無気力になる4つの原因!【やる気が出ないのはコノせいだった】
<監修医師 まっちゃん>
なにもしたくない、やる気が全然出なくてどうしようもない時がありますよね。
仕事でやっと抱えていた一大プロジェクトが終わったとか、長々とかかっていた論文を提出できたなど長期間ずっと自分にムチ打った後は誰でも無気力になります。
そうも言っていられないほど毎日状況はめまぐるしく変わりますし、できればそんな無気力な自分にならずに過ごしたいものです。
無気力や無関心な状態がこのまま続いてしまうのではないかと心配になることもあるでしょう。こんな空虚感ばかりが続いて無感動な人間になってしまうのではないか、無気力なまま勉強や打ち込んでいたスポーツも楽しめないような状況が続くのではないか、そもそもこんなに無気力になってしまった原因がわからない・・・
自分でもよくわからずに陥ることもある無気力。その原因や予防法を考えましょう。
無気力になる原因
「無気力」という言葉は使いますが、それが「無気力症候群」という病気の名前だということをご存知でしょうか。勝気な性格や完璧主義・正しくいなければならないと強く思い、常に肩ひじを張っている人が陥りやすいのです。
無気力症候群とは
無気力症候群はアパシーシンドロームと呼ばれます。
ある特定のものだけに無気力・無感動になるという特徴から気づきにくい疾患なのです。周囲には気づかれても自分自身の無気力さに困ったという自覚がなく気づかない、というのが無気力症候群の特殊な面でしょう。
健康状態や食事をしたり睡眠をとることなどにはあまり問題がないことが多く、ただただ無気力であるという難しい病態です。
無気力症候群は退却神経症と呼ばれることもあります。本来努力家で何事にも頑張って目標を達成しようとしている姿が特徴的なことにも関わらず、そこからあたかも退却するように無気力になっていくことからそう呼ばれます。
また特定の対象にだけ無気力なのもこの症候群の特徴です。
うつ病と似ている症状、見分けられる?
物事そのものに無関心になります、というとうつ病でもそのような症状を聞いたことがありますね。うつ病と無気力症候群の違いはその無関心の対象なのです。
うつ病の場合はすべてのものに対して無関心・無感動になります。自分が今日食事ができなかろうと世界で戦争が起きようと、地球が明日滅亡しようとまったく関心を示しません。
一方無気力症候群の場合は少し特殊で「選択的無気力状態」になります。簡単に言えば、仕事などの本業以外のことには関心を向けられるものの本業に関してはやる気ゼロという偏りを持った無気力さなのが問題となります。
ランチや休日の予定は入れられても仕事に精が出ない方はちょっと気を付けたほうが良いかもしれませんね。
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原因1:ストレス
一番の原因だと考えられるのはストレスです。
ストレスとは対決するか回避のための努力をするというのが一般的な人間の行動ですが、アパシーシンドロームの場合は違います。対決するでもなく回避するでもなく、自分がストレスを受けているという自覚がないのです。
原因2:人格形成
大人の心が形成されずに人格自体が未熟で幼いということです。子供の心をもって大人になって良いのはピーターパンだけですね・・・自分の幼さから周囲からの評価や自分の立ち回り方を考えることができずふさぎ込んで無気力症候群に陥りやすいのです。
原因3:自己主張
自分の意志が薄弱でどっちつかず、日和見的で主体性がないという性格も要因となります。自己を主張しなければならない場でも「どっちでもいい」と言えるようでは無気力症候群が付け入るスキだらけかもしれません。
強すぎる自己主張は社会で生きづらくなる要因ですが、ある程度は自分の主義主張を持って、ストレスをためない程度に自己主張をすることも大切です。
原因4:理想主義
理想は高く持つ方が良い仕事ができたりして結果として良好なことが多いものです。
しかし、現実の自分の足元を見ずに高い理想ばかりを抱いていてはいけません。いつしか理想と現実のはざまで自分自身のスタンスを受け入れられないほどの乖離状況に気づかされます。そして乖離状況を受け入れられないことがアパシーシンドロームの大きな原因になります。
無気力になりやすい人
原因はストレスと性格だけではありません。なりやすい年代や性別もありますが、それらには各所の周囲の状況も影響してきます。無気力になりやすい人やシチュエーションを解説します。
まじめ
カバンの中の荷物は常に整頓され、スーツは折り目も正しく常に清潔。性格はまじめでいつも目標に向かって努力を怠らない。そんな隙がない人は無気力症候群においては黄色信号かもしれません。
几帳面でまじめな人に多いアパシーシンドロームは成績優秀で努力を怠らずに高い目標を設定してそれを達成したあと、進むべき道を失った時にこそ起こりやすいのです。
若い男性
女性にも競争はありますが、特に若い年代の男性の場合は世間が競争意識を植え付けやすいという要素があります。
男性社会には競争する機会が多く、まだ若く未熟な時期にそのような場面に放り込まれると無気力症候群が起きるのです。女性でも評価を気にしすぎて馬車馬のように働きすぎていれば例外ではありません。
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完璧主義
すべてにおいて妥協を許さない完璧主義な人はある意味見ていて気持ちが良い時もあります。
しかし、完璧主義な人ほど無気力症候群になりやすいのです。失敗をした自分を許し受け入れることができず、そのために落ち込み方も人並み外れて大きいのです。
そうなるとひどい空虚感にさいなまれて無気力になり、アパシーシンドロームになってしまうのです。
プライドが高い
どんなことにも勝ち負けを気にする負けず嫌い、自分自身の価値にまで勝敗を付けてしまうほどプライドが高い人は負けることへの恐怖感と常に対峙しています。
