えっ痛くない痔はあるの?血が出てて心配。。
<監修医師 春田 萌>
トイレで排便した後ふと見たら血が!
痛みもないのに血が出たら「何かの病気なんじゃ・・・」と不安になりますよね。
今回は、そんな出血を伴う痔とその治療方法についてご説明します!
気になる所から確認してみよう
出血しても痛くないけど、これは痔なの?
痔と言っても、様々な種類があるのをご存知でしたか?
排便時に出血があるけれど痛みがない、その場合はイボ痔の一種、内痔核(ないじかく)です。
痛みのないイボ痔、内痔核
痔とは、肛門周辺に起こる病気の総称です。
その中には、イボ痔、切れ痔、痔ろうの3種類があります。
イボ痔はさらに内痔核と外痔核に分けられますが、そのうち内痔核の症状は、少ない痛みと出血です。
それでは、内痔核とはどんな病気なのでしょうか。詳しく見てみましょう。
内痔核とはこんな病気
簡単に言うと内痔核というのは、肛門の閉じている部分より内側にイボができてしまった病気です。
日本人の痔の中で一番多いと言われるのがこのイボ痔です。
例えば、便秘や、排便時のいきみが強い方、長時間同じ姿勢(特に座って)を取っている方、妊娠や出産をきっかけにして起こるといいます。
特徴は、痛みがほとんど無いということ。
ただし、排便時に出血したり、痔核(イボ)が肛門から脱出(脱肛)して気づくケースが多いです。
例えば、
✅ 排便時に出血
ポタポタ垂れる、シューっとほとばしるなど出血の仕方は様々です。
✅肛門からイボが出てくる。
この症状がある場合は内痔核です。
症状がひどくなると、だんだんイボが頻繁に肛門から出てくるようになり、そのうち指で押し戻さないと戻らなくなります。
イボが大きくなりすぎると、最終的には指で押しても戻らなくなってしまうのです。
その他の痔
その他の痔は痛みがあります。イボ痔の仲間のもう一つは外痔核です。
これは腫れてしまって激しく痛みますが、出血はありません。
切れ痔は、文字通り肛門近くが裂けて傷ができてしまいます。
こちらも痛みと出血があります。痔ろうは、直腸から細菌が感染して、皮膚までトンネルのように貫通してしまう病気です。
肛門周辺が腫れて痛み、熱が出ることもあります。膿が出てくるのも特徴です。
排便時の痛みのない出血はイボ痔の一種、内痔核であることがわかりましたが、そもそもなぜ痛まないのでしょう?
痛くない原因
内痔核はなぜ、痛みが少ないのか。その秘密は肛門の構造にありました。
肛門の構造と知覚神経
肛門と直腸はつながっています。
お尻の皮膚は肛門の中まで繋がっていて、歯状線(しじょうせん)と呼ばれるでこぼことした境界線があり、その奥からは直腸(皮膚ではなく粘膜)になります。
歯状線より下を肛門と呼びます。
肛門は、肛門括約筋という筋肉で囲まれていて、排便時はこの筋肉を緩めて開くようになっています。
実は歯状線のすぐ上の直腸側の部分には、知覚神経(痛みを感じる神経)が通っていません。
逆に、歯状線より下の肛門側の皮膚には知覚神経が通っています。
内痔核が痛くない理由
先ほど、内痔核と外痔核と説明しましたが、これらの違いは、イボが歯状線より内側(直腸側)か外側(お尻側)かどうかです。
つまり、内痔核ができる場所は歯状線より上(内側)なので、知覚神経が通っていないため、イボができても痛みを感じることができないのです。
痛みがなくても、出血があれば内痔核のサインです。
痛くない痔は放置していても大丈夫?
「出血してるけど痛くないからいいや」と思っていませんか?
これは、ひどくなると痛くなるだろうという思い込みがあるからだと思いますが、それは大きな間違いかもしれません。
放置は厳禁
先ほど説明した通り、内痔核は痛くないというより、神経が通ってないので「痛く感じない」だけなのです。
気づかないうちに症状が進行してしまうということも十分にあり得るのです。
放置すると症状が悪化
内痔核というのは、排便痔のいきみが強く、繰り返された場合に発生します。
クッションとなっている組織が何度も伸びてちぎれた結果、たるみが起きて、そこに血液が流れ込み、うっ血した状態になってしまします。
つまり、放置して、排便時に肛門付近に負担をかけ続けて行けば、症状はどんどん悪くなるものだと考えてください。
内痔核の分類、最悪手術が必要?!
内痔核は、痔核の脱出(脱肛)の度合いにより分類されています。
I度:痛みが少なく、脱出が見られない、初期の段階。排便時の出血が見られる。
II度:排便時に痔核が脱出するが、自然に戻る。
III度:近くが脱出して、指で押し込まないと戻らなくなる。 重いものを持った時にも脱出することがある。病院での診察を勧める。
IV度:痔核は指で押し込んでも戻らなくなる。 肛門の周囲の皮膚がかぶれたり、強いかゆみが出たりする。病院で診察を勧める。 |
I度やII度の初期段階であれば、治療薬などで症状が改善されていきます。
ですが、III度〜IV度になってしまうと手術が必要になることもあります。
早く治療するほど、治療は軽く済むので、ぜひ、放置せずに早期治療を心がけてください。
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イボ痔の手術は痛くない?
では、イボ痔の治療にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
手術
手術が必要なのは、重度の症状をお持ちの方だけです。
また、手術も15〜20分ほどで終わり、長期に入院する必要もありません。
昔は痔の手術は痛いものでしたが、現在は手術の道具、技術、そして薬も進歩しましたので、以前ほど痛みはないとされています。
手術時の出血も少ないため、安心して手術を受けてください。
手術後に多少痛みがあったとしても、痛み止めを処方してくれますし、
しばらくは下剤を服用して排便時にいきまないようにすれば痛みもぐんと少なくなります。
注射療法
もう一つ、イボ痔を切除しないで治療する方法があります。
それが注射療法と呼ばれるもので、中から脱出しているイボ痔に、注射で薬を注入しイボを小さくする方法です。
知覚神経が通っていない部分への注射なので痛くないのが最も大きなメリットです。
薬物治療
痔というのは、生活習慣が深く関連している病気です。
そのため、初期症状であれば、薬を利用し便通を良くしたり軟膏をつけたりすることで症状を改善させることができます。
内服薬は、病院で処方される場合は鎮痛効果、止血作用、炎症を抑える薬などをもらえます。
便秘でお悩みの方は下剤を服用して排便しやすくすることも大事です。
さらに、座薬や注入軟膏で患部に直接作用させてイボを小さくします。
こちらは市販薬も発売されていて、ボラギノールやブリザエースがよく知られています。
病院に行く時間がない方はまずは市販薬で試すのも一手です。
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まとめ
今回は、痛みの少ない痔、内痔核についてご紹介しましたがいかがでしたか?
痔は今や生活習慣病とも言われています。
座っている時間が長い、便秘、ストレスなどが痔の原因となる場合が多いからです。
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デスクワークが多い方も、たまには立ち上がってリフレッシュする、
食物繊維と水をたっぷり取って排便をスムーズする、運動を心がけるなど、少しの努力で痔を予防できます。
痔なんて恥ずかしいと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、日本人の多くが痔に悩んでいます。
症状が悪化すると治療に時間がかかりますし、自分で見えにくい部分でもあるので、億劫がらずに、専門医の方に相談してみてください。
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