エンシュアリキッドはお薬です【味やカロリーなど種類も詳しく解説】
体調が悪い時に食事を摂る事が、困難な場合があります。その際に使用するもので「エンシュアリキッド」という薬があります。
聞き慣れないものかもしれませんが、これは一体どんな薬なのでしょうか。今回はエンシュアリキッドについてお話していきましょう。
気になる所から確認してみよう
エンシュアリキッドとは
エンシュアリキッドは食事が摂れない際に使用する「総合栄養剤」です。
食事が摂れず、腸の消化や吸収力が低下している際の栄養管理を行う為、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく入っているものになります。
少量で高いカロリーを得る事が出来るように工夫されています。腸から直接吸収できるものになりますので、専門的には「経腸栄養剤」とも呼ばれます。
一般には経口(口から)のものとして使用する事がありますが、口からの投与が難しい場合には経管投与として鼻の穴や胃や腸に開けた穴(胃瘻、腸瘻)でチューブにより、投与する事もあります。
缶ジュースのように缶に入っているものですが、きちんとした「処方薬」になりますので、医師の処方により薬局で購入する事が可能です。
エンシュアリキッドの味やカロリー
口からも投与できるエンシュアリキッドですが、味やカロリーについてもお話していきましょう。
エンシュアリキッドの味について
エンシュアリキッドは経口でも飲みやすいように味がついています。種類も豊富で「バニラ味、コーヒー味、ストロベリー味」の3種類があります。
ちなみにエンシュアHというエンシュアリキッドと同等のものがありますが、こちらはエンシュアリキッドよりも味の種類が多く、「バニラ味、コーヒー味、バナナ味、黒糖味、メロン味、ストロベリー味」があります。
エンシュアリキッドのカロリーについて
エンシュアリキッドのカロリーは250mlの量に対して250kcalとなっています。
ちなみにエンシュアHは250mlの量に対して375kcalとなっていますので、エンシュアリキッドとエンシュアHの違いはカロリーになります。
エンシュアリキッドと他の栄養ジュースの違い
エンシュアリキッドのようにカロリーを摂取できる栄養ジュースにはカロリーメイトやメイバランスなどのような代表的なものもあります。
エンシュアリキッドとの違いをお話しすると、
1. エンシュアリキッドは薬局で処方を受ける「処方薬」である。
2. エンシュアリキッドは処方薬ですが、カロリーメイトやメイバランスは「飲料」に該当し、保険適用ではないという点が挙げられます。
エンシュアリキッドは処方薬で、医師の処方箋がなければ買う事の出来ない薬ではありますが、栄養が摂れるジュースとの差は特にありません。
保険適用なので比較的安価な値段で買う事が出来る点はメリットではないでしょうか。
エンシュアリキッドのデメリットについて
栄養も摂れて、保険適用なので比較的安価なエンシュアリキッドですが、デメリットとしては「重量」が挙げられます。
エンシュアリキッドは1缶350gと重さがあります。3缶買うと1キロ近くなってしまいますので、ジュースとしては割と重いですね。薬局から持って帰るのが大変な点がデメリットでしょう。
エンシュアリキッドの効果はコレ
エンシュアリキッドは「処方薬」と同じ扱いというお話をしましたが、どのような効果があるのでしょうか。エンシュアリキッドの効果について見ていきましょう。
エンシュアリキッドの効果について
一般的に手術後の患者の栄養保持や、長期に渡って食事を経口摂取出来ない場合に用います。
タンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどがバランスよく含まれているので、これらの栄養を効率よく吸収する事が可能になります。
その他について
エンシュアリキッドは主に術後の患者さんの栄養摂取の為と、エンシュアリキッドの添付文書にも記載がある程ですが、他にも高齢者で食事が摂りづらい方の栄養補助として用いる事もあります。
