ホルネル症候群が眼瞼下垂を引き起こす【原因や症状を詳しく解説】
今回はホルネル症候群という病気について解説したいと思います。なかなか馴染みの少ない病気というよりも、ほとんどその名前すら聞いたことがないという方が多いのではないでしょうか?
そんな病気について今回は解説していきたいと思います。またこのホルネル症候群が眼瞼下垂を引き起こす要因なども同時に紹介していければと思います。
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ホルネル症候群とは
まずは、ホルネル症候群について簡単に解説していきたいと思います。この疾患は頭部から頸部の部分に存在している交感神経が障害されることで生じる一連の諸症状のことです。
別名で頸部交感神経麻痺、ホルネル徴候とも言われます。スイスの眼科医のホルネル医師によって発見された病気のことです。
また、さきほど解説してきたなかで、交感神経とお話をしましたが、この辺りについてもう少し詳しく解説したいと思います。
人の身体には自律神経系というものが存在しています。自律神経には人を興奮状態にする交感神経と、沈静をかける副交感神経があります。
そのうちの交感神経で特に身体の上の方を支配している部分のことをここでは指しています。
先ほど眼科医が発見したと解説しましたが、やはり頭部から頸部ということで、眼の周辺に症状として現れやすい病気となっています。
例えば瞳孔異常として眼瞼下垂を起こしたり、眼裂狭小を引き起こすことがあります。
また、発汗の低下であったりも症状として知られており、詳しくは次の章にて解説していきたいと思います。また、人間だけではなく動物特有の症状を引き起こすこともあります。
ホルネル症候群の特徴的な症状は3つ
この章ではホルネル症候群について特徴的な症状についていくつか紹介していきたいと思います。
頭部の症状
まずは頭部、つまりは顔に出て来る症状について紹介していきたいと思います。主に眼瞼下垂や縮瞳、眼球後退といった症状が現れてきます。
眼瞼下垂については次の章で詳しく解説を加えていきたいと思います。それ以外の縮瞳とは瞳孔が収縮している現象のことであり、眼球後退とは字のごとく眼球が目の後ろに引っ込んでしまう状態です。
後ろ側に眼球が位置することで、様々な異常が起きてくることをいいます。
代謝経路
代謝関連の症状としては、発汗低下であったりほてりなどの症状が起きて来ることがあります。
体温調節機構の異常が起きていたり、熱中症に起きやすい状態になっているということが起こりえます。この様に代謝系と関連した症状も現れてくることもあるのです。
その他
その他には虹彩異色症などが知られています。
ホルネル症候群の主な症状の眼瞼下垂とは
ではここまでホルネル症候群の特徴的な症状についていくつか紹介してきました。
先に解説した通り、基本的には身体の上位層の交感神経に関連しているものが多いことはお分かりになったのではないかと思います。ここでは眼瞼下垂についてさらに詳しく解説していきたいと思います。
眼瞼下垂とは
先ほども解説した通り、両目もしくは片目の瞼(まぶた)が落ちてきてしまう病気(症状)のことを、眼瞼下垂と言います。
瞼は垂れ下がることにより、視力の低下や目のかすみ、自力で目を開けられなくなるなどの障害が出てきます。
眼瞼下垂の原因とは(後天性のものについて)
後天性とは、生まれた時には瞼の機能が正常だったのに、何らかの原因によって眼瞼下垂になってしまうことを言います。
例えば、加齢が1つの原因として知られています。また最近では使用する人が増えたコンタクトレンズも原因の1つとされています。
また、脳梗塞が原因で瞼の神経が麻痺してしまい、眼瞼下垂が生じることもあります。
眼瞼下垂の原因とは(先天性のものについて)
では次に先天性のものについて解説したいと思います。先天性とは産まれつきのものであるということです。
この症状を引き起こす病気として代表的なものとして、重症筋無力症というものが知られています。これは産まれつきの病気であり遺伝による因子が大きいと言われています。
ホルネル症候群の考えられる3つの原因
