ベンザブロックSの咳止め効果はある?【8つの副作用に注意!】
<監修薬剤師 BlueP>
ちょっと風邪をひいて「…でも病院に行くほどじゃないな」という時に便利なのが、ドラッグストアで買える総合感冒薬ですよね。今回はその中でも武田薬品のベンザブロックSにスポットを当てて見ていきましょう。
鼻水・鼻づまりに効果があるとされるベンザブロックSに隠された咳止めの効果、また命を落としかねない危険な副作用の可能性について解説していきたいと思います。
気になる所から確認してみよう
ベンザブロックSってどんな薬?
ベンザブロックSは武田製薬が出している風邪薬で、第二類医薬品に分類されるためドラッグストアなどでも購入することができます。
ベンザブロックは今回取り上げるS以外にも、効能によってLやIPなどシリーズで出ています。ベンザブロックSは黄色い箱。「鼻水・鼻づまりによく効くかぜ薬」というキャッチコピーで紹介されています。
薬の形状はカプレットというカプセル型錠剤と、普通の錠剤の2種類。カプレットは15歳以上1日6錠、錠剤は1日9錠で同量の成分となっています。服用は1日3回、朝・昼・夕それぞれ食後に飲みます。
ではカプレットと錠剤、どちらを選んだら良いのでしょうか。
カプレットは1錠ずつPTPシートに包装されているため持ち運びに便利です。一方、錠剤はビンにまとめて入っているため常備薬として家に置いておくことに適しています。
メーカー希望小売価格は、カプレット30錠が1780円、錠剤36錠が1500円と錠剤のほうが少しお手頃になっていますが、用途に応じて選ぶと良いでしょう。
ベンザブロックSの効果
鼻の症状に
ベンザブロックSは売りが「鼻水・鼻づまり」への効果です。
鼻汁の分泌を抑えるヨウ化イソプロパミドと、抗ヒスタミン成分のd-クロルフェニラミンマレイン酸が配合されているため、鼻水や鼻づまりのほかに、くしゃみにも効果があります。
他にも・・・
ベンザブロックSには8種類の成分がバランスよく配合されているため、鼻以外の風邪の諸症状の緩和にも効果を発揮します。
✅ のどの痛み
✅ 咳
✅ 痰
✅ 発熱
✅ 悪寒
✅ 頭痛
✅ 関節痛
✅ 筋肉痛
解熱鎮痛成分のアセトアミノフェンや、抗ヒスタミン成分でアレルギー症状にも効くトラネキサム酸などが配合されています。
咳止めとしての効果
鼻の症状緩和のイメージが強いベンザブロックSですが、咳止めへの効果も期待できます。
実は、ベンザブロック咳止め錠(液)という薬も出ているのですが、そこに含まれる「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」「トラネキサム酸」「ジヒドロコデインリン酸塩」といった咳止めに効果のある成分が、ベンザブロックSにも入っているのです。
総合感冒薬としての咳止めを求めているようでしたら、ベンザブロックSでも十分効果が期待できそうですね。
ベンザブロックSの副作用
副作用に注意!
