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腎機能低下の3つの原因!【この症状に注意して!】

<監修医師 吉野 聖奈>
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腎臓というと尿を作る器官というイメージですが、実はそれ以外にも重要な役割をたくさん担っています。腎臓は一度不調を起こすと、元の健康な状態に戻すことは難しくなってしまいます。

さらに気づかないうちに悪化して人工透析や腎移植が必要になってしまうことも。

 

今日はそんな腎機能低下の原因と、腎臓病の恐ろしさについての知識を増やしていただけたら幸いです。

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腎臓について

 

腎臓の構造

腎臓は横隔膜の下、どちらかというと背中側にあります。大きさは握りこぶしくらいで、ソラマメのような形。背骨を挟んで左右に1つずつあります。

腎臓には、静脈と動脈の2本の太い血管が繋がっています。この2本の血管から毎分1リットルもの血液が腎臓へと送られ、血中の老廃物をろ過して尿を作り出しています。

 

血管が繋がる腎臓の根元には「腎盂」と呼ばれる部分があり、そこからボーマン嚢という袋状の器官が伸びています。ボーマン嚢の中には細小血管の集まりである「糸球体」があり、ここで“尿の元”を作り出します。

 

糸球体で作られた尿の元はそのまま腎盂に溜められます。腎盂で最終的な尿になると、膀胱へと延びる尿管へと流れ、体外へと排出されるのです。

尿の元を作り出す糸球体と尿細管はセットで「ネフロン」と呼ばれています。このネフロンは腎臓1つの中に、なんと100万個も入っています。

しかし逆に数が多いため、そのネフロンが一部壊れても気づかないことが多く、知らない間に慢性腎不全に陥っていることがあります。ネフロンは1度壊れると元に戻ることはありません。

 

腎臓は本来、1つだけでも十分に私たちの身体を支えてくれるだけの機能を備えています。そのため腎移植で1つ提供することも可能なのです。

【関連記事】
腎臓の位置はココ!【腎機能低下の4つの原因や症状をチェック】

 

腎臓の役割

腎臓の役割と聞いて、一番に思い浮かぶのは尿を作るということではないでしょうか。

血液に含まれるたんぱく質は、分解すると7~8割は尿素窒素やクレアチンといった老廃物になります。この老廃物を血液中からろ過して、尿を作り出して体外へと排泄する。これが腎臓の主な役割です。

 

しかし腎臓の役割はそれだけではありません。血液をろ過して老廃物を排出することによって、体内の水分や電解質のバランスを調整すること。またホルモンを作り出す役割も持っています。

 

腎臓で作られるホルモンには、血圧を調整する働きを持つものと、赤血球の生成を促すものがあります。尿を作る以外にも、体内の様々な機能を守る役割を担っていることがわかりますね。

これらの働きを持つ腎臓の機能が低下すると、血液のろ過が出来なくなり、老廃物やアンモニアなどの有害物質が体内に蓄積され、腎不全を始めとする様々な腎機能障害を引き起こします

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腎機能が低下すると出る症状

 

尿の変化

腎機能が低下した時のサインとして、まず挙げられるのが尿の変化です。

正常な尿は、濁りのない黄色で、疲れた時や運動した後には少し濃い色になります。この状態を普段からしっかり確認しておき、腎機能が低下した時の異変にすぐ気付けるようにしておきましょう。

 

腎機能が低下している時に出る尿には大きく2つあります。

「蛋白尿」濁りや泡立ちが特徴です。腎臓のろ過機能の低下により、たんぱく質が尿に交じって排出されているため起こります。ただし運動した後や高熱を出した時にも蛋白尿が出ることはあるので、その点を覚えておきましょう。

 

「血尿」尿に血が混じるもの。褐色や赤色をしています。これは赤血球が尿に交じって排出されているために起こります。

血尿には腎臓がんを始め、急性腎炎などの重大な病気が隠れているサインであることが多いため、見逃さないように注意しましょう。

 

また腎機能が低下しているとトイレに行く回数が増加します。普通は3~10回程度。もしそれよりも多いようなら頻尿の疑いがあります。

尿の量にも注意です。腎機能が低下することにより、尿量が増える「多尿」になりますが、それから進行すると逆に量が少なくなる「乏尿」になります。

さらに悪化すると全く尿が出ない「無尿」にまでなることも。いつもより尿の量が多いと感じる時は、少し気にしてみてください。

 

尿のことで気になることがあった場合、ドラッグストアなどで市販の尿検査キットを手に入れることができるため、それを使うのも良いでしょう。

ただしキットは目安です。もし検査結果に異常が出ても、自分で判断せずに再度病院で尿検査を受けるようにしてください。

血尿についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。

【関連記事】
女性で血尿が出る原因!痛みなしだと危ない?

血尿が出た男性はアノ病気が原因?痛みなしだと危険なの?

 

むくみ

腎機能低下によるむくみは、主に顔や手足に現れます。靴下の跡がいつまでも残っていませんか? 脛を指で10秒ほど押して、できた凹みがいつまでも消えないようなら要注意です。

腎臓での水分調節が上手くいかず、体内に水分が溜まっていることが考えられます。また蛋白尿が出ているとむくみも現れることがあります。

 

血圧上昇

腎臓には血圧を調整する働きもあります。腎臓のろ過機能が上手くいかないと、体は血圧が下がったためだと勘違いをして、血圧を上げようとしてしまいます。

腎機能低下により高血圧となるほか、その逆で高血圧になることで腎機能に支障が出るということもあります。血圧というと心臓のイメージですが、腎臓と血圧も密接に繋がっているのです。

 