わずかでも自分が劣っていると感じた時、一番になれなかったという事実を受け入れることが非常に難しいのです。受け入れることができない劣等感と気が済まないという感覚から大きく自信を喪失し、無気力症候群に陥るのです。
主婦
主婦の無気力症候群を特に主婦症候群と呼びます。
結婚や出産を機に退職して家庭に入ったことと引き換えにやりがいも社会的地位もあった仕事を捨てなければならなかった事実を受け入れられず、生きる気力まで失ってしまうことがあります。そこから主婦症候群が起こります。
また、子育てや家事でてんてこ舞いな毎日を過ごし、自分のすべてを家庭のために費やすという人生に希望を見いだせなくなり、自分の価値までもがわからなくなってしまうことも理由の一つです。
また、主婦に特有の「家事完璧主義」の裏に潜む大きなプレッシャーから症状が起こります。そのため、炊事ができなくなる台所恐怖症や家族を傷つける凶器になる包丁恐怖症などがあるとも言われる非常にデリケートな疾患です。
小学生
不登校の小学生の大部分が無気力症候群だと言われています。屋外で元気よく遊ぶ小学生の姿はこちらまで活力が出てくるように感じますが、複雑な家庭環境やいじめ・成績などが原因でアパシーシンドロームを発症します。
学習塾や習い事で生活全体のリズムが狂ったりゲームやスマホに没頭する時間が増えたことから昼夜逆転を起こして体内時計を狂わせたりすることも原因となります。
また、頑張り屋な子供ほどクラブ活動や学業の成績が下がったことを受け入れられずに無気力になったりします。また、「大きくなったら何になるか」という質問に対して答えられない子供が増えている状況から、飽和した社会の状態に対して明確な目的や夢を持てずにいることも原因と考えられます。
無気力にならないための予防法
環境は変えにくいものですが、自分の考え方の癖や性格を客観的に見直すことで予防できるのが無気力症候群です。無気力・無感動な状況に陥ることなく生活を送るための方法を考えてみましょう。
無気力症候群をセルフチェックしよう
まずは自己診断をしてみましょう。
✅ 学業や仕事、本業に対して無気力だ。
✅ 趣味や娯楽などの楽しいことはそれなりに楽しんでいる。
✅ 無気力だという状況に焦りや危機感を感じていない。
✅ 眠れない・食欲がない・落ち込みなどは感じない。
✅ 自分は完璧主義だと思う。
✅ 10代から20代の男性である。
6つの質問のうちYesが2つぐらいまでなら大丈夫です。もしも5つ以上Yesであればアパシーシンドロームの可能性がありますが、早期に見つけることで治療や予防措置をとることができますのでまずは焦らずに自分の状況を見直してみてください。
もしも今の状態が気になるという時には産業カウンセラーに相談したり、心療内科や神経科を受診してみるのも早期発見の手段です。
こだわらない生き方
失敗にこだわらないことでどんなに生きることが楽になるか考えたことがありますか?
できないことや勝ち負けや失敗など、こだわるほどにストレスは増え、自分を苦しめる一方です。そうではなく、失敗や優劣へのこだわりは、今日のの自分の等身大の出来事だと考え方を切り替えて忘れてしまいましょう。明日の自分にはまた違った出来事が間違いなくあるのですから。
何かに依存してしまいがちな体質についてくわしくはおちらをみて参考にして下さい。
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目標の立て方を変える
いきなり高い目標を立ててそこへ向かってがむしゃらに突き進むだけでは飽き足らず、目標を達成することに生きがいを感じるのは決して悪いことではあります。むしろ昨今の日本人が忘れている大切な感覚でしょう。
しかし必死に高所の目標を達成すると、その後どう過ごしたらよいのかを忘れてしまうということが無気力症候群の罹患者数を増やしているのです。
目標は段階的に立てることを考えてみましょう。1段階ずつ達成する喜びを重ねていく方が人生は楽しいものです。
距離を縮めて関係性を変えよう
勝ち負けにこだわり失敗しない自分を作り出している人はどうしても精神的に孤立しがちです。
一匹狼は格好よく見えることもありますが、押しつぶされる寸前というほどストレスがかかっていると推測できます。何事も独断でそつなくこなすのは大人として賞賛に値しますが、出来すぎると誰の手助けもいらないんだと周囲に勘違いされて次第に敬遠されてしまいます。
ほんの少しだけ、これを誰かに一緒に持ってもらえると楽かも・・・と思う瞬間こそ周囲との距離を縮めるチャンスです。
完璧主義では有り得なくても普通の人間であれば人に頼ったり甘えたりしてみるものです。いきなり「甘えられる人間関係を作る」というのはまた高いハードルかもしれませんので、ちょっとだけ手伝ってと声をかけてみるのはどうでしょうか。
人生の出来事として楽しむ
ピンチはチャンスと背中合わせ、無気力になるほどの困難な出来事の裏側にはチャンスしかないのです。
失敗も成功も人生のなかの一つの出来事、後で振り返った時に失敗でさえちょっと笑える出来事に変えてしまうのです。人前でプレゼンに失敗したら、落ち込んで考え込み自信を失い無気力になるのではなく「命を取られるわけじゃないし、いいか」と考え直してください。
格好よく高い目標のバーを飛び越える予定が挫折してかえって格好が悪すぎる状況になったとしても、周囲の人の方を振り向いてギャグの一つでも投げられるぐらいの心の余裕をもって勝負さえも楽しみましょう。
すべての人間は全能ではありませんし、十人十色というのは「皆が皆良い子でなくても構わない」ということだと思いませんか?
大きな課題ですが、人生は空虚感にさいなまれるよりも楽しんだ者が勝ちです。
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