クロイツフェルトヤコブ病とは?【意外な感染経路や原因を解説!】
<監修医師 豊田早苗>
様々な病気が存在していますが、クロイツフェルトヤコブ病という病気を知っていますか?病気の原因から感染経路について説明していきます。
気になる所から確認してみよう
クロイツフェルトヤコブ病とは?
クロイツフェルトヤコブ病とは、プリオン病と呼ばれる病気の一種です。
プリオン病とは、正常なプリオンタンパクが何らかの原因で感染性をもつ異常プリオンタンパクに変化してしまい、それが脳などの神経に蓄積することによって神経細胞を壊してしまうことで発症する病気です。
神経難病疾患の一つに指定されていて、致死性が高い病気です。プリオンタンパクはとはアミノ酸から成るタンパク質で、すべての人にあります。
特に脳や脊髄などの神経に多く存在している物質ですが、活性酸素を除去し神経細胞の生存を維持する働きを行っています。
プリオン病についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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クロイツフェルトヤコブ病の症状
神経細胞が破壊されてしまい、致死性も高くとても怖い病気です。症状はどのような原因で起きたかによって様々です。
突発性(孤発性)によって発症したクロイツフェルトヤコブ病は3期に分類されます。大まかな症状としては行動異常や性格の変化や認知症、視覚異常、歩行障害などがあります。
突発性1期症状
日常生活において次第に動作が減っていく症状があります。主に倦怠感やふらつき、視覚異常、抑うつ、物忘れや失調症状があります。
突発性2期症状
発症後数ヶ月以内に認知症が急に進行するようになり、言葉が出にくくなることや意思疎通ができなくなり、不随運動(自分の意志に関係しない動き)があります。
ふらつきながらの歩行や筋肉が固くなるなどの症状があり、徐々に歩行困難になり、半年以内に自発運動がなくなり寝たきりになります。
歩行障害についてはこちらも参考にして下さい。
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突発性3期症状
3期になると全身的に衰弱していき、体の筋肉の動きも衰え免疫も弱くなっていきます。多くの場合は急速に進行した後、全身衰弱や呼吸麻痺などによって亡くなることが多いです。
遺伝性症状
初期は記憶障害、言葉が話せなくなるなどの高次機能障害があり、緩やかに進行します。
不随運動や視覚障害はありませんが、発症して約2年から数年だと言われ、末期には突発性と同じように無動無言状態になります。
獲得性症状
獲得性というのは変異したプリオンタンパクが体に入った事によって起きるクロイツフェルトヤコブ病のことを指します。
変異型の場合、初期は抑うつ、不安、自閉、無関心、錯乱などの精神症状があり、進行すると認知症が顕著に表れ、失調症状や四肢の痛み、感覚異常・障害があります。
移植などによって発症した(医原性)クロイツフェルトヤコブ病では眼球運動障害や視覚異常がありますが不随運動はありません。症状は緩やかな進行で2年ほどで亡くなることがあります。
クロイツフェルトヤコブ病になる原因
症状も重い病気ですが、病気にかかる原因には何があるのでしょうか?
異常プリオン
最初に説明したように、異常プリオンタンパクという物質が原因と考えられています。
しかし、異常プリオンタンパクがどのような機序で感染し発症するのか分かっていないために神経難病疾患になっているのです。
遺伝子
プリオンタンパクの遺伝子が生まれつき変異を起こしていると、プリオンタンパクが異常プリオンタンパクになりやすく、病気になり易くなります。
移植
特殊な場合として、移植によって異常プリオン蛋白の感染が原因で病気になることがあります。
クロイツフェルトヤコブ病で亡くなった患者さんから角膜(目の一部)や脳硬膜(脳の一部)を移植された人や、狂牛病(牛海綿状脳症)にかかった牛を人が食べて感染する場合もあります。
日本では、プリオン病にかかっている方の硬膜を移植されてクロイツフェルトヤコブ病に感染してしまう場合が他の国に比べて多く、全世界のおよそ3分の2の方が日本で発症しています。
脳外科手術時にLyodura(商品名)という硬膜の移植であることが確実であると言われています。
不明
プリオン病のうち、原因が不明で突発的(孤発性)に病気にかかってしまう人が多く、全体の2/3になります。
突発的に病気を引き起こしてしまう際に、唯一分かっている危険な因子は加齢ですが、どうして加齢とともに異常型プリオン蛋白が脳に蓄積されるのかについては分かっていません。
クロイツフェルトヤコブ病の感染経路
血液、牛、危険部位、接触感染はない
クロイツフェルトヤコブ病にかかっている方の血液や便、唾液、汗などの体液は、世界保健機構による感染性の分類では感染の可能性は少ないとされています。
しかし、輸血による感染の可能性が指摘されている為に、病気にかかっている方の献血はできないようになっています。体液の接触感染はないですが、脳や脊髄、リンパ系の組織には強い感染性があります。
医療行為を介して感染する可能性が高く、医療機関を受診するときには、クロイツフェルトヤコブ病にかかっていることを伝えるようにしましょう。
日常的な接触や介護では感染しないので、日常生活に特別な注意は必要ないそうですが、爪切りや口腔内の洗浄、入れ歯の入れ替えなどの時には切り傷をしないように注意し、血液で手についてしまった場合にはしっかり手を洗うなどしてください。
また、プリオン病原体が牛などから人へと感染する可能性があるため、牛の脳、脊髄、眼、回腸部の摂食は避けるべきだと考えられています。そのような危険部位については、日本では流通が禁止されています。
クロイツフェルトヤコブ病は脳波検査、MRI、髄液検査を行う事で特定されます。
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関係性のある病気としてクールー病がありますが、強調運動(手と手、手と足などの動きを同時にすること)の喪失や歩行障害があります。
似たような病気の可能性もあるために、症状を疑う場合には脳神経外科や神経内科を受診するようにしてください。
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