今回はホルネル症候群の原因についていくつか紹介していきたいと思います。先ほども述べたように先天性のものから、後天性のものまでその原因は様々です。
先天性の病気
先天性の病気として知られているのは重症筋無力症という病気です。全身の筋肉の力が入りにくくなり、それによって運動機能も失われていく難病です。
後天性の病気
後天性のものにもいくつかの原因があることが知られています。たとえば脊髄空洞症、Wallenberg症候群、Pancoast症候群そして内頚動脈動脈瘤によっても引き起こされることとなります。
いずれも、瞼の神経が麻痺や圧迫されて動かなくなることが原因で起こります。
その他
その他の原因となる疾患として悪性腫瘍などもあります。例えば、肺がんによるものなどが知られています。
肺がんの腫瘍細胞により首リンパ節を食い止め、腫れを引き起こし神経の機能低下をきたすことによって引き起こしてきます(Pancoast症候群)。また、外傷性により起きて来ることもあります。
このように、ホルネル症候群と言っても、本当に様々な原因が知られています。しかしながら、これは本当にあくまで一部ではないかと思います。もっと様々な原因の疾患が隠れていると考えられています。
ホルネル症候群の診断は検査が必要
次にホルネル症候群の診断方法についていくつか紹介していきたいと思います。
ここでは、少し専門的な言葉たくさん出てきますが、こんな方法が診断方法としてあるのだということを理解していただければと思います。
また、ホルネル症候群を陽性として判断するだけでなく、その原因を引き起こしている疾患を突き止めるということも重要です。
点眼液を利用する
2%液体コカイン点眼で瞳孔が散大しない(正常では散大)ことから確診できます。また、ヒドロキシアンフェタミン溶液である1%ハイドロキシアンフェタミン点眼で第1・2ニューロンと第3ニューロン障害の鑑別が可能となります。
つまり、散大すれば第1・2ニューロン障害が疑われ、散大しなければ第3ニューロン障害を疑うこととなります。
チラミンを点滴投与する
チラミンという成分を点滴にて体内に投与します。そうすることにより、節後神経終末からの低濃度エピネフリンの分泌を促進します。
正常な体では、中枢障害では散瞳しますが、それ以降の末梢神経障害があると分泌効果が少なくなり、散瞳は軽度になります。
その他
その他にはよくがんの診断などで利用されるCTやMRIなども利用されます。
これはあくまでホルネル症候群を見つけるものではなく、その原因となる例えば、動脈瘤や脳卒中といった病気を見つけるために利用されます。
ホルネル症候群の治療法はまだ確立されていない
ではホルネル症候群について様々な点で紹介してきましたが、最後に治療法について簡単に紹介したいと思います。
しかし、結果から解説するとホルネル症候群を完全に治療するための治療方法というものは確立されていません。
そこには原因疾患となる様々な病気が非常に難病であるケースが多かったり、瞼が下垂していくことを治療によって完全に治していくこと自体なかなか容易なことではないからです。
しかしながら、そんな状況ではありますが、いくつかの対症療法として、現在行われている治療についていくつか紹介していきたいと思います。
そんな中でも、さきほどから説明している眼瞼下垂の治療方法として知られているものを1つ紹介したいと思います。
それが挙筋腱膜修復術というものです。簡単に紹介すると、垂れ下がった瞼の皮膚を一部切り取り、収縮させ、復元するというものです。
そうすることによって眼瞼下垂の症状を少しでも軽減するというものになります。この様に、治療のほんの一部のみ紹介してきましたが、現実問題として完全に治療するという方法は見つかっていません。
たとえば、さきほど眼瞼下垂の治療方法として1つ紹介させていただきました。しかし、その眼瞼下垂を引き起こす原因となる重症筋無力症についてはまだ、眼前には治療方法は確立されていません。
この様におおもとになる病気に対しての治療方法は確立されていないという現実があるのです。そのため、治療は対処療法が中心になります。
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