顎の下のしこりの意外な原因!【治し方を知って解放されよう】
<監修医師 吉野 聖奈>
顎の下に出来たしこり、場所が場所なだけに気になってしまいますよね。治るのだろうか、もしかして何か悪い病気なんじゃないか、なんて心配してしまう方も多いことでしょう。
でも、そのしこりの原因は意外と身近なものかもしれません。顎の下にしこりができる原因と解消法・治療法を知って、自分の症状と比べてみてください。
顎の下にしこりができる原因
リンパ腺の腫れ
風邪をひくとリンパ腺が腫れる、と聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
リンパ腺は顎の下だけでなく、足の付け根やわきの下など体のあちこちに通っています。血管よりも細く、その中を老廃物の排出や免疫機能を持つ、白血球やリンパ球を含むリンパ液が流れています。
雑菌の侵入などでリンパ液が過剰に反応すると、リンパ腺が腫れ、しこりとなって皮膚表面に現れるのです。
風邪のほかにも、疲労やストレスによる免疫力低下でも起こります。さらに怪我をした時、その傷口からリンパ腺内に雑菌が入り込むこともあるので、傷口は清潔に保ちましょう。
また、リンパ腺の腫れの副作用として口内炎を併発する人も。口の中の雑菌が口内炎を通してリンパ腺に入り込むこともあります。
リンパ腫に関してくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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顎周りのコリ
顎がこるというと、何となく実感のわかない人もいると思います。
原因はストレスによる歯ぎしり。寝ている時などにしていると気付きづらいですよね。
顎の下の筋肉がこることで硬くなり、しこりになるのです。また肩や首の筋肉も顎と繋がっているため、肩こりでも顎の下にしこりが出来ることがあります。
その他の原因
一見関係の無さそうな虫歯や親知らずといった歯の症状が原因のことも。口の中が腫れることで、顎側から触った時にしこりを感じることがあります。
甲状腺は喉仏のすぐ下にあるため、そこが腫れると喉の違和感と共にしこりが現れることもあります。新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンを、本来は身体に適した量だけ分泌している甲状腺。
その機能が乱れ、ホルモン量が多くなるとバセドウ病、少なくなると橋本病になり甲状腺が腫れます。
疲れやすい、だるい、異常に汗をかくなどの症状があったら甲状腺の異常を疑いましょう。
甲状腺の炎症に関してくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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良性腫瘍と悪性腫瘍
顎の下のしこりは腫瘍ということもあります。体液や老廃物が溜まった良性腫瘍のほか、血液の癌と言われる悪性リンパ腫など、悪性腫瘍の可能性も。
良性と悪性腫瘍の見分けは、自分で行うのは危険です。よく悪性腫瘍は痛みがないなどと言われますが、腫瘍が神経に触っていると痛むこともあります。
しこりの硬さや大きさに変化があったり、発熱や体重減少などいつもと違う症状がある場合には、速やかに医師の診断を仰ぎましょう。
顎の下のしこりの種類
良性その1:ガングリオン
ガングリオンとは、体液が皮膚の下で袋状に溜まることで起こります。
痛みはなく、自然治癒することが多いのですが、大きくなって神経を圧迫すると痛みを伴うこともあります。その場合は注射器で中の体液を吸い出す処置を行います。
ぶつけた時の衝撃やストレスが原因で発症します。20~50代の比較的若い女性に出来ることが多く、その確率は男性の3倍。顎の下以外では、手にできる人が多いと言われています。
くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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良性その2:粉瘤
粉瘤(アテローマ)は、垢などの老廃物が体内で溜まることで出来るしこりです。
