アジスロマイシン錠の3つの副作用【下痢してるけど効いてる?】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
アジスロマイシン錠とは聞きなれないかもしれませんが幅広い感染症に対して処方されるお薬です。薬にはベネフィット(効果)とリスク(副作用)がありますが、アジスロマイシンは比較的リスクの少ないお薬とされています。
以下に作用機序とリスクを含めて詳しく解説していきたいと思います。
気になる所から確認してみよう
アジスロマイシン錠ってどんなお薬?
アジスロマイシン錠とは、マクロライド系に属する抗生物質で細菌のタンパク質合成を阻害し、細菌の増殖を抑制する作用を有した薬です。
ファイザー社が製造・販売しており、日本ではジスロマックという医薬品名で商品化されています。クラミジアやグラム陽性菌、マイコプラズマ、肺炎球菌など幅広い細菌に対して効果を発揮します。
主に呼吸器科や耳鼻科で多用されていますが、歯科や内科など多岐に使用されています。ジェネリック医薬品としてアジーという薬がありますが、日本の医療機関ではまだ処方されていませんので個人輸入で入手することとなります。
抗生物質についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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アジスロマイシン錠で細菌をやっつけよう
適応菌種
アジスロマイシンが殺菌・静菌効果を発揮する菌には以下のものがあります。
✅ ブドウ球菌属
✅ レンサ球菌属
✅ 肺炎球菌
✅ モラクセラ・カタラーリス
✅ インフルエンザ菌
✅ ペプトストレプトコッカス属
✅ レジオネラ・ニューモフィラ
✅ クラミジア属
✅ マイコプラズマ属
一般的に静菌的に作用しますが、高濃度では殺菌的作用を示します。
症状についてはこちらを参考にして下さい。
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作用機序
アジスロマイシンを服用してから効果が出るまでの時間は2時間ほどです。病原微生物が生育するのに必要なタンパク質ができるのを阻害します。
組織に移行する性質の強い薬であり、薬を投与後は血液中に存在する濃度よりも10〜100倍高い濃度で組織に蓄積します。これにより効果は60時間以上続き、長時間にわたって薬が体内に留まるため細菌の増殖を長く抑えることができます。
また成分吸収の際に食事の影響を受けないことも特徴です。
アジスロマイシン錠の4つの効果
呼吸器系疾患
マイコプラズマ肺炎や気管支炎、肺炎、肺膿瘍などに効果を発揮します。
耳鼻科系疾患
副鼻腔炎や中耳炎、歯周病、扁桃炎、リンパ管炎、リンパ節炎、咽頭炎、喉頭炎、扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍、顎炎などに効果を発揮します。慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎に用いられる際は抗菌作用以外の抗炎症作用が期待されています。
中耳炎の症状についてはこちらを見て参考にして下さい。
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泌尿器系疾患
尿道炎や子宮頸管炎、クラミジアに効果を発揮します。通常成人には500mgを1日1回3日間を経口投与しますが、尿道炎、子宮頸管炎に対しては成人に1000mgを1回経口投与します。
皮膚系疾患
深在性皮膚感染症、膿痂疹に効果を発揮します。
アジスロマイシン錠の3つの副作用
基本的には副作用の心配が少なく安全ですが、妊娠中や授乳中の場合は、必ず医師に伝えた上で医師の指示のもと服用してください。
胃腸症状
✅ 下痢
✅ 嘔吐 ✅ 胃痛 ✅ 吐き気 ✅ 腹痛 |
皮膚症状
✅ 発疹
✅ 痒み
✅ 水ぶくれ
その他
✅ 冷え
✅ しびれ ✅ 発熱 |
特に下痢などの消化管症状が多く報告されており、これはマクロライド系抗生物質が下痢を起こしやすい性質を持っているためです。しかし、アジスロマイシンはマクロライド系の中でもこうした胃腸症状の出にくいお薬だといわれています。
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採血ではASTとALP、好酸球数が増加し白血球数が減少する可能性があります。
ごく稀に、 中毒性表皮壊死融解症や 皮膚粘膜眼症候群などの重篤な皮膚症状へと進展することがあるとされています。
また重い副作用としてアナフィラキシー・ショックや肝炎や肝機能障害、動悸、めまい、不整脈、大腸炎、血液障害、意識障害などが報告されていますが、これらも非常に稀なものとなります。
これらが起こる初期症状として、アナフィラキシー・ショックでは呼吸困難や喘息、唇のむくみなどがあります。肝機能障害では手足のむくみや倦怠感などが現れます。急性腎不全では腹痛や血便、頻繁に起こる下痢症状などがあります。
作用時間が長いため服用終了数日後に発現する可能性もあるので、念のため注意が必要です。
下痢が心配・・・大丈夫?
アジスロマイシンには錠剤、成人用ドライシロップ、小児用カプセル、小児用細粒があります。
基本的には1日1回の服用で3日間服用を続けますが、成人用ドライシロップは食間の空腹時に1回飲みきりタイプです。
ただ症状や年齢によって服用回数や服用量は変わってくるため医師の指示に従いましょう。
子どもが服用する際にアジスロマイシンの苦味を消せるよう、水以外の飲み物で服用することができます。その際におすすめな飲み物は牛乳や練乳、お茶やココアです。
避けたほうが良いものはオレンジジュースやスポーツドリンク、ヨーグルトなどです。これらとの飲み合わせは逆に苦味を増強させる恐れがあります。
副作用の下痢ですが、赤ちゃんには比較的起こりやすいとされています。しかし1〜2日で治まることが多いので過度に心配する必要はありません。下痢になると脱水症状を起こしやすいので注意しましょう。
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