ソラナックスの服用は医師と相談が必要【眠気と依存が2大副作用】
<監修薬剤師 サリー>
抗不安薬、睡眠薬として処方されているソラナックスですが、神経系に作用する薬は依存性が怖いという人も多いのではないでしょうか。
しかし、どんなお薬か理解して使用することで、安心して治療が続けられます。そこで今回はソラナックスの眠気と依存の2大副作用についてお伝えします。
ソラナックスの服用は医師と相談が必要ですが、その理由について正しく知っておきましょう。
気になる所から確認してみよう
ソラナックスってどんなお薬?
ソラナックスとはベンゾジアゼピン系に分類される抗不安薬で、穏やかに効果を発揮する精神安定剤の一種です。
緊張感や不安を緩和することができるため、服用すると気持ちが落ち着きます。寝つきもよくなります。
そのため神経系の疾患に処方されることが多い薬です。副作用が少なくて安全性が高い薬とされており、依存性もあまり見られません。
また気持ちを落ち着かせるだけではなく、筋肉のこりもほぐす効果があります。
そのため精神安定剤としてだけではなく、痙攣系疾患にも処方されるなど、様々な病気に幅広く使用されるお薬です。
そのためジェネリック医薬品も数多く、アゾリタン、カームダンといった後発薬が出ています。
ソラナックスの特徴的な作用
脳にある「BZD受容体」と呼ばれる神経受容体とソラナックスが結合し、リラックスする際に作用する神経を活性化させる効果があります。
神経の活性化により「抗不安作用」「鎮静・催眠作用」「筋緊張緩和作用」「抗けいれん作用」を起こします。
抗うつ作用もあるので、うつ症状を伴う複合した疾患にも効果を発揮します。
そのためこれらの症状が起きる疾患に処方される薬です。
ソラナックスが用いられる5つの病気
実際にソラナックスが用いられる病気について解説します。
不安障害
不安神経症、パニック障害、心身症に効果を発揮します。心身症とは心の問題が原因となって身体の疾患を引き起こす症状全般を指す言葉です。
具体的には潰瘍や過敏性腸症候群といった消化器系の疾患、自律神経失調症や緊張型頭痛といった神経系の疾患、糖尿病や甲状腺機能亢進症といった代謝系の疾患などです。
さらに更年期障害や月経異常、不妊症といた産婦人科に関わる疾患も原因によっては心身症と呼べます。また強迫神経症にも用いられる場合があります。
特に胃腸はストレスを感じると影響を受けやすい器官と呼べるため、胃薬とソラナックスを併用することもありますが薬の系統は異なるので飲み合わせに関しては問題ありません。
うつ病
うつ病は気分障害の一種です。ストレスが許容範囲を超えるほど溜まると発症の引き金になりやすいといわれています。
研究によると、うつ病は脳の神経細胞が正しく情報を伝える機能が阻害されることで起きるとみられています。そのため脳の神経伝達に作用するソラナックスが効果を発揮します。
うつだけではなく躁病急性期にも効果を発揮するため、双極性障害に処方されることもあります。
ストレスが原因で薄毛を発症した場合もソラナックスが処方されることもありますが、あくまで気持ちを落ち着かせるためのもので薄毛そのものには効果を発揮しません。
不眠症
睡眠障害のひとつに、不眠症があります。
不眠症は文字通り、「寝つきが良くない」「なかなか眠れない」「眠っても頻繁に目が覚める」「覚醒しやすく、眠りが浅い」といった症状のでる疾患です。
原因も様々で、「時差のある環境で眠ったせい」「いつもの枕と違った」などの環境を原因とするタイプ、年齢やかゆみなど身体に原因があるタイプ、ストレスや問題を抱えている場合など心理的なタイプ、薬の服用や過度な喫煙・飲酒が原因とさまざまです。
中でも身体や心理的な問題により起こされる不眠症には、ソラナックスが効果を発揮します。
不眠症には睡眠薬や漢方薬も効果を発揮しますが、気持ちを落ち着かせるという点ではソラナックスが適しています。
統合失調症
統合失調症とは「幻覚」「妄想」を原因として、「生活の障害」と「病識の障害」が起きる疾患です。
幻覚や妄想と現実の区別がつかないため人とのコミュニケーションがうまくとれなくなり、周囲の人間から孤立し行動や意識も本来の人格からは歪んでしまいます。
現在の治療方法としては投薬が中心ですが、その薬の1つにソラナックスが挙げられます。
頸椎症、腰痛症、肩こり
筋肉のこわばりをほぐす効果があるソラナックスは、希有追従や腰痛症、肩こりの治療に効果を発揮します。
ソラナックスの服用に自己判断は禁物
ソラナックスは飲み合わせに注意が必要な薬です。持病によっては服用が推奨できないケースもありますので、自己判断で服用し始めるのは危険です。
まず「重症筋無力症」「急性狭隅角緑内障」の既往症がある場合、使用は禁忌です。これらの症状がある場合、病院で診察を受ける際に申告しておきます。
万が一、使用することがないようにするためです。
次に注意が必要な疾患として「呼吸器系の病気」「心臓の病気」「肝臓の病気」「腎臓の病気」「脳の病気」があります。また高齢者も使用には注意が必要となります。
