マダニの3つの取り方【人間が刺されたらワセリンが活躍!】
<監修医師 WASHIO>
梅雨のこの時期、気になるのがダニ!
ダニの一種であるマダニに刺されると感染症の恐れもあり、怖いですよね。自分だけでなく家族のためにも、マダニの取り方について知っておきましょう。
マダニに刺されたときの症状
マダニに刺咬されたとき、どのような症状があるのでしょうか?主な症状は以下の通り。
高熱、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、紅斑、筋肉痛、関節痛、頭痛、悪寒など。刺されてから6日~2週間程度の潜伏期間があるのが特徴です。
刺されたら怖いマダニの感染症
マダニに刺されるとこんな感染症にかかる可能性があります。
重傷熱性血小板減少症候群
見出しで紹介した症状、じつはほとんどが重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と呼ばれる病気です。
全てではありませんが、マダニにはSFTSウイルスを保有しているものもいます。ウイルスを保有しているマダニに咬まれると、SFTSを発症します。様々な症状が現れますが、重症化すると死に至るとても怖い病気です。
血小板の減少についてくわしくはこちらをみて参考にして下さい。
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ライム病
SFTSと同じように感染症のリスクが高いのがライム病という感染症です。マダニが媒介となって「スピロヘータ」という微生物の感染によっておこります。
主な症状では、咬まれた部分が赤く盛り上がります。(このような症状を遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)と呼びます。)
また、感染が中枢神経まで達し、末梢神経麻痺や関節炎、リンパの腫れが起こります。皮膚の症状は早期から見られ、他にもインフルエンザに似た症状(頭痛、悪寒など)も出ます。
皮膚症状は自然と治りますが、これはライム病が完治しているわけではないので要注意です。
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ツツガムシ病
オリエンティア・ツツガムシという病原体を生まれながらに持っているツツガムシが原因。この特別なツツガムシに咬まれることによっておこる感染症です。
ツツガムシ病の初期症状は、風邪の症状に似ています。倦怠感やひどい頭痛、悪寒や高熱です。4~5日間ほどたつと、胸・腹・背中にかけて発疹が現れ、徐々に全身へ広がっていきます。
早期治療をしないと、重篤な病気にかかり、死亡する報告もあります。
播種性血管内凝固症候群(はんしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)
播種性とは全身に広がる事を意味しています。癌細胞の転移するときなどに使われます。
この病気は、何らかの原因により極端に血液が固まりやすくなります。血液を固まらせる機能の抑制が出来なくなり、血栓が多発します。
この病気にかかると、予後は悪くなる病気です。症状では、アザや下血、血尿など出血傾向を生じるほか、血流の循環障害を生じ、臓器にも様々な症状が起こります。
その結果、多臓器不全や意識障害を生じ、死亡するケースがほとんどです。
ダニ媒介性脳炎
ダニが原因で脳炎ウイルスを引き起こす病気もあります。フラビウイルスという菌による感染症で、急性脳炎を引き起こします。
この脳炎には2種類の症状があります。中部ヨーロッパ脳炎とロシア春夏脳炎です。日本でも北海道でロシア春夏脳炎にかかった報告があります。
7~14日の潜伏期間ののち、頭痛・発熱・嘔吐が見られ、症状が悪化すると精神錯乱・痙攣、麻痺などが起こります。この病気も致死率が30%と高い病気です。
✅ マダニの生態
マダニは大型の吸血生物で50種類近く。生息域は日本全域にわたっています。きれいにしていても潜むマダニ。一体どのような生態なのでしょうか?
主な活動期間は5月から9月にかけて活発になります。しかし種類によっては、冬にも活動するダニもいますので、1年中警戒が必要です。
生息地は主に山や林など。自然のどこでもいます。カーペットや畳などにいるダニとは違う種類のダニです。
マダニは産卵から20~30日で幼ダニになります。幼ダニは動物に寄生して、3~4日間吸血し続けます。
その後、宿主から離れ1週間程度で脱皮し、若ダニへ。若ダニから成ダニへ寄生をくり返し、成ダニが産卵を終えると死んでしまいます。
マダニの取り方
怖い病気を持っているマダニ。しかし、もしマダニに咬まれてしまったら⁉そんなときはどのようにマダニを取れば良いのでしょうか?
一番良いのは皮膚科へ
マダニに刺咬されているとき、むやみに取ると傷が残る可能性があります。これは、マダニは咬む力が非常に強く、皮膚に食い込んで吸血します。このまま放置していると、傷口から炎症や感染の恐れがあるためです。
もし、残ってしまった場合は手術で切除してもらわなければなりません。マダニの口先などを残さずとるには、皮膚科でとってもらうのが一番良いです。
ワセリンを塗る
マダニが寄生しているときに、皮膚科へ受診するにはタイミングが難しい!そんなときはワセリンを塗ってみましょう。マダニが逃げていきますよ。
殺虫剤・虫よけスプレー・アルコール綿・酢を塗る
これらもワセリンと同様です。マダニが苦しくなり、自分から逃げていきます。特に虫よけスプレーではDEET(ディート)という成分が入っているものを。この成分がマダニに効果があります。
マダニに刺されない予防法
マダニに刺されないために、予防方法についても知っておきましょう。
マダニの生息地は草むらなら日本のどこでもいます。もしかすると、庭にも生えている可能性があります。近くに生息地がある場合、駆除しましょう。
駆除の方法は、熱湯をかけるか、火で燃やします。しかし、庭など植物に影響がある場合は、殺虫剤が良いでしょう。
また、山や林などに行くときは長袖・長ズボン、薄い色の服を着用し、虫よけスプレーをかけましょう。薄い色の服なら、マダニを発見しやすいからです。
帰ってきたあとも、入浴中などにマダニが寄生していないか確認しましょう。
これからの時期、蚊だけでなくマダニにも注意が必要です。特にハイキングなどに行くときは、刺されないように予防してから行きましょう。
その他のダニの対処方法についてはこちらも参考にして下さい。
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