貧血で倒れる症状や対処法【甘く見てませんか?】
<監修医師 豊田早苗>
貧血で倒れたことありますか? どんな気分になって倒れるのか、何か症状や苦痛はあるのか、それって病気なの?
今回は、貧血で倒れる症状や対処法を解説します。
貧血で倒れる症状
そもそも貧血とはどんな状態を言うのでしょうか。文字通り血液が貧しい、つまり血液が少ない状態 と理解している方も多いでしょう。
「少ない」ことは正しいのですが、血液そのものの量が少ないのではなく、成分が少ない=濃度が薄い状態を貧血と言います。男女差があり、女性の方が多くなります。
貧血の人は、酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンが少なくなっていて、体が酸素不足になります。
正常な意識や姿勢を保てなくなり、地面に倒れてしまうことになります。現れる症状のほとんどは酸素不足によるものです。
倒れるまでの経過
1. 数分前 頭がボーっとする。何だか体がだるく手足が重く感じる。吐き気、腹痛、お腹が痛い、下痢しそうな感じがする。こういった状態が急に現れたら倒れる前兆かもしれません。
2. 一分前 視界が変。画面の粒子が粗くなったように見える。
3. 三十秒前 冷や汗が額、顔、背中に滲むのが感じられる。手の平にも汗が。視界の色が感じられず白黒画面になる。星が無数に動き回る。
4. 直前 手足がしびれたようになり、立っているのが困難。平衡感覚がおかしい。
こうなると倒れる直前です。まもなく意識が遠のきます。助けを求めてください。
5. 倒れる 視界が暗くなる。意識が遠くなり、力が抜けて地面にくず折れます。
意識は完全に消失することもありますが、自分が倒れているのが理解できる程度に残っていることも多いです。目は閉じられています。
倒れた人の様子
顔色は蒼白、呼吸が浅く回数はやや多くなります。倒れたことでパニックになり過呼吸状態になることもあります。
痙攣も時に起こりますが、似た症状の脳貧血で起こることが多いです。吐き気は起こりますが、嘔吐に至ることはあまりありません。
嘔吐したり嘔吐物に血が混じっているような場合は、胃潰瘍など出血を伴う病気が疑われます。
脳貧血との違い
脳貧血は、顔色が蒼白になりふらついて倒れるなど、症状も名前も似ている病気です。
自律神経の不調や低血圧から脳への血流が悪くなることで、脳が消費する酸素の供給が不足して、結果的に貧血と同じ症状になります。
血液そのものには異常ありません。倒れてしばらくそのままでいると間もなく血圧が戻るので、回復は早くなります。
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貧血で倒れた時の対処方法
応急処置
倒れた現場での対応です。体内の酸素供給能力が低下しているので、あわてて立たせたりせず、とりあえず横になるスペースを作り休ませます。
できれば足を少し高くすると脳への血流が増加します。症状がなくなるまで安静にしておきます。
多くの場合意識はありますので、体調を聞いて病院を判断します。とりあえずは内科がいいでしょう。無理に移動させると転倒して怪我することもあるので要注意です。
貧血になりやすい女性の対策
女性は定期的に相当量の出血がある関係上、貧血が起こることが男性より多くなります。対応は主として日常生活での対処になります。
この場合ヘモグロビンの原料の鉄分が必要なので、鉄の多いレバーやホウレン草などの食べ物のほか、サプリメントも有効です。
予防の意味でも日ごろからこの対処を習慣づけるとよいでしょう。また妊娠中や2歳までの乳幼児期にも鉄分の不足が起こりやすいので、同様の対処が必要です。
貧血症状がひんぱんに起こるとか、倒れたりするのであれば、何か通常の生理以外の原因が疑われます。
生理痛がひどいなどで何か心当たりがあれば婦人科を、何もなければ内科を受診してください。
状況把握
常日頃貧血状態にあると、次のような症状が現れます。貧血は酸欠なので、全身に影響が及びます。決して軽く見ないで状況を把握しておきましょう。
疲れ、だるさ、胃痛、吐き気、動悸、頭痛、頭重、肩こり、顔色が悪い、爪が反る、割れやすい、肌荒れ、枝毛、抜毛の増加 |
これらの症状がみられる場合は放置せず、検査を受けてください。病院は内科が適当です。
必要があれば血液内科等を紹介してくれますので、判断は内科に委ねます。
慢性の出血
胃潰瘍など、出血性の病気の場合も貧血が起こります。
出血で失われた鉄分の補給が必要で、通常は鉄剤の内服ですが必要なら入院して点滴や注射による投与も行われます。まずは内科で受診してください。
再生不良性貧血など
骨髄の異常によって赤血球などが減少する重い病気です。貧血の程度が重度な場合は緊急対応で輸血が行われます。
他に心不全や白血病による重度の貧血にも輸血が行われます。担当は血液内科、循環器科、心臓血管外科などになりますが、初診は内科で判断します。
タバコ
タバコを吸うと、煙の中の一酸化炭素がヘモグロビンと結びつき、酸素の運搬能力を奪います。
その結果貧血と同じ酸素不足に陥り、同じ症状が出てきます。タバコをやめることにより貧血症状は治まります。
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ストレス・寝不足
鉄分は、睡眠中に体内に吸収されます。ストレスや寝不足は鉄の吸収量を減少させ、赤血球の生産がうまく行かなくなります。
また、寝不足でホルモンバランスも崩れ、これも赤血球の生産を阻害し、貧血になります。
寝不足の原因となるストレスを溜めないように、精神状態を良好に保つ必要があります。
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悪性貧血
ビタミンB12の不足による貧血です。中高年に多く、手足の感覚の異常や腱の痙攣、抑うつ状態や知能低下、記憶障害などを起こします。
治療せず放置すると視神経の萎縮も見られます。欠乏したビタミンB12の筋肉注射が主な治療になります。内科または神経内科が担当です。
貧血で倒れる方法が知りたい?
ネット上でわりと確かによく見かける質問です。本当に体の調子を悪くして倒れたいのでしょうか?
確かに以下のようなケースで貧血になったという人はいるようです。
- 献血後に貧血になった
- ずっと立ち続けると貧血になった
- 睡眠不足に加えて食事もしっかり取らなかったら貧血になった
ですが、倒れるってどんな気分なのか知りたいと思っているのなら、やめることをお勧めします。
危険で苦しいだけですし、周囲の人にも多大な迷惑がかかります。万が一のことも考えてもやるべきではないと言えます。
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まとめ
貧血のいろいろな症状や原因を見てきました。わりと軽い病気と思っていた方は認識を新たにしたかもしれません。
バックには厄介な病気が隠れていることが結構多いです。本当に、甘く見てはいけませんね。
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