気持ちの捌け口を求めて、かさぶたを剥がしてしまうのです

 

かさぶたができると、はがしてしまうのが癖になっている人もいます。その心理としては、「通常は存在しないものを除去したい」あるいは「この下がどうなっているのか目で見て確認したい」というものがあります。

 

気になって仕方がないですが、癖になると強制するのも一苦労ですから、なるべくくせにしないように努力した方がいいでしょう

 

八つ当たり

イライラしたり、思い通りに行かないことがあると、無意識に物を乱雑に扱ったり、家族や他人に怒鳴り散らしたりして気を紛らわせることがあります。

 

しかし人や物に八つ当たりするのが精神的に負担になってしまう場合は、かさぶたをはがすことで八つ当たりをすることがあります

「他人に迷惑をかけたくない、でもこのイライラをどこかで発散したい」という気持ちの表れです。

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かさぶたをはがすのは5つ危険性がある

 

感染症

かさぶたをはがすとバイ菌が侵入しやすくなり、感染症にかかりやすくなります。特に虫さされのあとを頻繁に掻きむしりかさぶたをはがしつづけると、「伝染性膿痂疹」いわゆるとびひを発症する可能性が高くなります。

 

とびひになると、水泡のような帯状疱疹が全身にでき、掻きむしる度に菌が伝播して水ぶくれのような湿疹が広がり、なかなか治らなくなってしまいます

とびひの治療方法についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
とびひの治療期間はどれ位?この方法ですぐに治る!

 

接触性皮膚炎

皮膚と愛情の悪いシャンプーやリンスを使用し続けたり、シャンプーやリンスを洗い流す行為が不十分だと頭部に接触性皮膚炎を発症します。

 

赤い湿疹や、水泡のような湿疹ができ、痒みに耐えかねかきむしるとかさぶたができます。このかさぶたを無理矢理はがすと、傷口にシャンプーやリンスが直接に接触し、なかなか治らなくなります。治療のためにはステロイド系の塗り薬や抗ヒスタミン薬の服用が効果的です。

 

脂漏性皮膚炎

フケなど大量に分泌される脂が原因となり、頭部に痒みが出ます。そしてかゆみに耐えきれずにかきむしるとかさぶたができ、悪化すると脱毛が起きる脂漏性脱毛症にかかります。

 

赤ちゃんの頃からかかりやすい病気ですが、赤ちゃんの場合は毛穴がまだ未発達で脂が詰まりやすく発症する病気です。

 

成人の場合は、マラセチアという真菌が大量に発生した脂をエサに大量発生するのが原因の一つです。そのため臭い異臭を放つこともあります。

 

慢性化すると治りにくくなるので、早めに皮膚科で診察を受けた方が治りやすくなります

 

アトピー

アトピー性皮膚炎を発症すると、肌に猛烈な痒みを感じます。その結果、肌を掻きむしってしまい出血し、かさぶたが出来ます。そしてかさぶたの感触にも耐えきれず絶えずかきむしってしまうのです。

 

悪化するとかさぶたが出来る間もなくかきむしり続けてしまい、体液が絶えず皮膚の表面をぐじゅぐじゅと濡らす事になります。当然、他人からの見た目も気になりますし、感染症の恐れもあります。

 

また精神的にも不安定になってしまいますので、早い段階でアトピー外来で診察と治療を受けましょう

 

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスはウイルスに感染することで発症します。くちびるにできた口唇ヘルペス由来のかさぶたそのものには、感染力はありません。しかしくちびるの裏側にまだ口唇ヘルペス特有のぷつぷつがある場合は、まだ完治していません。

 

かさぶたを無理に剥がすと、治りかけている口唇ヘルペスの症状が広範囲に広がる可能性があります

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かさぶたを作らず傷をなおす方法

 

どうしてもかさぶたが気になる場合、「かさぶたを作らずに傷を治す」という方法もあります。どうすればかさぶたを作らずに、肉芽をおさえ、かつ傷口を治せるのでしょうか。その方法をご紹介します。

 

湿潤療法

従来の傷の治し方は「傷口をよく乾燥させる」という方法でしたが、最近は傷口に適度な湿度を与える方法が注目されています。どのような方法で治すかというと、次のステップが必要になります

1.水道水で傷口を洗浄する

2.傷口の止血を行う

3.傷口に市販の湿潤療法(モイストヒーリング)用の絆創膏を貼る

簡単ですが、注意点がいくつかあります。

 

まず、出血量が多く、ティッシュなどで拭き取っても拭き取っても傷口から血が出る場合は適しません。また、すでにかさぶたが出来てしまっている状態や、消毒液や軟膏を使うと効果がありません。入浴後や絆創膏に体液が滲んだ場合は絆創膏を貼り替えます。

 

なおすぐに湿潤療法用の絆創膏が手に入らなかった場合は、緊急手段としてラップで傷口を覆うという手段もあります。ただし緊急時の対処方法なので、湿潤療法用の絆創膏が手に入ったら、すぐに張り替えて下さい。

 

ワセリン

乾燥対策に使用されるイメージのあるワセリンですが、実は止血にも効果があります。擦り傷程度の傷口であれば、よく水道水で雑菌を洗い流した後、傷口にワセリンを塗ります。

 

すると適度に保湿され、かさぶたを作ることなく傷口を治すことができます。傷跡も残りません。さらにラップを張っておくと、保湿度アップです。ただし頭の傷口や激しい出血を伴う傷口には不向きなので注意が必要です

 

かさぶたをはがす危険性とその心理、はがすことで発症の恐れのある病気についてご紹介しました。分かっているけれどやめられないという方は、心理的に何か別の問題を抱えている可能性もあります。

 

傷跡を残さないようにするためにも、ストレス解消には別の方法を見つけましょう

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