腎臓のう胞・石灰化の5つの原因や症状!【癌かもしれない?】
<監修医師 Dr.masa>
体の中にある臓器のうちでも腎臓はかなりたくさんの役割を持っています。腎臓の主な働きは血液中の老廃物をろ過して水分と共に尿として排出するというものですね。
他にも血圧などを調整するホルモンの分泌や血液の酸度調整など様々です。その腎臓の病気に「腎臓のう胞」というものがあるのをご存知ですか?
のう胞というなら袋状に何かができるのだろうと察しは付きますが、いったん機能を失うと再生することができない腎臓に起きる腎臓のう胞。実際の症状や原因について詳しく見ていきましょう。
気になる所から確認してみよう
腎臓のう胞・石灰化ってどういうもの?
まずは腎臓のう胞とはどのようなものかというところから解説します。腎臓のう胞とは腎臓にできる球状の袋のようなもので、いわゆる「水泡(水ぶくれ)」です。
1個だけできることもありますし複数できることもあり、中には液体が入っています。無症状で無害という点が特徴ですが、無害とは言いつつも一部では悪性腫瘍を併発したりします。
また、複数個できることで腎臓の機能が低下してしまうという状態もあります。
無症状ならいつどうして発見できるのかと疑問がわきますが、発見はほとんどが偶然です。たまたま人間ドックでエコーやCT検査をした場合、偶然に発見されるということがあります。
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また、なぜ起きるのかという点では原因ははっきりとはしていないものの一部では加齢現象ではないかとも言われ、男女比では男性に多いとも言われています。
この腎臓のう胞は経過観察が主流ですが、なかには石灰化したりのう胞中に壁が出来たりすることがあります。この場合は悪性の可能性も出てくるため注意する必要が出てきます。
のう胞と聞くとちょっとポリープと混同してしまいそうです。ポリープは上皮の細胞にできる良性の腫瘤、のう胞も腫瘤ではありますが中身がリンパ性の液体という点が違います。
腎臓のう胞とよく似た名前の疾患に「多房性腎のう胞」というものがあります。これは隔壁を有する単純性のう胞と説明できますが、平たく言うとたくさんののう胞が壁を持ちくっついてできているというものです。
ただ気をつけたいのは、多房性のう胞の場合は他と違って「壁」から悪性新生物(がん)が発見される可能性が高くなります。
腎臓のう胞の原因
腎臓のう胞の概要が分かったところで、ここでは原因を考えてみます。大まかには原因不明と言われていますが、実際はどの程度まで判明しているのでしょうか。
尿細管の閉塞
「尿細管」とは糸球体から排出された尿中の水分・電解質などの必要なものを再吸収して不要なものを尿として排出するという大切な役割があります。この尿細管が閉塞することも原因の一つと仮定されています。
腎虚血
急性腎不全などで見られます。糸球体のろ過量が少ない状態で、腎臓内の血流量が遮断されているため起こります。
髄質の間質線維化
慢性的な腎臓疾患などにより繊維化が発生することがあります。同時に慢性の炎症が起こったりすることもあります。この繊維化ものう胞性疾患の原因だと言われています。
加齢
腎臓のう胞の原因は加齢だとも言われています。これはまだ研究段階ではありますが、大きな原因かもしれません。ただ、腎臓のう胞はあくまでもほぼ良性であるということも言われています。
透析
長期間人工透析を受けていると、腎臓にのう胞が複数できることがあります。
人工透析についてはこちらを参考にして下さい。
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癌かもしれない?腎臓のう胞の症状を見極める
腎臓のう胞のほとんどが無症状であるため自覚がなく、また偶然発見されるという点を見てもなかなかどのような場合に起こっているのか見当が付きにくいですね。現在分かっている症状を解説します。
圧迫感
自覚症状として挙げられるのは圧迫感です。できているのう胞が大きい場合にはこの圧迫症状で気づくこともあります。腰の鈍い痛みを感じることもあります。
水腎症
腎盂の近くにできると水腎症を起こしやすくなります。水腎症の症状は尿が出にくくなることが知られています。尿がとどまることで腎盂が膨れて大きくなります。膨れた腎盂に腎臓が圧迫されることで腎機能障害が起こります。
水腎症自体は加齢により発生確率が高くなり、60歳代では比較的多くみられています。水腎症があると腰部の鈍い痛みが発生することが多いです。
腎機能の低下に伴う症状についてはこちらを参考にして下さい。
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血尿や胃腸障害
のう胞は通常数個までしか発生しませんが、まれに多数同時に発生することがあります。こののう胞は徐々に大きくなっていくため腎臓組織を圧迫し、血尿や胃腸障害が起きることがあります。
この時点でもまだ腎臓自体への影響はほとんどないことが多いと言われています。
出血性嚢胞
のう胞の中に血液がたまるものです。これは外傷などにより発生することが多いのですが、のう胞内腫瘍からの出血の場合もあり注意が必要です。
尿路感染症を併発したり嚢胞破裂や悪性ののう胞内腎がんが合併症となる場合もあります。
腎臓のう胞・石灰化の治療法を解説
予防不可で発見困難な腎臓のう胞・石灰化にはどのような治療法があるのでしょうか。早期発見が難しいからこそ、効果的な治療法が期待されます。
基本的には無症状で合併症を伴わない場合は治療の必要がないということになっています。
診療科は泌尿器科または腎臓内科の腎臓専門医を訪ねましょう。
外科的処置
自覚症状として腰痛や圧迫感がひどい時にはエコー化で針を刺してのう胞内の液体を排出します。
背中からの経皮的穿刺で、液体を抜いた後にはエタノールを注入して再度液体が貯留しないような処置やミノマイシン(感染症にも使われる抗生物質)で固定します。
この患部への経皮的穿刺でも再貯留してのう胞が肥大する場合は手術適応になります。のう胞を切除して電気メスで焼く「腎のう胞開窓術」という治療です。
のう胞が癌化していたり、開窓術でも繰り返しのう胞ができる場合には部分切除などが行われます。
対症療法
発症後は対症療法と合併症の治療を行うことになります。腎臓のう胞とは基本的に良性のものだとお伝えしましたが、実際検査をしてみると悪性の場合もあるのです。
のう胞が石灰化している・壁の不正があるという場合には特に注意が必要です。また腎臓のがんからのう胞が発生することもあるのです。
経過観察
のう胞内部の壁に石灰化がみられる場合には経過を観察します。壁が薄ければ特に心配はないでしょう。同じように「腎石灰化症」というものがありますが、それは炭酸カルシウムが集まり腎臓内に石ができる「腎臓結石」の前段階でのう胞ではありません。
腎臓結石についてはこちらも参考にして下さい。
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