食事が摂れずに栄養状態が悪くなっているが、ジュースのようなものであれば飲みやすいという場合にも使用しているケースが多いようです。
エンシュアリキッドは下痢を引き起こしやすい
栄養を補う事ができるエンシュアリキッドですが、れっきとした処方薬になります。お薬には副作用もありますが、エンシュアリキッドにも副作用はあるのでしょうか。
エンシュアリキッドは処方薬ではありますが、あくまで栄養を補助する「飲料」ですので、大きな副作用は特に報告されていません。
しかしながら稀に報告されている副作用があるようです。主な副作用として挙げられるのが、「下痢、腹部膨満感、腹痛」です。
腸から直接栄養が吸収できるので、腸に関する副作用が多いのも納得できますね。
なぜこのような副作用が現れるのかというと、エンシュアリキッドは栄養を腸から吸収する為に浸透圧がなるべく人の体液と同じように作られています。
しかしながら、全く同じという訳ではありません。人の浸透圧が約280mOsmなのに対し、エンシュアリキッドは約330mOsmと差があります。
この浸透圧の差で、下痢などの副作用を引き起こす原因となる可能性があるのです。
このような副作用が出た場合には服用を中止するか、服用を続ける場合にはゆっくりと飲む、少し薄めて服用するなどの対処法を行ったりします。
万が一副作用が出た場合には、処方した医師に速やかに指示を仰ぐようにしましょう。
エンシュアリキッドを使えない人がいる
エンシュアリキッドには副作用もある事をお話しましたが、エンシュアリキッドを使用できない患者さんもいます。使用できないケースについてお話していきましょう。
1.牛乳アレルギーの人
エンシュアリキッドは牛乳由来の「カゼイン」というたんぱく質を元に作られています。牛乳アレルギーの方はアナフィラキシーショックを起こす可能性がある為、飲用は避けましょう。
2.妊婦さん
妊婦さんの飲用に関しては「全くダメ」という訳ではありませんが、エンシュアリキッドにはビタミンAが含まれており、ビタミンAの過剰摂取は胎児の奇形性を高める可能性がある為、万が一飲用する際には5,000IU/日未満に留めておきましょうという注意書きもあります。
奇形性が指摘される量としては、エンシュアリキッドを約8缶飲用した場合のようですが、そのようなケースはほぼ無いでしょう。
その他に
エンシュアリキッドを服用して過去に過敏症(下痢など)の症状が出た場合には使用を中止しましょう。また高齢者への投与にも慎重な判断が必要になります。
また小児への投与に関しては例が少なく、安全性が確立されていないので、子供の飲用は控えましょう。
エンシュアリキッドの標準的な薬価
エンシュアリキッドのメリットとして安価で購入できる点があります。
実際、2015年時点でのエンシュアリキッドの薬価は「10ml 6.1円」という設定がされています。エンシュアリキッドは1缶が250mlですので、250ml×6.1円=152.5円となります。
この値段であれば缶ジュースや市販の栄養補助飲料とあまり大差ない金額になりますね。
しかしながらこれは自費(10割)負担での金額に相当しますので、実際にはエンシュアリキッドは保険が適用された金額での購入が可能です。
その場合保険診療で3割負担であれば1缶45.75円、後期高齢者医療制度に該当する方(75歳以上、もしくは寝たきり等の場合であれば65歳以上)であれば1割負担になる為、1缶15.25円で購入する事が可能です。
この金額であれば、市販の栄養補助飲料よりははるかに安い金額で購入出来る事が分かりますね。
ちなみにこの「薬価」に関しては定期的に厚生労働省によって改訂される事があり、エンシュアリキッドも薬価によって金額が変動する可能性があります。
詳しい値段に関しては、処方される薬局や薬剤師に問い合わせてみる事が確実です。
栄養が摂れない場合に比較的安価な値段で手に入るエンシュアリキッドですがあくまで「処方薬」と同様になりますので、飲用したい場合にはかかりつけ医に相談の上で飲用するようにしましょう。
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