ハムストリングスの筋トレは4つの効果がある【簡単な鍛え方を伝授】
<監修柔道整復師 りんご>
ハムストリングスという筋肉をご存知ですか?これは、太腿の後面の大きな筋肉で、スポーツのパフォーマンス向上に欠かせない筋肉と言われています。
そして、歩く、立ち上がる、踏ん張る等の私たちにとって身近な動作の一つ一つに必ずと言っていいほど働く筋肉なんです。
今回は、そんなハムストリングスを鍛えることで得られる効果と簡単な筋トレ方法について紹介します。
ハムストリングスの大切な役割や、筋トレとともに重要なストレッチ方法についても解説していきます。
気になる所から確認してみよう
ハムストリングスの大切な役割
太ももの裏にある強力な筋肉
ハムストリングスとは、太ももの裏にある大きく強力な筋肉です。
ちなみに、「もも肉のひも」という意味で、ハムをつくるときに豚などのもも肉をぶら下げるためにこの筋肉の腱を使ったことに由来しているそうです。
ハムストリングスは、股関節と膝関節の2つの関節をまたがる二関節筋であり、立位姿勢や立ち上がり、歩行など下半身の動作に必要不可欠な筋肉です。
また、アクセル筋とも呼ばれており、身体を前方へ持っていく働きがあるため陸上競技やその他のスポーツにおいて鍛えるべき筋肉の一つです。
ハムストリングスは3つの筋肉の総称
ハムストリングスは半膜様筋、半腱様筋、大腿二頭筋の3つの筋肉の総称です。
半膜様筋と半腱様筋は、骨盤から大腿骨・膝関節の内側を通って脛骨に付着しています。
また、大腿二頭筋は骨盤と大腿骨から始まり膝関節の外側を通って腓骨に付着しています。
それぞれ股関節を伸展させ、膝関節を屈曲させる働きをします。これは、股関節を後方へ反らす動きと、膝を曲げ伸ばす動作となります。
また、外股に広げる動作のときも他の筋群と一緒に働きます。
股関節の働きについてはこちらを参考にして下さい。
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膝関節の安定性を高める
ハムストリングスは、膝の後ろを両側から支えているため、膝関節の安定性を高める役割もしています。
大腿骨と脛骨を繋ぐ前十字靭帯は、大腿骨に対する脛骨の前方引き出しを制動し、スムーズな膝の屈伸運動を支えています。
ハムストリングスは膝関節の後面から脛骨を後方へ引き付けるように働くため、この前十字靭帯の補助的役割を担っているのです。
ハムストリングスの筋トレの効果
スポーツのパフォーマンス向上
ハムストリングスは、大腿骨の前面に付く大腿四頭筋と拮抗しながら共に身体の前方への推進力を増強させてくれます。
ハムストリングスはアクセル筋、大腿四頭筋はブレーキ筋であり、この2つの筋肉をバランス良く鍛えることでスポーツのパフォーマンスが向上します。
トップアスリートの推進力、跳躍力、フットワークは、ハムストリングスを鍛えることで実現しています。
大腿四頭筋についてはこちらを参考にして下さい。
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ヒップラインのシェイプアップ
ハムストリングスを鍛えるとヒップアップ効果もあることが言われています。
ハムストリングスはお尻に付着しており、その延長線上に大殿筋というお尻を引き上げる筋肉があります。
股関節を反らせる動きによって、お尻も一緒に力が入るため、ヒップラインのシェイプアップが期待できます。
姿勢も良くなり、腰痛の改善にも効果があります。
ダイエット効果を高める
身体の中で大きな筋肉であるハムストリングスを鍛えると、消費カロリーが増え、代謝も上がります。
また、拮抗筋の大きな筋肉である大腿四頭筋や大腰筋も同時に活動するため、更に代謝アップ効果があります。代謝が上がると瘦せやすい体質となります。
そしてハムストリングスを鍛えると脚が引き締まり、出っ尻を予防して美しいボディラインに近づけますよ。
セルライトの予防
血流が悪くなると太腿が冷えて脂肪が付きやすくなったり、セルライトができてボコボコの脚になってしまいます。
ハムストリングスをたくさん動かすことで、下半身の筋肉にたくさん血が巡り、セルライトを予防することができます。
ハムストリングスの簡単な筋トレ方法
スクワット
スクワットはものすごく簡単なのでオススメの方法です。しかし、単純に膝の屈伸をするのでは膝に負担が掛かり痛めてしまう可能性がありますので注意が必要です。
股関節をしっかり曲げてお尻を後ろに突き出した姿勢で行い、膝を曲げすぎない範囲でお尻の筋肉を意識しながら上半身を上下に移動させることで、効果的にハムストリングスを鍛えることができます。
スクワットの応用編として、つま先を外側に向け脚を開いて行うワイドスクワットは、太腿の内側とお尻に効果的です。
また、最大限まで腰を落とすフルスクワットは普通のスクワットよりも負荷が大きくなります。このときも、膝はなるべく動かないよう意識しながらお尻を突き出して行います。
レッグカール
レッグカールとは、うつ伏せで膝の曲げ伸ばしを行ってハムストリングスを鍛える方法です。ゴムチューブや専用マシンで負荷や回数を調整して行います。
膝の屈伸時にハムストリングス以外の筋肉の代償が出やすいので、ハムストリングスの収縮を意識しながら行う必要があります。
ランジ
ランジとは、左右の足を交互に前に踏み出すもので、お尻や太腿の筋肉を一度に鍛える方法です。