高齢者は副作用が出やすい傾向にあるため、規定量よりも少ない量を服用しながら効き目を観察するなど手立てが必要なので、まずは医師の診察が必要不可欠です。
飲み合わせについてですが、エイズ薬やソラナックス以外の抗不安薬や抗うつ剤などの精神に関わる薬と一緒に服用することは避けます。
特に神経系の薬はソラナックスと併用すると効果が強くですぎてしまったり副作用がでるおそれが高まります。
飲酒も副作用の恐れが高まりますので、ソラナックスを服用期間中のアルコールは控えた方が安全です。
花粉症の薬との併用は問題ありませんが、どちらも副作用として眠気がでますので、服用後には十分な注意が必要です。
妊婦や授乳中の人については、基本的には医師と相談した上で服用するかどうかを決定します。妊婦が服用した場合、生まれてきた子供に影響が出るという報告もあります。
そのため基本的には、妊娠中や授乳中にはソラナックスの服用は中止します。
「つわり症状がでるまで妊娠に気付いておらず、ソラナックスを服用していた」という場合は、まずは担当の産婦人科医に相談して自己判断で服用を中止しないようにしましょう。
また注意したいのが、「ソラナックスを服用したら運転や機械操作などの安全に関わるような作業には従事しないようにする」ことです。
ソラナックスの副作用として、眠気が挙げられるからです。運転中に万が一、眠気に襲われては大事故を起こす可能性があります。
最後に、ソラナックスを長期連用する場合は自分の判断だけで服用を中止するのは危険なのでやめましょう。
理由については後からくわしく解説しますが、個人の判断でソラナックスの服用を急にやめると身体に思わぬ弊害が起きる可能性があるためです。
ソラナックスだけで疾患を治すことはできません。
特に心の病気などストレスが原因の1つである場合は、環境を変えたり休息をとったりすることも同時に行うことでソラナックスは効果を発揮できます。
ソラナックスは眠気の副作用があるお薬です
重い副作用について報告はありませんが、人によっては見られる副作用もありますので用心した方が良いでしょう。報告のある副作用については以下の通りです。
眠気
眠気やぼーっとした状態に陥ることがあります。薬の服用をやめたら出なくなる症状ですが、念のため乗り物の操縦や高所での作業など、ソラナックス服用後は危険な作業はやめます。
ふらつき
眠気が生じたりめまいが起きたりすることによって、ふらつきが生じることがあります。
倦怠感
頭痛や健忘、疲労感、倦怠感を覚えることがあります。いずれも深刻な症状ではありませんが、念のため注意が必要でしょう。
脱力感
薬の服用期間中に脱力感を覚えることがあります。人によっては空腹感を覚える場合もあるようですが、とても稀な症状です。
ソラナックスのもう一つの副作用は依存性
ソラナックスそのものはそこまで依存性の強くない薬ですが、長く服用を続けることでその薬効に身体が慣れてしまいます。
すると身体は「薬がある状態」にすっかり慣れた状態になります。その状態下でいきなり減薬もしくは断薬してしまうと、離脱症状が起きます。
離脱症状とは身体や脳が血中の薬の濃度が急に低下してしまったために対処できず、引き起こされる症状を指します。
起きる離脱症状の可能性としてはイライラや強い不安感、不眠、しびれ、耳鳴り、ふらつき、焦燥感、発汗、幻覚、筋肉痛などです。
またソラナックスを服用する前から呼吸器の問題を抱えていた人の場合、息苦しさや起床するときの頭痛が起きる場合もあります。
精神的な障害を服用前から持っていた人の場合は、「眠れない」など逆に不眠状態に陥ったり、精神的な錯乱を起こしたりすることがまれにあります。
さらにまれですが、肝臓の機能に支障が出て全身の倦怠感や白目が黄色くなるなどの黄疸症状が現れることもあります。
しかし、ソラナックス服用によって起きる依存性という副作用は、投薬のコントロールによって回避することができます。
治療の進行具合を見ながら、徐々に薬を減らしたりやめたりといった調整や、身体に合わなかった場合の薬種変更や弱効能薬への切りかえなどで依存性のリスクを減らせます。
ただし個人の判断で減薬や断薬を行うと、逆に離脱症状に苦しんだり本来の疾患が治療できずにいたりして苦しむことになります。
必ずかかりつけの医師の診断を受けましょう。ソラナックスを服用することで辛い痛みや症状が出る場合は、薬種変更や弱効能薬への切りかえといった手段もあります。
ソラナックスの服用で何に気をつければいいのか解説しました。ソラナックスは心身症や不安障害に効果を発揮する、比較的副作用が少ない薬です。
そのため幅広く使用されていますが、全く副作用がないわけではなく眠気や依存性には注意が必要です。もちろん過剰摂取も危険を起こす確率は上がるので絶対にやめます。
医師に相談して服用することでリスクを回避することができますので、自分の判断で頓服をやめたり減薬したりしないようにしましょう。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。