Sponsored Link

ゾンビ病と呼ばれるコタール症候群とは【奇病の症状や原因も解説】

<監修医師 まっちゃん>

頭痛

「ゾンビ病」と呼ばれる病気があるのをご存知でしょうか。

 

名前だけ聞くと怖い病気なのかなという漠然としたイメージしか浮かばないかもしれませんが、この病気は「精神病」の一種です。

 

今回はゾンビ病について、お話していきます。

スポンサーリンク
 

コタール症候群は重度のうつ病の1つです

 

ゾンビ病は「コタール症候群」という精神病の一種です。重度のうつ病の状態になります。1880年にフランスの精神科医の名前が由来になっています。

 

うつ病の症状の中に「自分には価値がない」「自分を責めすぎる」という症状がありますが、コタール症候群はこの二つの症状が特に強く出てしまう病気です。

 

患者さんの特徴としては、前述のように自分を責めすぎたり、思い込みが激しかったりし、「死」を連想させるようなものに近付く事で安心感を得るような精神状態にある「奇病」の一種です。

 

例えば、自分はもう死んでいる人間だと思い、食事を摂らなかったり、入浴しなかったり、墓場に近付くなどの行為を行ったりします。

 

またうつ病が基本であるため、うつ病患者特有の、身だしなみに気を遣わず、何日も同じ服を着ていたり体を洗わなかったりしますので、外見もボロボロの風貌になってきます。

 

その為、「歩く死体症候群」とも言われたりします。

スポンサーリンク

ゾンビ病と呼ばれるコタール症候群の症状とは

 

では、死を連想させるようなものに近付く事で安心感を得るようなコタール症候群ですが、具体的にはどのような症状があるのでしょうか。

 

コタール病の症状:行動について

コタール病の患者さんが実際に起こす行動として、

✅ 墓場の近くに行き、一日中過ごす。

✅ ゾンビのような白塗りメイクをする。

✅ ゾンビの出る映画などを好んで見る。

✅ 食事を摂らない。風呂に入らない。(自分はゾンビであるという思想とも関係します。)

という事が挙げられます。

 

コタール病の症状:思想について

コタール症候群の行動について見ていきましたが、この患者さんの思想の症状は次の事が挙げられます。

✅ 自分は死んでいると思い込む。

✅ 自分が今居るのは死後の世界であると思う。

✅ 体内に臓器がない、体内の臓器が腐敗している。

✅ 体内の臓器が機能していないので、食事を摂らなくても良い。

(この思想によって、食事を摂らない事から栄養失調や脱水症状になる患者さんが多くいます。)

✅ 自分は価値のない人間であるという否定的な妄想を繰り返す。

 ✅自分は死ぬことがなく、ずっと苦しみ続けなければならない。(不死妄想)

✅ 悪魔に取り付かれている。神様から罰を与えられている。

(宗教的な要素が考えられますが、いくつもの宗教が存在する日本でも症例があります。)

 

このように自分は死んでいて、死者であるという思い込みが強いため、死者に近付くような行動や思想を行う事で安心感を得ようとします。

 

その他の症状

行動や思想の他の症状として、「暗い中に火が燃えている」といった火の体験症状が挙げられます。

 

このように行動から思想まで「ゾンビ」と同じような事をするのが特徴的です。この病気は発病して病気が進行すると、悪化し慢性化する傾向にあります。

 

最初はうつ病と同じような症状を発症し、症状が進行すると深刻な妄想状態、慢性的なうつ症状に悩まされます。

スポンサーリンク

コタール症候群の原因はうつ病がきっかけ

 

コタール症候群はゾンビのような事をして、安心するのが特徴の病気ですが、この病気の原因は何なのでしょうか。

 

コタール症候群はうつ病の「重度」のものと言われています。

 

うつ病の発症の原因は脳の神経伝達物質に異常をきたす事で、無気力になったり、思考力が低下したり、幻覚や妄想状態が2週間以上にわたって続く事を指します。

 

コタール症候群の多くの患者さんは脳の「人の顔を見て心を読み取る」という部分に異常がある事が分かっていますので、うつ病と同じように脳の神経伝達物質が関係している事が分かりますね。

 

これが原因で自分の顔や体にも違和感を感じ、自分が生きているのか死んでいるのかあいまいになり、結果的には自分は死んでいるのだと思い込むようになります。

 

うつ病は時間をかけて症状が発症し、悪化していくのが特徴です。

 

その理由としては日常生活でのストレス、薬の副作用や遺伝的なものなど様々な要因が挙げられ、これらの要因が、コタール症候群を招く原因にもなっているとされています。

スポンサーリンク

コタール症候群の3つの治療法

 

