熱中症と眠気の関係とは【だるさなど症状について詳しく解説!】
<監修医師 豊田早苗>
真夏の暑い時期に良く聞く身体の不調は「熱中症」ではないでしょうか。
熱中症は酷い場合には死に至る可能性もある為、高齢者は特に注意が必要になります。今回は熱中症について、お話ししていきましょう。
気になる所から確認してみよう
熱中症とは?
熱中症とは室内室外を問わず、高温多湿な環境下で起こる身体の適応障害の総称を言います。一般的に「日射病」や「熱射病」と呼ばれているものは、熱中症の重症の事を指します。
熱中症の際の身体の中の状態としては、脳の「視床下部」の体温を正常に保つ機能が低下する事によって、汗が出ない、体温が40度近くなるなどの症状が出る事で死亡に至ってしまうという緊急の状態です。
良く真夏の太陽の下で熱中症になってしまったというのは、日射病の事になります。
熱中症の主な症状としては
✅ めまい、立ちくらみ、身体のほてり、意識消失
✅ 筋肉の痙攣(けいれん) ✅ 身体がだるい、吐き気、頭痛、腹痛 ✅ 異常発汗 ✅ 体温上昇、皮膚が暑い ✅ 声を掛けても反応しない、歩けない ✅ 脱水状態、水分補給できない |
などが挙げられます。これらの症状が見られた場合にはすぐに医療機関を受診する事が重要です。
暑いだけじゃない!熱中症の4つの原因
炎天下で良く熱中症になる話は耳にするかもしれませんが、熱中症になってしまうそもそもの原因とは何なのでしょうか。
熱中症の原因を4つ見ていきましょう。
1.外気が皮膚の温度より高い場合
人間の身体は皮膚からの放熱や汗をかくことによって、体温調節をしています。
しかしながら外気の温度が皮膚の温度よりも異常に高いと、体温調節機能が上手く働かず、放熱や汗をかくことが出来なくなってしまい、体温が上昇し、熱中症を引き起こす原因となります。
2.元々疾患のある方
元々疾患のある方や高齢者、肥満体型の方、糖尿病やアルコール依存症の患者さんは熱中症になりやすいと言われています。
3.炎天下での長時間に及ぶ作業
夏場の気温の高い灼熱の環境の下や湿度が高く通気性の悪い場所などで、長時間に渡り、運動や作業を行う事で熱中症になる事があります。
よく耳にするのが、乳児などが真夏に車内に閉じ込められた際に、熱中症になってしまったりなどのニュースではないでしょうか。
4.元々の体質の関係
麻酔によって異常に高体温になる「悪性高熱症」になる方がいらっしゃいます。
熱中症によく似た病気なのですが、骨格筋の筋小胞体におけるカルシウムの代謝異常が原因で、家系的な要因があるという事が研究で分かっています。
熱中症による眠気はこの症状が併発する!
熱中症に陥った際に出ると言われているのが「眠気」です。熱くて具合が悪いのに眠くなるの?という疑問も出てくるかもしれませんが、眠気と共に熱中症の症状が見られる事は多くあります。
熱中症によって眠気が出た場合の併発する症状を軽度から重度に分けて見ていきましょう。
1.軽度の症状
軽度の症状として挙げられるのが、
✅ 眠気とめまい
✅ 眠気とほてり
✅ 眠気とこむら返り
✅ 眠気と大量発汗
✅ 眠気と筋肉痛 になります。
これらのセットの症状が出ている場合には、熱中症の軽度の症状になっている可能性があります。
2.中度の症状
✅ 眠気と頭痛
✅ 眠気と吐き気、嘔吐する
✅ 眠気と倦怠感、虚脱感
などが挙げられます。軽度から中度に関しての眠気の原因としては、身体の内側に熱がこもり過ぎてしまい、脳内の処理能力が低下している為です。
もしも頭痛・吐き気・めまいが同時に起きた場合はこちらも参考にして下さい。
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3.重度の症状
重症の際にも眠気が熱中症の症状と共に現れる場合があります。
主に見られる症状としては
✅ 眠気と意識障害
✅ 眠気と痙攣(けいれん)
✅ 眠気と運動障害
✅ 眠気と高熱
が挙げられます。この重度の場合は「眠気=意識障害」に当たります。即座に病院で手当てを受ける必要があります。眠気と併発する熱中症の症状が見られたら、すぐに医師の診察を受けるようにしましょう。
意識障害についてはこちらを参考にして下さい。
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熱中症による眠気の3つの対処法
熱中症の際に「眠気と熱中症の症状」が見られるお話しをしましたが、その症状が見られた際にすぐに救急搬送などの対応が難しい場合、応急処置としての対処法にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
1.涼しい環境へ移動する
熱中症の可能性のある方は熱が身体の内部にこもっている状態です。
熱を身体の外に放出させる必要がありますので、エアコンの効いている涼しい環境や太陽の当たらない日陰などにすぐに身体を移動させるようにしましょう。
2.水分補給を行う
眠気が起こってそのまま寝てしまうと、熱中症の症状である「脱水状態」が悪化する可能性があります。まずは水分を補給する事が大切です。
水分だけでなく身体の中に塩分も一緒に入れる事が重要ですので、スポーツドリンクや経口補水液などのドリンクがおすすめです。
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3.身体を冷却させる
身体の脇や太ももの付け根、首などを保冷剤や冷たいタオルで冷やす事で身体の熱を下げる事が可能です。
対処法を知っておくことで、熱中症の重症化を防ぐ事が出来ます。ぜひ覚えておきましょう。
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眠気を伴う熱中症はとても危険!
