アスピリンのこの副作用に注意!【抑える薬をチェックしよう】
<監修薬剤師 サリー>
アスピリンってどんな薬か知っていますか?薬はメリットがある反面、デメリットもあります。薬を飲む際は、デメリットもあることを知った上で飲むことが必要になります。
アスピリンってどんな薬?
アスピリンの起源
アスピリン(別名:アセチルサリチル酸)は、世界で初めて合成された医薬品で110年以上の歴史を持ちます。
抗炎症・解熱・鎮痛剤として最もポピュラーな薬剤です。もともとヤナギの樹皮や葉に含まれる成分です。ヒポクラテスが紀元前に、ヤナギの葉を出産時の痛みを軽減するために使っていた記録も残っています。
アスピリンの効果
アスピリンには以下の作用や機序があります。
✅ 抗炎症作用
抗炎症作用とは炎症を抑える作用のことです。炎症とは、細菌やウイルスがカラダの中に入ってきた時に起き、カラダを守るための反応です。痛みを伴い、骨髄炎や尿路感染症、急性胃炎、リウマチなどの病気で炎症が起きます。
✅ 解熱作用
解熱作用とは熱を下げる作用のことです。カラダに入ってきた細菌やウイルスを倒す為に体温を上げて、カラダの免疫力を上げます。熱があることで、きつさや食欲減退、発汗、脱水の症状があります。
✅ 抗血栓作用
血液をさらさらにする・血を固まりにくくする為に使われる薬です。血を固める為には血小板が作用するのですが、固まろうとする働きを阻害します。
内服する用途としては心筋梗塞や脳卒中、狭心症など血の固まりが血管を塞いでしまう病気の二次予防に使われます。
抗炎症、解熱、抗血栓作用を持つことから、急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群(別名:川崎病)に用いられています。川崎病とは小児の難病で、全身の血管に炎症が起こる症状です。
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市販薬
アスピリンが主成分の市販薬として以下のものがあります。
✅ バファリン(プレミアム・ルナi)
✅ バイエルアスピリン ✅ エキセドリンA錠 ✅ ケロリン |
などがあります。
アスピリンには副作用がある
いくつもの効果がある反面、デメリットとして副作用がある事も知っておかなければいけません。副作用の症状を説明します。
胃腸症状
アスピリン内服時に最も多い副作用です。胃腸症状といってもざっくりしていてわかりにくいと思います。具体的には以下のような症状があります。
✅ 消化管潰瘍
✅ 食道炎 ✅ 消化管出血 ✅ 食欲不振 ✅ 嘔吐、吐き気 ✅ 腹痛 ✅ 胸やけ ✅ 便秘、下痢 |
消化管出血
消化管(口、咽頭、食道、胃、小腸、大腸)が出血したことによって、血便や黒いタール状の便が出ることもあるそうです。また、吐血もあるそうです。高齢者の方は血管の状態にもよりますが、注意が必要です。
血便が症状として表れる原因についてはこちらを見て参考にして下さい。
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喘息・じんましん発作
アスピリンなどの解熱鎮痛薬を服用後(数日~半日)にかゆみを伴うじんましんや唇、まぶたの腫れがあった場合は、アスピリンの副作用である可能性があり、それらは気道(ぜんそく)型と皮膚(じんましん)型に分かれます。
✅ 気道(ぜんそく)型
アスピリンによる喘息(NSAIDs過敏症喘息)を発症し、気管支喘息が基礎疾患の方が気管支炎や鼻炎が誘発されることもあります。
✅ 皮膚(じんましん)型
元々じんましん発作が出やすい方がアスピリンを内服する事で、さらに悪化し血管浮腫(まぶた、唇が腫れる)が誘発されてしまうことがあります。
血液異常
貧血や血小板の機能(かさぶたを作るなどの働き)が落ち、出血しやすい場合があります。
血小板の機能についてはこちらを参考にして下さい。
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腎・肝機能障害
肝機能障害によって血液検査の数値が顕著に上昇したり黄疸などの症状が出ることがあります。腎臓が悪くなるとカラダのなかの老廃物の排出が出来なくなります。
その他
他の症状としては、気分が悪くなることやめまい、耳なりや難聴、カラダのだるさ、時には眠気があるなどの症状があります。
また、小児がインフルエンザにかかった際に解熱鎮痛薬としてアスピリンを内服することで急性脳症になることもあるので注意が必要です。
重篤症状
内服後に起きる副作用として、重い副作用は滅多にないとされていますが、あらかじめ知っておくことが必要になります。具体的には以下のような症状・初期症状があります。
✅ アナフィラキシーショック
→呼吸困難、あざのように全身が赤くなる、発疹、虫に刺されたように皮膚が腫れる ※初期症状…気分不良、冷や汗や手足のしびれ、息苦しさ ✅ 出血 →肺や消化管、脳や眼からの出血 ※初期症状…カラダの麻痺、意識が遠のく、頭痛 ✅ 粘膜障害 →中毒性皮膚壊死症、紅斑症 ※中毒性皮膚壊死症…皮膚が赤くなる、焼けるように痛む、水ぶくれ 紅斑症…皮膚が赤くなる、水ぶくれ、発熱 |
つらい副作用をストップ!
副作用がある薬を飲み続けるのは苦痛ですし、他の症状を併発してしまうかもしれません。そのようなことがないように、副作用を抑えることの出来る薬も一緒に内服するのです。
胃酸分泌抑制薬
胃酸の分泌を抑える胃酸抑制薬を併用することによって、消化管から出血するリスクが低くなり、更に胃粘膜障害を予防できます。食前や食間、就寝前に内服します。
胃粘膜保護剤
アスピリンを内服したことによる副作用で、荒れてしまった胃粘膜の保護や修復を補助する薬です。胃の粘膜に直接作用する働きがある為、胃酸分泌抑制薬と同様、食前や食間、就寝前に飲むことがあります。
制酸薬
胃腸薬の一つで、胃酸の酸性を一時的に中和することや、胃酸を吸着して作用を抑える為の薬です。潰瘍を起こした部分を覆って保護することで胃酸による痛みを緩和することも出来ます。
市販薬では胃粘膜保護剤や制酸薬を配合した痛み止めなども売られています。
市販されているお薬はこちらを見て参考にして下さい。
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アスピリンの用法用量を守ろう
薬を内服するにあたって用法用量を守らなければいけません。アスピリンは1回に0.5~1.5gを経口服用できます。ただし、年齢や症状によっては、1日に2回までで、最大4.5mgまで内服できます。
その他の症状の際についての内服量は以下になっています。全ての方に対応した容量ではない場合もありますので、必ず医師に従ってください。
✅ 発熱
通常、成人にはアスピリンとして、1回0.5~1.5gを頓用します。なお、年齢、症状により適宜増減します。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大4.5gを限度とする。また、空腹時の服用は避けさせることが望ましいです。 ✅ 脳梗塞 脳梗塞を急性的に発症した後の48時間以内に内服し、一日に160~300mgまで内服できます。非心原性で慢性の脳梗塞の場合は1日に75~150mg内服できます。 ✅ 急性冠症候群 1日に162~325mgを噛んで内服し、その後は81~162mgを長期投与ができます。 ✅ 心筋梗塞の二次予防 妊娠(12週以内の出産の場合)などの禁忌がない場合に限り75~162mgの投与ができます。 |
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