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迂遠の意味とは?【その思考障害について分かりやすく解説!】

<監修医師 豊田早苗>
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「迂遠なやり方」など、日本語の例文としては使用できるのに、そもそもどんな意味を持つのか理解した上で使用できている方は少ないですよね。

迂遠とは、思考障害の一種です。いったい医学的にはどんな観念なのか、今回は迂遠の意味とその思考障害について分かりやすく解説します。

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迂遠とはどんな思考障害か

 

迂遠の日本語上の意味

日本語の活用上で迂遠(うえん)が使用される場合、主に二つの意味で使用されます。例文と共にご紹介します。

1. まわりくどく、結果役に立たない様子

例)この方法は迂遠すぎるからやめておこう。

2. 世の動向に疎いさま

例)彼はこの業界に迂遠だ。

類語は「婉曲」「暗に」、対義語は「率直」です。

 

迂遠の医学的意味

迂遠とは、医学的には思考過程の障害と呼ばれる思考障害の1つです。思考過程の障害は、合理的思考ができない状態です。

そのため紆余曲折を経て、あちこちに思考が飛散しつつようやく思考目標に到達します。

最終的な思考目標は見失わないのですが、遠回りの思考となるので考えが脱線しやすく、なかなか結論に到達できないため、本人はもちろん周囲の人間もやきもきします。

通常の合理的な思考下では、思考目標に関係ないと判断した情報を斬り捨てる判断が出来ます。しかし迂遠の状態に陥ると瑣末な情報にとらわれるためなかなか要領を得ない状態で、話も冗長です。

 

迂遠とそのほかの障害の違い

迂遠と似たような思考障害がある精神障害には、強迫性障害脳器質性精神障害があります。まず強迫性障害は不合理な思考に基づいて行動してしまう疾患です。

合理的に思考できない迂遠と似てはいますが、迂遠は思考過程の障害であるのに対し、強迫性障害は思考内容の障害です。

遠回りながら思考目標に到達できる迂遠とは異なり、思考結果が自分にとって不都合であると分かっていても強迫観念に迫られ行動してしまいます。

脳器質性精神障害は脳そのものにダメージを受けて精神障害を引き起こす病気です。幻覚や注意力散漫を引き起こし、思考そのものが難しいです。そのため思考は出来る迂遠とは異なります。

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迂遠が発症する4つの疾患

 

迂遠は精神障害の一つの症状です。どんな疾患に罹患すると症状を発症しやすいのかご紹介します。

 

てんかん

てんかんとは、てんかん発作を繰り返す脳機能の障害を指します。なんらかの理由で脳の神経細胞に過剰な電気放電が起こり、興奮状態に陥った結果、てんかん発作が出ます。

てんかん発作は「間代発作」と呼ばれる、全身が痙攣を起こすものから、逆に全身が硬直する「強直発作」、一瞬意識を失う「欠神発作」などさまざまで、いろいろな症状が複合して起きることもあり、症状は人それぞれです。

脳波の測定により診断が可能です。てんかんは脳の障害なので、それに伴い様々な精神的変化が起きます。迂遠になったり、粘着質になったりと、性格が変わることもあります。

またてんかん発作をくり返し引き起こすと社会生活に馴染みにくくなり、孤独を味わった結果うつ病を併発する場合もあります。

 

統合失調症

統合失調症精神疾患のひとつで、妄想や幻覚が見えるのが特徴です。思考だけではなく、感覚や行動までも一般常識から乖離してしまうために、社会生活や人間関係の構築が困難になります。

また思考内容だけではなく、思考の過程も異常になり、思考迂遠や思考滅裂、思考制止といった現象も起きます。思考以外にも食欲不振や不眠など、自律神経の乱れも顕著に見られる疾患です。

 

痴呆・認知症

痴呆認知症は高齢者に多く見られる疾患です。まず、精神障害と痴ほう・認知症は区別して扱います。

認知症では、記憶障害、見当識障害(時間や場所などが分からなくなる状態)、認知障害(記憶力、注意力、思考力、判断力、遂行力などが低下した状態)が見られますが、その他にも、迂遠・妄想といった思考障害から、不安やうつ状態といった感情障害など多岐にわたる症状が個人差はありますが出現します。認知症の方が迂遠の症状を引き起こすと話が冗長になり、回りくどく「何を言いたいのか分からない」という状態になります。

また時間がなかったり結論を急かしたりすることで、さらに本人も「思っていることと反している内容が乖離してしまう」という状態になります。

高齢者によっては、相手になかなか自分の意思が伝わらないため精神的苦痛を感じる場合もあり、悪化すると鬱病を発症します。

 

粘着気質者

ドイツの精神学者クレッチマーは、体型と性格に関連があると考え、大きく三つの型に分類しました。「細長い・神経質」「肥満・躁鬱質」「拳闘士・粘着質」の三つです。

現代ではこの考えが必ずしも当てはまるわけではないと考えられていますが、この理論より、物事に粘着する気質の人を「粘着気質者」と呼びます。

粘着気質は病気ではありませんが、さまざまな問題に気を取られ(粘着)してしまい、結果として迂遠のような思考回路に陥ります

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迂遠は治療できるの?

 

迂遠の症状と関係する病気の種類についてご紹介して参りましたが、「治療可能なのか」という疑問が残るかと思います。治療方法と患者への向き合い方について解説します。

 

迂遠の治療方法

迂遠だけを治療する方法は現在ありません。まずはなぜ迂遠といった症状が起きるのか、原因となる疾患は何かをつきとめます。

そして病気ごとの治療を行うことで、迂遠の症状に変化が起きます。脳に問題があれば脳神経外科を、精神的な環境が問題であれば心療内科を受診します。

 

薬で治るの?

迂遠はあくまで思考パターンの一種です。迂遠のみを薬物療法で治すことはできません。ただし今日、うつ病や統合失調症の治療にはほぼ必ずと言っていいほど、薬物療法を用います。

薬物療法は脳科学的なアプローチから症状を改善しようとする方法です。薬だけの力で迂遠を直すことは出来ませんが、迂遠の原因となる疾患の治療を行えば、症状を緩和することが出来ます

 

高齢者と迂遠の関係

高齢者の介護で重要なのは、相手の意思を汲むことです。しかし痴呆や認知症は迂遠を伴うことが多く、相手の意思を確認することが困難です。

そのため誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)など、症状に気づかず放置した結果、悪化させてしまうケースが目立ちます。

高齢者の日常生活を支援する場合は、「一度に聞くのは一つの内容に対してだけ」「分かりやすい単語を選んで話す」といった配慮が必要です。

 

迂遠について、どのような思考障害が起こるのかお伝えしました。病気の場合、症状の一種として思考障害が起き、「迂遠」と呼ばれる非合理的な思考になる可能性があります。

お伝えしたような病気に該当する人と話したり支援を行う際、「どうして話し方が回りくどいんだろう」と思ったら、相手が答えやすいように分かりやすくすぐに答えられる質問を行うと良いでしょう。

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