薬の副作用といって一番に思い浮かぶのは眠気ではないでしょうか。
病院で花粉症の薬をもらっている人にとっては身近なものだと思います。しかし病院でもらう処方薬だけでなく、ドラッグストアで買えるような市販薬でも同じように副作用への注意は必要です。
もし副作用だと思われる症状が現れたら、すぐに服用を中止して医師や薬剤師、ドラッグストアの登録販売者に相談しましょう。
ベンザブロックSの副作用
✅ 皮膚症状:発疹、発赤、かゆみ
✅ 消化器症状:嘔吐、吐き気、食欲不振、胸焼け ✅ 精神神経系:めまい、頭痛 ✅ 泌尿器症状:排尿困難 ✅ その他:過度な体温低下、顔のほてり、異常なまぶしさ |
ベンザブロックSには眠気の原因になる抗ヒスタミン成分も入っているため、飲むと眠気が出るという人もいます。他にも、めまいやまぶしさ注意もあるため、服用中の車の運転は避けましょう。
ベンザブロックSの副作用の重篤な症状
意外と怖い!副作用
ドラッグストアなどで売られている市販薬において、2009~2013年の5年間で報告された副作用は1225例に上ります。そのうちの1/3に当たる400例は総合感冒薬によるもの。
死亡例、後遺症が残ったケースはそれぞれ15例ずつ報告されています。
先程の副作用の場合は、服用を中止すれば回復することも多いですが、これからご紹介する重篤な副作用は放置すると命を落とす危険性もあります。適切な治療を速やかに受けることが大切なので、異常があればすぐに医療機関を受診しましょう。
アナフィラキシー
重篤な副作用でよく知られているのがアナフィラキシー、いわゆるショック症状です。
蕁麻疹やかゆみなどの皮膚症状を始め、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸などが出ます。血圧の低下や意識障害が起きることもあるため、症状が現れたら出来るだけ早く病院を受診するようにしてください。
スティーブンス・ジョンソン症候群
皮膚粘膜眼症候群とも言われ、その名の通り、皮膚や口内などの粘膜から眼にまで症状が現れるもの。これらの部分に紅斑や水泡ができるほか、高熱や全身の倦怠感を伴います。
急激に症状が悪化することもあり、処置が遅れた女性が片目の視力をほとんど失ってしまったケースもあります。
他には・・・
✅ 肝機能障害
✅ 腎臓病 ✅ 間質性肺炎 ✅ 喘息 ✅ 再生不良性貧血 ✅ 無顆粒球症 |
名前を聞くと何となくどんな症状が現れるのか、わかるものも多いと思います。あまり耳慣れないのは下の2つでしょうか。
再生不良性貧血は、貧血の症状に鼻や歯茎からの出血、発熱などを伴います。
無顆粒球症とは突然の高熱が出るもの。寒気やのどの痛みなどを伴います。
どれも速やかに適切な処置をしないと後遺症などが残りやすくなってしまうため注意が必要です。
市販薬といえど侮れない!
添付文章をよく読もう
上記でご紹介したように、市販薬でも命に関わるような副作用を引き起こすことがあります。
副作用を極力防ぐためには、まずは添付文章を服用前に必ず読むこと。
これはどの市販薬でも共通して言えることです。添付文書に書かれていることを守らなければ、副作用のリスクはもちろん、緩和させたい症状すら悪化させてしまうこともあります。
添付文書に書かれている「してはいけないこと」は一番上に書かれているため目を通す人も多いのではないでしょうか。意外と見落としがちなのが「相談すること」の項目。
まずは現在治療中の人。他に薬を飲んでいたり診療を受けていたり、歯科治療を受けている人も該当します。
妊娠の可能性のある女性、また高齢者も服用する前には医師や薬剤師への相談が必要です。
あとは次に挙げるような病歴、診察を受けた人。
✅ 甲状腺機能障害
✅ 糖尿病 ✅ 心臓病 ✅ 高血圧 ✅ 肝臓病 ✅ 胃潰瘍・十二指腸潰瘍 ✅ 緑内障 ✅ 血栓症を起こす恐れのある人 |
これらの人は、現在受診しているようならば担当の医師や薬剤師、またはドラッグストアの登録販売者に相談しなくてはいけません。
飲み合わせ
よく血圧の薬とグレープフルーツは一緒に取ってはいけないと聞きますよね。飲み合わせが悪いと、本来の効果を必要以上に高めてしまったり、副作用のリスクを高めてしまったりします。
薬同士でも同じことが言えます。
気を付けなくてはいけないのが成分の重複です。鎮痛剤や風邪薬(総合感冒薬)、咳止めの薬には同じ成分が配合されていることがあるため一緒に飲まないように注意してください。
多いのは抗ヒスタミン薬の重複。花粉症の薬を病院で貰い、長期服用している間に抗ヒスタミン薬の含まれる市販薬を知らずに飲んでしまっていた、ということがよくあります。
中には市販の風邪薬と鎮痛剤を一緒に飲んでしまい、その日のうちに死亡してしまったというケースも報告されています。ドラッグストアで誰でも購入することのできる薬だからこそ、自分で注意しなくてはいけませんね。
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