腎機能低下に伴う病気

腎機能の低下による慢性腎不全のほかにも、腎臓病は様々です。腎機能低下が1年以上続いているようなら「慢性腎不全」。対して「急性腎不全」というものもあります。

慢性腎不全は回復することがありませんが、急性腎不全の場合は早期に対処すれば回復する可能性も大きく残されています。

 

慢性腎不全になると高確率で併発するのが「高カリウム血症」です。血清中のカリウム濃度が上がることで細胞の働きを阻害し、不整脈や消化器症状などの重い症状が発現します。

 

また腎盂が細菌に感染することで起こる「腎盂炎」も慢性腎不全の場合、注意しなくてはいけない疾患です。悪寒や高熱から始まり、膀胱炎を併発することもあります。

 

他にも蛋白尿の状態が酷くなることで起こる「ネフローゼ症候群」や、腎臓内に石ができる「腎臓結石」など、腎機能の低下によって発症する可能性のある疾患はたくさんあります。

 

尿毒症

腎臓のろ過機能が低下すると、血液中に老廃物や有害物質が溜まっていきます。この状態が続くと尿毒症という、いわゆる末期の腎不全へと進行します。尿毒症の症状は以下の通り。

 

✅ 全身の倦怠感・疲労感

✅ 食欲不振

✅ 嘔吐・吐き気

✅ 高血圧

✅ 呼吸が苦しい

✅ 睡眠障害

また、腎臓が作るエリスロポエチンという赤血球の生成を促すホルモンが減少することにより、貧血が起こることもあります。これらの症状を放置すると、最終的に意識朦朧、昏睡状態になってしまいます

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腎機能が低下する原因

 

高血圧

腎臓と切っても切れない関係にある血圧の問題。これには様々な要因が関係しています。腎臓には血中の電解質のバランスを保つ役割があります。

しかし腎機能が低下するとナトリウム(塩分)と水分の調整が上手くいかなくなり、体内に溜まってしまいます。その結果、血液量が増え血圧が上がってしまうのです。

 

他にも腎臓では血圧を下げるホルモンも作っています。そのホルモン量が少なくなれば、必然的に血圧も上がってしまいますね。

高血圧になると血管に負担がかかり、余計に腎機能低下に繋がるという悪循環に陥ります。基本的に回復することのない腎臓を守るためにも血圧管理には気を付けたいところです。

 

糖尿病

腎臓病の一つに「糖尿病性腎症」というものがあります。糖尿病により血糖値が上昇すると、血中の糖分も増え、その処理に腎臓が追われてしまい負担が蓄積します。

糖尿病性腎症は、そんな糖尿病による起こる可能性の高い合併症となっています。実は糖尿病は特に気を付けなくてはいけない病気。

 

人工透析を受けることになる原因第1位が糖尿病だと言われています。糖尿病の人は、人工透析や腎移植が必要となる末期腎不全に進行しやすいため、血糖値管理を始め、糖尿病治療にはしっかり向き合わなくてはいけません。

ただし糖尿病性腎症の初期症状は、とてもわかりにくくなっています。早期発見には定期的に検査を受けることが効果的。

以下の2つの検査で腎機能の低下が予測できるので、糖尿病の人は必ず定期的な検査を受けましょう。

 

✅ 尿検査:尿中のアルブミン(たんぱく質の一つ)量で判断。

 血液検査:血中のクレアチニン(老廃物の一つ)量で判断。

 

血液検査についてはこちらも参考にして下さい。

【関連記事】
血液検査のwbcとは?【正常値でない場合に起こる疾患に注意】

 

肥満

メタボリックシンドロームという言葉も随分と浸透してきました。メタボというと肥満というイメージですが、その中には「高血圧」「高血糖」「脂質異常」といった重大な病気が付随しています。

 

食べすぎや運動不足による内臓脂肪の蓄積に加え、それらの病気のうち2つ以上が認められて初めてメタボリックシンドロームと名付けられるのです。

メタボリックシンドロームは慢性腎不全になりやすい要因をたくさん備えています。ほかにも心臓病や血管障害などになる危険性も高まるため、肥満は早くから改善する必要があります。

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腎臓に良い生活習慣とは

 

食生活

腎臓病の場合、病院で食事指導を受けることが多いと思います。腎臓病といってもその症状によって病院からの指示が変わってくるため、自己判断ではなく必ず病院から言われたことを守った食生活を心がけるようにしてください。

 

一般的に腎臓病において控えたほうが良いとされているものは以下の通りです。

 たんぱく質:分解されると7~8割が老廃物になるため腎臓の負担が増えてしまいます。

✅ 塩分:高血圧の大敵です。ナトリウムの排泄機能が低下していると腎臓の負担が増加します。

✅ 脂質:メタボの原因になるほか、動脈硬化を起こしやすくなります。

✅ カリウム:高カリウム血症の人は要注意。海藻類や果物には特に多く含まれています。

✅ リン:腎機能が低下した人の中にはリン値が高い人もいます。

 水分:むくみが出ている人は適度に控えるよう指導されることもあります。

他に気を付けたいこと

飲酒喫煙も慢性腎不全の危険因子になります。お酒は程々に楽しみましょう。

過労やストレス、不規則な生活は血圧上昇を始め、様々な症状を引き起こす要因となってしまいます。適度な休息やストレス解消、睡眠時間の確保を心がけましょう。

【関連記事】
質の良い睡眠をとる方法を解説!寝れない原因をチェック!

 

また適度な運動も大切です。メタボ予防や血行改善のために、まずはウォーキングから始めてみてはいかがでしょう。その際はきちんと水分補給を。水分を取ることで尿を出しやすくして循環を良くします。

トイレに行きたくなったら我慢しないこと、これもまた腎臓の負担を軽くしてくれます。

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