頬にしこりが出来た!【癌との見分け方はこれです】
<監修医師 WASHIO>
頬に限らず、しこり=癌かもしれないと思うと不安ですよね。しこりの原因は様々でその感触も原因により変わります。
簡単な見分け方も紹介しています、まずは確認してみましょう。
頬のしこりの原因
にきび
にきびは、毛穴に老廃物などが詰まり中に皮脂などが溜まってしまった状態です。小さいものがほとんどですが、酷くなると毛穴の中に細菌が繁殖して膿が溜まり炎症を起こします。
大きなものが頬に出来ていると「しこりがある」と感じるかもしれません。気になりますが触らない方が得策です。放置しておいても自然に治まりますが、悪化すると跡が残りやすくなります。
なかなか治らない場合には、にきびと間違えられやすい毛包炎の可能性もあるので皮膚科を受診しましょう。
粉瘤(表皮嚢腫)
粉瘤は、皮膚の下に袋状の物質が出来てそのなかに皮膚や膿が溜まっていきます。この膿は粉瘤を絞るようにすると中身が出てきますが、すべて出してしまっても治りません。
最初はにきびと区別がつきにくいそうです。表面に黒い点ができるのと、膿には悪臭がするのが特徴です、基本的に痛みはありませんが周囲に炎症が生じると痛みが起こります。
脂肪腫
脂肪腫は、良性腫瘍の一つで脂肪組織で出来ています。脂肪細胞がどうしてそのようになるのかについてははっきりとわかっていませんが、染色体異常が一つのきっかけになるようです。
痛みが起こることは少なく、皮下組織、筋肉の中、骨の表面など浅いところから深いところまで、部位も頬だけでなく全身にできる可能性があります。
大きさは一定であることが多いものの徐々に大きくなるケースもあり5㎝以上のものも見受けられます。
脂肪腫はすぐに害になるとは限りませんが、悪性腫瘍と区別は素人判断では難しいと考えると精密検査を受けるのが妥当でしょう。
脂肪肉腫
脂肪細胞を含むこぶ状の組織で急に大きくなる悪性のものを脂肪肉腫と呼びます。悪性度が低く、ゆっくり成長するものは良性の脂肪腫と区別がつきにくいといいます。
良性か悪性かによって治療方法が異なります。皮膚表面だけでなく、内臓を含みあらゆる場所に発生し転移する可能性もあるので注意が必要です。
身体の表面に出来た時は、痛みはないことが多く、急に大きくなった、少しずつ大きくなっているといった特徴を示します。早期に発見して治療を受けられるのが望ましいといえます。
外骨種(骨軟骨腫)
良性の腫瘍の一つで、骨の表面が飛び出してこぶ状になります。こぶは軟骨で出来ます。骨本来の成長方向を外れて発達したものになります。原因は遺伝的な要素といわれ、現在解明中です。
小さなうちは気が付かないことが多いようである程度の大きさになると、しこりとして自覚されます。日常生活に支障がなければ経過観察となります。
ごく稀に悪性化するケースもあるので油断は禁物です。レントゲン撮影により確認することが出来ます。
筋肉のこり
筋肉のこりが原因でもしこりを感じさせることがあります。肩や腰と同じように、顎や顔面の関節類も筋肉が動かしています。
筋肉の疲れから生じた硬結は疲労物質が分解したり炎症が収まれば自然と解消します。歯ぎしりが多い、仕事で歯を食いしばったり表情を作らなければならない人がなりやすいようです。
虫歯
虫歯菌が歯の内部に到達してしまったり、親知らずに細菌が入り込むなどして歯ぐきが膨張するケースがあります。この腫れが酷く炎症が広がっていると、頬にしこりが生じたり、口の開閉がしにくくなります。
しこりと同時に歯が痛むときは、歯の治療をしたら同時に治まるかもしれません。
リンパ節の腫れ
全身に分布するリンパ管には、免疫を司り侵入者と戦うリンパ節が点在し、顔の周りにも、頬、耳の下、顎のラインなどにリンパ節が置かれています。
身体の中に細菌やウイルスが侵入した時には免疫細胞が増殖し抗体を作りこれを処理します。このときリンパ節やリンパ管が腫れます、リンパ節の腫れはしこりと感じるでしょう。