熱中症の際に眠気と症状が併発する事をお伝えしてきましたが、眠気が伴う熱中症というのは実はかなり「危険」な状態です。
最初は「身体のだるさ、倦怠感」を感じていたものが、「眠い」に変わってしまうと非常に危険なサインになります。
例えは野外でもなりやすい熱中症ですが、暑い日の夜などにも起こる事がよくあります。
エアコンを付けないで熱帯夜に就寝していて、「寝不足が続いていたからだるい」と思っていたら、急に眠くなってしまったりというのは「熱中症による意識障害」の可能性があります。
ここで眠ってしまうと意識消失してしまい、周りの問いかけにも応じない事が多々あります。
急な眠気が襲ってきた場合、また一緒に熱中症のような自覚症状が出た場合にはすぐに「水分補給」をし、病院を受診するようにしましょう。
万が一眠ってしまった場合には、救急車を呼ぶ方が良いです。熱中症の症状が進行し、酷い脱水状態などに陥ると死に至る可能性もあるからです。
家族の人が同居の場合には良いですが、一人の場合には眠気がきて連絡が取れる時に即、近くの方にSOSサインを出すようにしましょう。
熱中症を予防しよう
熱中症は重症化すると死に至る可能性もあります。出来るだけ熱中症を防ぐためにも、普段から熱中症にならないように予防を心がけることが大切です。熱中症の予防法をご紹介していきます。
1.水分補給をしっかり行う
暑い日などにはすぐに水分補給が出来るように、水筒などを持ち歩くように心がけましょう。水分不足は脱水症に繋がる可能性もあります。
脱水症状の対処方法についてはこちらを参考にして下さい。
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2.休憩をこまめに行う
炎天下の作業などは長時間続けて行わないよう、こまめに休憩をとるようにし、無理をしないようにしましょう。
3.衣服の調節
スーツの男性などは常に身体に熱がこもりがちになってしまいますよね。出来れば下着などに吸水性や速乾性に優れた下着などを身に付けて、身体のこもった熱を外に出すような工夫をした方が良いです。
4.日差しを避ける
直射日光の当たる気温の高い時間帯などには、なるべく外出を避けるなどした方が良いです。また暑い日の外出には帽子や日傘などの日よけ対策のものを身に付けると良いでしょう。
5.冷却グッズを身に付ける
最近では冷却シートや首に巻ける冷却スカーフなどの熱中症対策グッズが多く販売されています。冷却グッズを活用し、熱中症を予防しましょう。
6.室内を涼しく
暑い日に無理をせずにエアコンや扇風機などで、室温を調節するようにしましょう。涼しい環境で良質の睡眠をきちんととる事も大切になってきます。
熱中症の落とし穴!冬場も要注意
熱中症=夏場に起こるものと思われがちですが、熱中症は実は「冬場」にも起こる事があります。寒い時になぜと思われるかもしれませんが、意外にも冬場の熱中症になりやすいのは「乳幼児、子ども、高齢者」です。
なぜなりやすいのかというと、一番の原因は「脱水症状」です。
冬場は乾燥している日が多く、気が付かないうちに脱水状態になっている「隠れ脱水」に陥る可能性があり、隠れ脱水の症状が進行すると熱中症になるリスクが高まります。
冬場は脱水にならないだろうと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、冬場こそ注意が必要なのです。
他にも冬場には風邪を引きやすい季節になります。ウイルスによる下痢や嘔吐からの脱水により、一気に脱水状態になる事も冬場の熱中症の原因の一つと言われています。
特に乳幼児や子どもはまだ体温調節が未発達なのと、高齢者に関しては逆に暑さを感じにくい方もいます。その為、部屋の暖房を入れすぎる事により乾燥し、脱水状態になるという事もなくはありません。
冬場こそしっかりと水分補給、そして乾燥対策に加湿器を用いたりして、予防する事が大切になります。
熱中症は暑い日に多く報告される症状ですが、冬場にもなる可能性があり、重症化すると死に至るケースもあります。
出来るだけ普段から水分補給をし、無理のない生活環境を整える事も熱中症を予防する事の一つではないでしょうか。
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