背筋を伸ばし、左右に体が傾かないようにし、足を踏み込む際は膝が90度くらいになるまでしっかりとしゃがみ込むことが重要ですが、膝の曲げ過ぎは膝への負担になるので注意しましょう。
ランジは、歩きながら行うウォーキングランジ、飛び上がりながら行うジャンピングランジなどの応用もあり、ハムストリングスをさらに強化したい人にはオススメです。
ワンレッグデッドリフト
体幹やお尻の筋肉とハムストリングスを同時に鍛える方法で、両手にダンベルを持って片足で立つワンレッグデッドリフトというものがあります。
軸足の膝を軽く曲げ、背中が丸くならないよう姿勢を維持しながら上半身を前方へ傾けていきます。
この間、腹筋をしっかり意識して体幹を安定させながら行い、軸足でない方の脚は後方へゆっくり持ち上げていきます。
ダンベルは肩に力を入れずに垂らす状態にし、体幹が床と平行になるまで倒れたらその姿勢を保持します。
レッグプレス
レッグプレスは、腰への負担がなく、脚に集中してトレーニングできる方法です。専用のトレーニングマシンに座って、スクワットのように脚でマシンを押していきます。
脚が開いたり内股のまま行うと、ハムストリングスが十分に鍛えられず、また膝を痛めてしまうことがあるので注意が必要です。
マシンを使うものは負荷を数値化でき、細かく調整できるところが利点です。
レッグエクステンション
レッグエクステンションは、大腿筋群を集中的に鍛える方法で、専用マシンに座った状態のまま膝をゆっくり伸ばしていく運動です。
マシンを用いなくても、椅子に座った状態で行うことができます。
その場合は背筋を伸ばした状態でゆっくり行いましょう。太腿の引き締めや脂肪燃焼効果が期待できます。
筋肉痛や肉離れに注意しましょう
ハムストリングスは鍛えることで非常に強力な筋肉となりますが、普段は効果的に使えていない人も多く、筋肉が硬くなったり、筋肉の短縮が起きやすいと言われています。
そのため、急に激しいトレーニングで鍛えると筋肉痛や肉離れを起こす可能性が高いため注意が必要です。
ストレッチやマッサージを習慣付け、筋肉を柔らかくしておくことをオススメします。
ハムストリングスは肉離れを起こしやすい筋肉と言われていますので、もしもスポーツやジム等でのトレーニング中に激痛が走ったら、すぐに筋トレを中止しましょう。
肉離れの治療方法についてはこちらを参考にして下さい。
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手軽にハムストリングスを鍛える4つのストレッチ方法
ストレッチも重要
ハムストリングスは鍛えるだけではなくストレッチにより筋肉を柔らかく保っておくことも重要です。
これにより、肉離れや怪我を予防できますし、ハムストリングスの場合は、姿勢の改善や腰痛予防、代謝アップなどの効果が期待できます。
また、ストレッチによって柔軟性が上がるとバランス能力も向上して、跳躍力、瞬発力などの運動能力がアップするそうです。
ゴムチューブを使ったストレッチ
ゴムチューブを使ってハムストリングスをストレッチすることができます。まず、仰向けに寝た状態から片足の足裏にゴムを引っ掛けます。
ゴムを両手で持ったまま引っぱり、膝を曲げずに体の方へ持ち上げます。痛くないところまで上げ、それを両足交互に行います。
ポールを使ったストレッチ
ポールを太腿の後面に当てて行うストレッチもあります。
これは、床に座った状態で両脚を伸ばし、ポールを体に垂直にしてストレッチする太腿の裏へ入れます。
両足をかかとで組み、ポールが転がるように体を前後に動かします。このとき上半身は少し寝かせた状態で、両肘で体重を支えます。
ジャックナイフストレッチ
他にも手軽な方法として、ジャックナイフストレッチがあります。これは、立った状態から開始し、膝を曲げて体幹を前屈させます。
太腿に胸を付け、両手で足首を掴んだ姿勢になり、そこからゆっくり膝を伸ばしていくことで、太腿から下腿にかけて後面の筋肉が伸ばされていきます。
その状態を数秒保持します。これは椅子に座りながらも行うことができます。
寝転びの姿勢で膝を両手で抱えたり、床に座って膝を伸ばしたまま前屈しつま先を掴むような従来のストレッチ方法も良いですが、
ジャックナイフストレッチは、筋肉の生理反射を利用しているためさらに柔軟度が増すそうです。
ヨガポーズ
ヨガのポーズでもハムストリングスを効果的に伸ばす方法があります。
まず、膝立ちになり肩幅大に脚を開きます。片一方の足の甲を床につけた状態で、もう一方の脚は膝を伸ばして踵を床につけます。
膝を伸ばした方の脚の方向へ上半身を向け、両肘で膝を抑えながら体重を掛けます。そのまま深呼吸を3回してから、つま先を触ります。これを左右で行います。
今回は、ハムストリングスの筋トレ方法についてまとめました。
スポーツ選手にとってはもちろんのこと、私たちが日常生活を送る上でも重要なハムストリングス。上手に鍛えることで、良い効果がたくさんありました。
筋トレを行う際には、筋肉痛や肉離れなどのトラブルに十分気をつけながら、効果的に鍛えていきたいものです。
膝や腰を守ってくれる大事な筋肉ですので、みなさんも是非、普段からハムストリングスを意識的に使っていきましょう!
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