自分が死者であると思い込む奇病であるコタール症候群ですが、今のところ治療法として代表的なものが3つ挙げられます。

 

1.薬の投与

うつ病と同じように抗うつ薬、抗精神病薬を投与する薬物療法もコタール症候群の治療の一つです。

 

症状の改善や効果があまり見られない場合には、複数の薬を組み合わせて服薬します。

 

2.カウンセリング療法(心理療法)

精神科医や臨床心理士との対話による精神療法もコタール症候群の治療の一つです。

 

しかしながらコタール症候群は、重度のうつ病とされており、この療法のみで治療をする事は難しいですので、薬物療法などと合わせて行われる事が多いです。

 

3.電気療法(ETC)

コタール症候群は自分は死んでいるという妄想状態が酷い為、死への欲求が強く、自殺を図る患者さんも中にはいらっしゃいます。

 

そのような方は治療に急を要するため、入院手段をとり、電気治療を取り入れる事があります。

 

この治療はうつ病のメカニズムが、脳の神経伝達物質の異常によるものという事から、脳に電気刺激を与えて神経伝達物質を放出させる事で、うつ状態を和らげ、精神状態のコントロールを行うという治療法です。

 

頭のこめかみの部分に電気の流れる装置を付け、電流を流してけいれんを起こさせます。同時に麻酔薬や筋弛緩剤などを使用する事もあり、治療は慎重に行われます。

 

しかしながら、電流を流すという事から心臓などに負担を与える可能性や頭痛・嘔吐の副作用、記憶喪失などの症状も出る可能性がある為、重症の患者さんにのみ取り入れられる療法です。

 

1回の治療は30~40分程度で、週に2~3回ほど行い。効果が現れるのには個人差がありますが、大体4~5回の治療は効果が現れるのに必要だとされています。

 

これらの治療法を行い、経過を見ていきます。時間はかかりますが、治癒の可能性もある病気ですので、根気強く治療していく事が大切です。

スポンサーリンク

コタール症候群にかかりやすい人は要注意

 

コタール症候群にかかりやすい人の特徴については以下の事が挙げられます。

 

1. 高齢者世代の患者さんも多い

(高齢者世代の患者さんが多い事から、同時に認知症を発症している方も多く、なかなか症状をうまく伝える事が出来ずに気づかれにくい方もいます。)

 

2. 責任感が強く、まじめな方

 

3. 自分に厳しく、人に頼ることが出来ない

 

4. 熱心な特定の宗教を信仰する信者の方

 

5. 10~20代の患者さんも多い。

 

2と3においては、うつ病になりやすい方の特徴でもあります。ストレスを溜めやすく、まじめな方や自分に厳しい方などはうつ病になりやすい傾向にあります。

 

このような方たちはコタール症候群になりやすい可能性も持ち合わせていますので、注意が必要と言えるでしょう。

スポンサーリンク

コタール症候群を予防することはできるのか

 

コタール症候群の特徴などについて見ていきましたが、この奇病を予防する事は出来るのでしょうか。次に予防法についても見ていきましょう。

 

寛容な気持ちを持つ

細かいことを気にしない、大雑把な傾向の方は実際にうつ病になりにくいと言われています。

 

何事にも完璧主義で失敗が許されないといった考えにとらわれず、失敗しても何とかなるというくらいの寛容な気持ちを持つように心がける方が良いです。

 

寛容な気持ちを持つ事はうつ病の原因の一つであるストレスを溜めない事にも繋がっていきます。

 

話をする

自分の中に考えや思いを溜めてしまう事は、ストレスになり兼ねません。適度に人に話をすることで、違った見方をする事が出来たり、気持ちが楽になる事もあります。

 

日常生活を整える

仕事、休息、遊び、運動をバランスよく行い、日常生活を整える事も予防に繋がります。

 

どれか一つを偏って力を入れるとそれがストレスになる事もありますので、バランスよく行う事で心身の状態を保つ事が出来ます。

 

食生活を整える

バランスの良い食事を摂ることで、脳に必要な栄養素を取り入れ、うつ病やコタール症候群の予防を行う事が出来ます。

 

うつ病を予防するとして挙げられる栄養素はビタミン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、マグネシウム、カルシウムなどです。これらを積極的に食事に取り入れる事をおすすめします。

 

重度のうつ病と言われるコタール症候群ですが、気づかれない事も多くあります。

 

患者数も世界で100人程度の稀な病気です。うつ病の一種とされていますので、うつ病を予防する事が重要になってきます。

  当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。

スポンサーリンク
 
 

関連するこちらの記事も読まれています

サブコンテンツ