唇に突然ほくろができた!【この病気に注意して】
<監修医師 若菜康弘>
ほくろは顔に出来ると目立つもので、コンプレックスに感じることもあるのではないでしょうか?
唇にもほくろはできることがあり、繊細な部位だけに非常に気になるものです。
さらに、唇に突然ほくろが生じるのは、重篤な病気が原因の場合もあります。
では、唇にほくろができるのは、どのような場合なのでしょうか。病気の可能性も含めて、解説していきます。
気になる所から確認してみよう
唇にほくろができる原因
日焼け
シミやほくろというものは、メラニンという色素が一点に集まったためにできるものです。メラニンは細胞にとって害になる紫外線を吸収する役目を持った色素です。
紫外線がたくさん当たると、より多くのメラニンを産生します。
唇は皮膚が非常に薄いので、それだけ紫外線の影響を受けやすい場所です。
特に、下唇は、上唇に比べて日の光がよく当たる部位となっています。よって、強く日焼けすれば、必然的に唇にもシミやほくろが出来やすくなるのです。
普段からよく日に当たる人や、シミやそばかすができやすい人は、こうした唇のほくろも生じやすくなります。
内出血
紫外線以外にほくろが生じる原因として、内出血も考えられます。唇の皮膚は薄いうえ、内部に多数の毛細血管が集まっているので、軽い刺激を受けても内出血を起こしやすい部分です。
唇を噛んでしまったりぶつけたりして内出血が起き、血豆ができてほくろに見えることがあります。
心当たりがある場合は、気になる部分を安静にして治るかどうか様子を見てみましょう。
内出血を起こさなくても、刺激が続くと色素が沈着して、結果的に本当のシミになってしまうこともあります。
メラノーマ
色素が集まったことで出来たほくろは良性の物で、放っておいても健康上の害はありません。
しかし、色素細胞が癌(がん)化して、悪性のほくろ(悪性腫瘍:あくせいしゅよう)となる場合もあります。この種類の癌は「メラノーマ(悪性黒色腫)」と呼ばれます。
通常のほくろは、直径が6mm以下で、普通の皮膚との境目がはっきりして、形状は左右対称な円形です。
これに対し、メラノーマは境目がはっきりせずに、形状も左右非対称でいびつです。
癌化した細胞は短期間でたくさん増えるので、6mm以上に大きくなる点も特徴です。それ以外にも、かゆみやほくろからの出血、皮膚の崩れなどが生じることもあります。
メラノーマは皮膚のどこにでもできる可能性はありますが、唇や眼の縁、口の中に出来たものは進行が早く、発生から数か月で他の場所に転移するので、非常に危険です。
若いうちは発症しにくいのですが、30代になると可能性が高まり、年齢と共に発生しやすくなっていきます。
通常のほくろや内出血とは明らかに違う特徴(日々大きくなる、6mmを超える、形状がいびつ)などがあるときは、ためらわずに皮膚科を受診するようにしましょう。
消化管ポリープ
まれな例ですが、消化管にポリープが生じる病気によって、唇にほくろが生じることがあります。ポリープとは内臓の内外に生じるキノコのようなでっぱりです。
このポリープが消化管に多数できてしまう遺伝性の病気に「消化管ポリポーシス」というものがあり、その一種である「ポイツ・イェーガー症候群」では、皮膚に色素が沈着して、そばかすやシミ、ほくろに似たものが現れる症状が出ます。
ほくろに似ていますが、盛り上がっていない点が特徴で、手足にも同様の点が現れます。
健康診断などで消化管ポリープを指摘された場合、このような遺伝性の病気が隠れている場合もあることから、定期的に病院を受診して経過観察することが大事です。
唇のほくろを消す方法
唇にほくろができる原因はいくつかあります。それぞれについてほくろを消す方法を見ていきましょう。
日焼けの場合
皮膚の組織は代謝によって、1か月程度のサイクルで新しい物と入れ替わります。
よって、シミができても、それ以上日焼けしないように対処すれば、やがてシミが消えることも期待できます。
その際には、UVカット効果のあるリップクリームを使うなどして、唇の日焼け対策を行いましょう。
また、エスエス製薬の「ハイチオールC」など、シミの除去促進効果がある薬を使うのも良いでしょう。代謝を促し、メラニン色素の排出を助けてくれます。
内出血の場合
軽い内出血の場合は、まずは安静にして自然に治るのを待つことが必要です。
過度に腫れたり熱を帯びているようであれば、内出血の部分を冷タオルで冷やすことをお勧めします。
ただ、冷やしすぎると悪化することもあるので、腫れや熱が収まってきたら止めましょう。唇を噛む癖がある人は、なるべくしないように意識する必要があります。
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出来てしまったほくろを消す場合
<手術>
どうしてもほくろが頑固に残っている場合は、メラニンが集まった組織を取り除く手術を行えば、確実に消すことが出来ます。
この治療は、皮膚科、形成外科、美容外科などで行われています。
取り除く方法は、電気メスなどを使い切除する他、レーザーを使い焼き切る方法があります。
電気メスを使う場合は局所麻酔をする手術なので少し時間がかかりますが、5mm程度の大きなほくろを取っても傷跡が小さくて済む点がメリットです。
気になるようでも、軽く化粧すれば隠せる程度です。レーザーの場合は、手術が10分程度と短時間で終わるところが利点です。
その代わり、ほくろが大きい場合、取り除いた跡のへこみが目立ってしまいがちです。
また、レーザー治療の場合は保険がきかないので、費用は1mm単位で1万円かそれ以上と高額になります。
<除去クリーム>
病院で診察を受けることに加えて、除去クリームを使う方法もあります。
肌は傷がつくと新しい組織を作り、傷がついた古い組織はかさぶたを作り剥がれ落ちる仕組みを持っています。
ほくろ除去クリームは、塗った部分の肌をわずかに腐食させることで、ほくろのできた部分をかさぶたにして落とすという仕組みの物です。
使い方は、クリームをほくろに塗り、決められた時間を置いてから洗い流すだけです。
腐食成分によってやけどのような状態になり、1~3週間でほくろごと剥がれ落ちるといわれています。
新しい皮膚はほくろがなくなり、跡ものこりません。使用するときの注意点は、焦ってかさぶたをはがさないようにすることです。
また、あまり多く塗り付けるとかさぶたが不必要に大きくなって、跡が残ってしまいます。
その他、ほくろが消えるまでの期間が3日などとされているものは腐食の成分が強く、逆にシミなどが残ってしまうこともあるので、注意しましょう。
その他、クリームを塗った後に新しい皮膚が順調に作られないといけないので、体調が良くない時は使わないようにしましょう。
がんの場合
普通のほくろとは違う特徴が確認できた場合は、すぐに皮膚科を受診することを勧めます。
メラノーマは非常に進行が速いがんなので、放置していると体の他の場所に転移して、取り返しのつかないことになる危険性があります。
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突然唇にできた傷やほくろなどはがんの可能性もあることから、早期発見が大事になります。
命の危険にもつながることもあるので、不安がある場合は先延ばしにせず、お医者さんに相談するようにしましょう。
多くの人にとって、肌にポツンとできたほくろは気になるものです。特に、一番目立つ場所である顔、それも唇に出来たりすると、どうしようと思ってしまいます。
慌ててすぐにほくろを消そうとしてクリームを間違った方法で使ったり、化粧で隠して放置することは望ましくありません。
もし異常を感じたらためらわずに医師に相談してアドバイスを受けたり、早めの治療をうけるようにしてください。
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