小柴胡湯の3つの副作用に注意!【効能も分かりやすく解説】
<監修薬剤師 ミッキー>
小柴胡湯は、風邪などでも処方されることの多い漢方薬ですが、実は過去に副作用で死亡例が出たこともある、少し注意が必要なお薬です。
今日は、小柴胡湯の副作用を中心に、どんな漢方薬なのか詳しく解説していきたいと思います。
気になる所から確認してみよう
小柴胡湯(しょうさいことう)の5つの効果
小柴胡湯とは
小柴胡湯は「柴胡」を中心に7種類の生薬を配合して作られた漢方薬です。柴胡とはセリ科の根のことで、サイコサポニンという成分が含まれています。
内臓の働きを改善し、体の免疫機能を整え炎症を和らげるため、幅広い症状への対応が可能な薬となっています。
風邪の中期から後期に
小柴胡湯がよく処方されるのは、風邪の中期から後期。熱が下がってきた後の、食欲不振や吐き気、胃炎などの消化器系の不調に効果を発揮します。
ちなみに、風邪のひき始めには「葛根湯」や「麻黄湯」などが処方されることが多くなっていますね。
風邪による胃腸の不調についてはこちらも参考にして下さい。
【関連記事】
風邪で下痢や腹痛が治らない【2つの原因や食事方法を徹底解説!】
その他の薬効
風邪が進んだ後の症状のほかにも、小柴胡湯は様々な症状に対して効果を現します。
✅ 胃腸症状:食欲不振、胃痛、胃炎など
✅ 呼吸器症状:肺炎、気管支炎など
✅ 肝臓:慢性肝炎など
✅ その他:急性膵炎など
小柴胡湯の薬効は、免疫機能を整えることと、炎症を鎮めること。上記の症状以外にも、喘息、中耳炎、ネフローゼ、アトピーなどに対して処方されることもあります。
小柴胡湯は、体の免疫を高め様々な病気からの回復を助けてくれる漢方薬となっています。
小柴胡湯の構成生薬はコレ
7つの生薬
小柴胡湯は、7つの生薬からできています。主薬に柴胡を使っているため、柴胡剤と呼ばれることもあります。
✅ 柴胡(さいこ)
✅ 黄芩(おうごん) ✅ 半夏(はんげ) ✅ 生姜(しょうきょう) ✅ 大棗(たいそう) ✅ 人参(にんじん) ✅ 甘草(かんぞう) |
【関連記事】
朝鮮人参の8つの嬉しい効果!【食べ過ぎても大丈夫?】
効能
主薬の柴胡、そして黄芩の2つには、炎症を鎮めたり免疫機能を調整したりする作用があります。また、構成成分の柴胡や半夏には心の緊張をほぐしてストレスを軽減させる効果があります。
半夏を始め、生姜、大棗、人参には、体を温めることで、消化機能の働きを助ける作用があります。これらの生薬により、胸のつかえや吐き気などの消化機能の不調に対する緩和効果が期待できるのです。
ちなみに甘草には、上記6つの生薬の効果を調和してくれる作用があります。
小柴胡湯はこんな人に有効!
体力中程度
東洋医学では、症状のほかに患者の体質「証」も、漢方薬を処方する上での基準にします。
同じ柴胡を主薬とする漢方でも小柴胡湯は、体力中程度の人向け。これよりも体力がある人の場合は「大柴胡湯」など、中程度またはやや虚弱体質の人には「柴胡桂枝湯」虚弱体質の人には「柴胡桂枝乾姜湯」など、その人の体質によって使い分ける必要があります。
【関連記事】
柴胡桂枝湯は下痢やインフルエンザに効果的【服用方法も解説】
胸脇苦満
小柴胡湯は「胸脇苦満」という症状に適応しています。これは、胸の脇や肋骨の辺りが張っていて痛いという状態のこと。
胸からみぞおち、肋骨にかけての不快感や、食欲不振、吐き気などの消化器症状を持つ人が服用するようにしましょう。
小柴胡湯の3つの副作用に注意!
インターフェロンとの併用
漢方薬というと「副作用が少なく安心」「体質改善に飲むもの」という印象を持つ人が多いのですが、実は他の医薬品と同じく、危険な副作用の可能性もあるのです。
その一つが、インターフェロンという薬との併用による、間質性肺炎です。インターフェロンとは、C型肝炎などの肝炎治療に用いられる薬。
一方で、小柴胡湯も肝機能に対して効果があります。そのため、以前は肝炎の治療で処方されていたのですが、インターフェロンとの併用による間質性肺炎での死亡事故が続き、今では併用禁忌となっています。
もし、肝炎の治療を受けている人で市販の小柴胡湯を飲もうとしている人は、必ず医師や薬剤師に相談してくださいね。
ほかにも小柴胡湯で禁忌となっているものに、血小板の数が10万以下という基準があります。
血小板が少ないということは、肝硬変や、重度の肝機能障害の疑いがあるということ。病状を悪化させてしまう恐れがあるため注意が必要です。
甘草の過剰服用
小柴胡湯にも含まれている甘草。この甘草を摂り過ぎると、偽アルドステロン症という副作用の心配があります。偽アルドステロン症で見られる症状には、以下のようなものがあります。
✅ むくみ
✅ 血圧上昇
✅ 手足のしびれ
✅ 脱力感
✅ 低カリウム血症
甘草は、小柴胡湯以外の漢方薬にもよく使われています。
病院で処方される場合は、薬剤師などがチェックしているので大丈夫だと思いますが、市販薬を飲むという場合は、飲み合わせなどを問い合わせるようにしてください。
甘草はサプリメントにも含まれていることがあるので気にしてみてくださいね。
【関連記事】
甘草(カンゾウ)の10の副作用に注意!【正しい一日量を解説】
その他の副作用
他に軽度の副作用として、以下のような症状が挙げられます。気になる症状が出た場合には、一度服用を中止して、医師や薬剤師に相談するようにしてください。
✅ 便秘
✅ 血尿 ✅ 残尿感 ✅ 膀胱炎 |
ほかにも、小柴胡湯がその人の体質「証」にあっていないと、吐き気や胃の不快感などの消化器症状や、かゆみや蕁麻疹などの皮膚症状が出てしまうこともあります。
こんな人は注意
妊婦さんや授乳期の人は安全性がまだ確立していないため、服用の際はよく相談するようにしてください。
しかし、小柴胡湯は風邪の後期に処方されることも多い漢方薬となっています。処方された時は、自分の体調や赤ちゃんの様子をよく観察しながら、慎重に服用するようにしましょう。
漢方薬はほかの医療用の薬と同じく、重篤な副作用の可能性もあります。自己判断で安易に飲むことはやめましょうね。
小柴胡湯の市販薬
漢方薬は基本、その人の体質「証」に合わせて処方しなくては、十分な作用を望めません。それどころか、証の合わない漢方薬を服用していると、副作用の心配なども出てきます。
できれば、病院できちんと処方箋を貰うことが望ましいのですが、軽い風邪でいつまでも治らないという場合などは市販薬を活用してみても良いかもしれませんね。
小柴胡湯の市販薬は、クラシエが出しているものが有名です。顆粒タイプが主流ですが、漢方のあの味が苦手という人には錠剤タイプもあります。
1箱に15日分入って、価格は顆粒タイプが5300円、錠剤タイプが5800円となっています。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。