しこりが小さければ痛みはありませんが、大きくなり炎症も起こると痛みが出ることがあります。原因が老廃物のため、しこり自体がきつい臭いを発することが多いです。老廃物が排出されても何度も繰り返し溜まるため、老廃物の溜まる袋ごと切除する必要があります。
粉瘤についてくわしくはこちらをみて参考にして下さい。
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良性その3:脂肪腫
脂肪腫は脂肪細胞がなんらかの原因で増殖し、塊になるものです。
40~50代の女性に発症することが多く、遺伝が関係するとの説もありますが、詳しい原因は不明です。ゴムボールのような弾力のある感触で、皮膚の上から触るとしこりが動きます。
痛みもないため、しこりが小さければ焦って病院に行く必要はありませんが、大きくなると服の襟に擦れて痛いなどの症状が出ることもあるので、その場合は切除手術を受けられます。
良性その4:ヘルペス
ヘルペスウイルスによる感染が原因です。
人を介して感染し、親との接触が多い子供がかかることの多い病気ですが、近年では大人になってから初感染する人も多くなっています。
何度も感染していると症状は軽くて済みますが、大人が初めて感染すると重症化することがあるため注意しましょう。体内で増殖したウイルスが顎のリンパ節に集まることでしこりが出来ます。
悪性その1:悪性リンパ腫
リンパ球が癌化することで発症する血液の癌です。
リンパ腺の腫れやしこりのほか、長期的な微熱や貧血、倦怠感などが症状として現れることが多いです。年間1万人が発症しているとのデータもあり、4:6で男性に多い癌となっています。
免疫力の低下と共に、ウイルス・放射線・殺虫剤などに含まれる化学物質が影響していると言われています。
悪性その2:唾液腺腫瘍
耳の下や顎の下にある唾液腺の細胞が腫瘍となり発症します。腫れやしこりに加え、痛みや顔の神経に麻痺が起こることが特徴です。
悪性その3:脂肪肉腫
良性の脂肪腫と似ていますが、こちらは脂肪細胞が悪性化することで発症します。
コブのようなしこりが急に出来ることが多いのですが、ゆっくりと大きくなっていくこともあるため判別が難しくなっています。顎の下に出来ることは稀ですが、治療が遅れると血液やリンパの流れに乗って他の臓器に転移する危険もあるため、気になることがあれば専門医に診てもらうと良いでしょう。
顎の下のしこりの治し方
日常生活での改善
リンパ腺の腫れや筋肉のこりが原因のしこりは、基本その原因を解消すれが治まるものが多いです。
リンパの活動には、水分は無くてはならない存在です。痛みや腫れで食欲がなくても水分は十分に摂取しましょう。炎症を抑えるには、冷やすことが有効です。
それらで少し改善されたら、しっかり食事や睡眠をとって免疫力を高めるようにしましょう。
リンパマッサージも効果的です。リンパは皮膚に近い位置にあるため、優しく、リンパ節へ向かってマッサージしてください。そのほかにも、適度な運動で血行やリンパの流れを良くしましょう。
体の代謝が良くなると、吹き出物やガングリオンなどの自然治癒するものも解消されることがあります。
筋肉のこりにはストレッチを。また、普段から意識してストレス解消をするなど、生活習慣を見直して改善できるところは改善していきましょう。
ガングリオンの治療についてはこちらを参考にして下さい。
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ガングリオンの治療は何科?手術の費用が意外とかかる!?
病院は何科?
基本、耳鼻咽喉科を受診すると間違いありません。
もし他の科にかかった方が良い場合でも、耳鼻科から紹介状を書いてもらうことができるので、まずはしっかり検査が出来る設備の整った耳鼻科で診てもらいましょう。
虫歯など原因が歯だとわかっている場合には歯科医院や総合病院の口腔外科で治療を受けます。
また、良性腫瘍の切除などは皮膚科や整形外科でもできるので、相談してみると良いかもしれません。
治療方法
顎の下のしこりはほとんどが良性であるため、まずは様子を見て経過観察となることが多いです。
悪性腫瘍とわかった場合はまずは手術での腫瘍摘出、必要に応じて抗がん剤投与や放射線治療も行います。悪性腫瘍の場合、早期発見・早期治療が大切です。大丈夫だろうと過信せず、少しでも気になることがあれば医療機関を受診しましょう。
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