アスピリン喘息とはどんな症状?【3つの治療法を解説!】
<監修医師 吉野 聖奈>
喘息というと子供がかかるイメージですが、アスピリン喘息は大人でもかかります。アスピリン喘息にかかっている人は推定で30万人ぐらいいます。
それはどんな病気なのでしょうか?今回はアスピリン喘息の症状や治療方法を解説していきます。
気になる所から確認してみよう
アスピリン喘息とは?
聞いたことがない方もいると思います。アスピリンとは、解熱・炎症抑制作用があり、頭痛、生理痛、発熱の際に内服したりします。では、アスピリン喘息とは一体どんなものでしょうか?
アスピリンだけに関わる喘息…?
アスピリン喘息とはアスピリンという薬で起こる喘息だとおもうかもしれませんが、実は違います。アスピリンを含め、それ以外の解熱鎮痛の薬でも起こり、喘息発作のような息苦しさや鼻症状がおきます。
また、解熱鎮痛薬は非ステロイド性炎症薬(NSAIDs)と呼ばれるために、アスピリン喘息のことをNSAIDs過敏喘息とも言います。
アスピリンについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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こんな人がかかりやすい…
10歳以下で喘息のある子供にはまれに発症し、20歳以降に喘息を発症した方の中の10%以上が、解熱鎮痛の薬に過敏な体質です。遺伝で喘息になるという事はほとんどなく、喘息がない方には起こりません。
喘息の方で、鼻茸(はなたけ・鼻ポリープ)や副鼻腔炎(蓄膿症)の治療・手術をした方、鼻づまりと嗅覚症状(匂いに鈍いなど)があると鼻茸の合併症の可能性もあります。
そして、好酸球性副鼻腔炎という難病にかかった方、香水や歯磨きなどの匂いで息苦しさを感じた事のある喘息の方がかかり易いです。
診断方法
アレルギー検査のように血液や皮膚テストでは診断できません。過去に副作用を起こした方が問診で疑われるケースは50%です。その他の方は、解熱鎮痛薬を使用したことがなく、今までに副作用を起こした事がない方です。
確実に診断するには、専門医のいる特定の施設でのみアレルギーの負荷試験を行うしかないのですが、負荷試験はアレルギー発作を誘発する可能性が高いために積極的に行う施設は限られています。
アスピリン喘息の症状
アスピリン喘息には以下のような症状があります。
喘息発作
喘息を持っている方がアスピリン喘息を起こす為に、1番の症状は喘息発作になります。息苦しさや胸の痛みなどがありますが個人差もあります。
喘息症状についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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消化器症状
粘膜浮腫によって咽頭に違和感があることもあり、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐の症状も出る場合があります。
皮膚症状
瞼など顔から首にかけての紅潮(赤くなる)ことやかゆみのある蕁麻疹の症状が出る場合があります。内服後にじん麻疹が出たことのある方はアスピリン喘息が疑われ、再度同じような薬剤を使用した際に、重症化しやすいため注意が必要です。
眼症状
眼結膜などの充血の症状があります。
副・鼻腔症状
鼻の症状はアスピリン喘息の疑いでも起こり、慢性的な鼻・副鼻腔の炎症、鼻茸(鼻づまり、鼻水など)の症状があります。
アナフィラキシーショック
症状が重症化すると血圧低下や意識障害、呼吸困難を停止、死亡する可能性もあるアナフィラキシーショックを起こします。
解熱鎮痛薬の内服後、約1時間以内に粘膜浮腫によって咽頭違和感や息苦しさなどがあり、時間が経つにつれて激しい咳や喘息発作などの呼吸困難が起こります。
症状が重症化してアナフィラキシーショックを起こした場合は、血圧低下や意識障害、呼吸停止になり、時には死亡することもあります。皮膚症状を起こす場合は、慢性的にじん麻疹体質である場合が多いです。
アスピリン喘息の原因は何だろう
アスピリン喘息の原因ははっきりとは分かっていない部分が多いのですが、原因となる可能性のあるものはいくつか分かっています。
解熱鎮痛剤
今までも述べたように、市販薬や病院から処方される解熱鎮痛薬が原因とされており、それらの薬はピリン・非ピリン、アスピリン・非アスピリンに関わらず、市販薬のほとんどがアスピリン喘息を起こす可能性があります。
気管支を収縮する作用のある物質(ロイコトリエン)がカラダのなかで多く作られてしまうことが発作の原因です。
食・医薬品など
食・医薬品に含まれる着色料や添加物、香水、化粧品、防かび剤、香りのついた石鹸でもアスピリン喘息を起こす可能性があります。
他にも、サリチル酸化合物(イチゴや柑橘系、ミント、香辛料など)が含まれている食べ物、内服以外でも湿布や塗り薬、座薬でもアスピリン喘息は誘発されます。
食べたとき・吸い込んだときに、アスピリン喘息と思われるような症状(喉の違和感、息苦しさ、瞼が腫れるなど)を感じたら、避けるようにしましょう。
喘息があり、種々の薬剤や食品、添加物に過敏性がある場合、鼻づまりや嗅覚障害といった鼻の症状がある場合はアスピリン喘息が疑われます。さらに中耳炎を合併することもあるので、内科の担当医に相談しましょう。
耳鼻咽喉科医の診察も必要になります。
中耳炎の症状についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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アスピリン喘息の治療方法!こうやって改善しよう!
誘発物質を避ける
アレルゲンとなる薬剤や食品などの誘発物質を避けることが1番です。これが、アスピリン喘息の治療法で1番の対処法です。
市販薬などには誘発物質を含むため、風邪を引いたときは解熱鎮痛剤を内服してはいけません。
点滴・酸素吸入
ステロイド剤(リン酸エステル型など)と内服薬で長期的に経過観察をしていきます。救急で病院に運ばれた場合は血液検査をし、点滴、筋肉中注射、酸素投与をします。
また、意識がはっきりしている際には内服薬で対応したりもします。症状がひどく、意識消失が見られた場合は、人工呼吸器をつけて呼吸の補助を行うこともあります。
病気のコントロール
アスピリン喘息の方は気管支炎(気管支喘息)や鼻疾患(鼻茸・鼻ポリープ・蓄膿など)にかかったことのある方が多いです。長期的に喘息や鼻疾患を管理することがアスピリン喘息の治療にも役に立ちます。
喘息の治療としては、喫煙を辞めることや適度な運動、バランスの良い食事などが治療としてあげられます。
一方鼻茸では内視鏡治療で摘出ができますが、手術の際に使う麻酔薬でアスピリン喘息になる可能性があるために注意が必要です。
喘息がある方も、そうでない方も症状などについて知っておくことがとても大事になります。
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