熱を持つことも考えられ、感染症など具体的な原因だけでなく疲れにより腫れてくる人もいます。数日で引かないときは別の病気も考えられます。
頬にしこりができる病気
乾酪性上顎洞炎
副鼻腔にアスペルギルスなどの真菌が感染して炎症をおこしたものを副鼻腔真菌症と呼びます。
さらに乾酪性物質というチーズのようなものが上顎洞に充満して炎症を起こした状態を乾酪性上顎洞炎といいます。鼻汁が膿んだようになり悪臭を放ちます。
頬が腫れたり、痛みがでるほか、眼痛、歯痛がでるケースもあります。上顎洞から繁殖した真菌の塊を取り除く治療になります。洗浄でも可能ですが手術するケースもあります。
上顎洞がん
上顎洞に悪性腫瘍が発生した状態です。頬の腫れ、脳血性鼻漏、口を開けにくい、歯痛など、前述の乾酪性上顎洞炎と症状が似ています。
さらに、上顎洞がんを発症する人の中には慢性副鼻腔炎を持っている人も多いといいます。がんが疑われる場合には、組織を採取して検査を行います。
がんは目やリンパに転移することもあるので、CT検査で進行を確認することもあります。抗ガン薬による化学療法、放射線治療、手術を組み合わせた治療となります。
上顎洞の上には脳もあり、そのほかの機関への転移もあることから早期発見と治療が望ましく、上記の症状に心当たりがある時は早めに検査を受けましょう。
耳下腺炎
耳下腺炎には、化膿性と流行性があります。化膿性耳下腺炎は、口の中の唾液を分泌する導管部分より細菌が侵入し耳下腺に炎症を起こします。耳の下を中心に頬のしこりとともに腫れ、発赤、頭部側面から顔の表面に痛みがでます。
流行性耳下腺炎は、いわゆるおたふく風邪で、ムンプスウイルスによる感染です。こちらも耳の下から頬にかけて腫れやしこりと頭痛が見られます。さらに発熱もあります。
一週間から十日で回復します。成人がかかると重症になりがちです。
癌(がん)との見分け方
大きさ
大きさは大きくなるほど危険と考えていいと思います。5㎝以上になるのは良性、悪性を問わず腫瘍である可能性が高く、良性かどうかを自己判断できるとは考えにくいので受診しましょう。
粉瘤も1~2cmから摘出するケースがあります。大きさにかかわらず、表面がこぶのように飛び出しているものも要注意です。
がん以外で心配が少ないものは数日から一週間で腫れが引いてしまうものが多いですね。
硬さ
リンパ節炎・筋肉のこりでは、しこりにある程度の弾力がありますが、できる場所の深さにより感じ方が違います。硬さは判断が難しいところです。
大きくなる速さ
早い方が悪性度が高い傾向が強いです。悪性腫瘍にも、ゆっくり大きくなるものがあります。ですから、速度如何よりも以前より大きくなっている時点で受診を検討すべきでしょう。
痛み
痛みはおなじ原因でも出たりでなかったりします。個人により感じ方が違ううえに痛みに慣れてくると弱まったと感じやすいものなので判断材料としては難しいものではあります。
以前よりも痛みが増している、何もしていないのに痛い、全然痛くなかったのに痛くなった、が要注意で、無痛、無感覚が一番わかりません。
動きがある
癌が見つかる場合と比べると、そのほかのしこりの方が動きやすいといいます。ぐりぐりと動かせる方が安心というわけです。ただし、これも比較すると動きにくいということなので判断には慣れが必要と思われます。
ある程度の期間様子を見て快方に向かわない時は、受診してはっきりさせた方が安心できると思います。
何科を受診すればいいか
出来る場所や深さによって受診する科を選びましょう。
触ってみてしこりが浅いところにあるものは皮膚科、鼻の周りや耳のすぐ下、下あごは耳鼻咽喉科、下あごで虫歯や親知らずに心当たりがあるなら歯科を受診しましょう。
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