汗アレルギーの様々な症状5選【検査や治療を詳しく解説】
季節性のアレルギーや金属アレルギー・ハウスダストなどアレルギーの代表格はいくつかありますが、特に問題ないのに体温が上がったり汗をかいたらかゆくなるということがありませんか?
「汗アレルギー」は自分の汗によってアレルギー反応が起こるというものです。その検査や治療法について解説します。
気になる所から確認してみよう
汗は何で出来ているの?
「汗アレルギー」を知る前に、まず汗について考えて見ましょう。汗って何でできているのか、疑問に思ったことがありませんか?
まず成分的に一番多いのは水分で99%を占めています。体温調節という大切な役割を持っているため、身体が熱を持てば発汗して冷却するということです。
汗がしょっぱいと感じたことがありませんか?それは塩分のせい。汗に含まれる塩分が多いか少ないかによって汗自体の濃度が変わるのです。
その他にカリウム・マグネシウム・亜鉛・鉄・重炭酸イオンなどのミネラル・電解質が含まれるとともに老廃物である乳酸や尿素も含まれています。
それらが合わさってできた汗は全身の汗腺「エクリン腺」から外部に出るということに。
汗には良い汗と悪い汗があるらしい
良い汗はサラサラしていて匂いも少なくすぐ乾く、悪い汗はその反対で粘度が高く匂いの元になると言われています。
汗は3つも分類がある?
「温熱性発汗」というのは体温調整のために出る汗で、気温が高くなると体温を下げるために出ます。
「精神性発汗」とは、いわゆる嫌な汗をかくという精神的に緊張状態に陥った時などに出る汗のこと。
激辛料理を食べた時にひたいから吹き出す汗を「味覚性発汗」と呼びます。
良い汗とは?
汗は基本的にミネラルを含んでいます。大元は血液から作られているため汗をかく時には汗腺に血液が取り込まれ、水分以外の成分は血液中に再吸収されます。
良い汗はまさにこの状態でミネラルの再吸収がうまく行っているのでほとんどが水分です。
悪い汗とは?
ミネラルの再吸収がうまくいかず、ミネラルがそのまま出てくるため粘性があります。
ミネラルは、皮膚常在菌のエサとなり、臭いの元になってしまいます。半身浴やデトックスで出る汗はいわゆるこの悪い汗、よくドロドロの汗が出るなんて例えられますね。
汗の役割って?
汗は邪魔者扱いされることが多いようですが、実は大きな役割を持っています。肌を守っているってご存知でしたか?汗と皮脂が混ざり合い、油膜を形成して肌の表面・角質層を保湿しています。
首などの湿疹の特徴的な症状
汗をかくと首や顔が特にかゆくなる、汗アレルギーの症状について見ていきましょう。
かゆみ
汗をかいたら全身にかゆみが出る、特に首や顔が痒くなったりひどい時には痛みが出ることも。いわゆる「汗あれ」という症状で、首に多く発生するのが特徴的なものです。
イッチ・スクラッチサイクルという言葉を知っていますか?「かけばかくほど痒くなる」という無性にかゆくてたまらない状態のことです。汗アレルギーにも言えることなので注意しましょう。
湿疹
汗に含まれるサイトカインという酵素が炎症を起こす原因になってしまいます。「あせも」などの湿疹が代表的ですね。
刺激に過敏に
汗には微量のミネラルが含まれているため、汗を「かきっぱなし」の状態でいるとピリピリします。そのままでいると皮膚が過敏になります。
肌乾燥を起こす
汗をかくと蒸発しますが、その際に皮膚から水分が出て行って乾燥するだけではないのです。
皮脂膜が壊れてバリア機能を低下させることにもなります。バリア機能が壊れると汗自体に含まれるミネラルですら皮膚を攻撃するものに!
皮膚は弱酸性、汗の弱いアルカリが肌を直接攻撃します。ここへ屋外の紫外線が加わることでさらにダメージが重大なものになることもあります。
悪臭の元
汗をかいたまま放置すると常在菌だけでなく様々な雑菌が繁殖します。かゆみやピリピリだけでなく悪臭の元にも。
汗アレルギーの原因には別のアレルギーが関係している
汗自体に皮膚を攻撃する要素がありますが、実は汗アレルギーの原因には「別のアレルギー」が関与して併発することが多いのです。
コリン性蕁麻疹
蕁麻疹は食べ物や薬剤などを要因としてヒスタミンが放出され、皮膚が盛り上がって赤くなりとてもかゆいという状態ですね。
コリン性蕁麻疹とは神経伝達物質であるアセチルコリンが原因で発生します。はじめはピリピリですがどんどんかゆくなる、悪化すると角栓ができることも。
汗が出るたびに発疹ができ、ひどい時には下痢や低血圧を伴うこともあります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の場合は皮膚自体のバリア機能が弱いため、外部刺激にさらされやすい状態です。
アトピー体質の人は発汗する量が少ないのですが、それを放置することが悪化を招くとされています。
金属アレルギー
ネックレスをしただけでかぶれた!という状態、これはちょっと違います。アクセサリーの金属イオンが汗によって溶け出して皮膚を刺激して症状を起こすのです。接触性皮膚炎の一つに数えられます。
接触性皮膚炎は金属に限らず洗剤や柔軟剤などの成分と汗が反応して起こることもあります。
なぜ汗がアレルギーを起こす?
アレルギー反応といえば花粉症が代表的ですが、アレルギー反応を起こす物質のことをアレルゲンと呼びます。汗アレルギーのアレルゲンは「汗」ということになるのです。
自分の汗に反応してかゆみを生むヒスタミンが放出されます。ヒスタミンが出るまさにその時、アレルギーを起こしているという証拠にもなるIgEという糖タンパク質も同時に存在しているのです。
もうひとつ、マラセチア菌が要因とされています。カビの仲間ですが常在菌で、私たちの皮膚に常にいる菌です。いつ誰に汗アレルギーが起こっても不思議はない、ということなのです。
汗アレルギー検査の方法と費用を詳しく解説
汗アレルギーかも、と思ったらまず検査を受けてみましょう。内科・皮膚科・耳鼻科などでアレルギー検査を受けることができます。(金額は保険適用額)
IgE抗体
アレルギーの有無を調べる血液検査です。検査費用は項目数にもよりますが、一般的な「アレルギー検査」として行う場合は3,000円〜6,000円程度です。
中でもHRT検査というものがありますが、汗でかゆくなりやすい人はこの検査を受けると汗アレルギーがあるかどうかが判明します。
プリックテスト
皮膚に小さな傷をつけて直接反応を見る検査です。アレルゲンを特定できる30分ほどの検査で、すぐに結果が出ます。
費用は500円程度が多いようです。同じように皮膚に引っかき傷を作って検査する「スクラッチテスト」もあります。
パッチテスト
皮膚に直接疑われる物質をつけて48時間観察します。アレルゲンを特定できますが少々時間がかかりますね。
ヘアカラーなどでも「パッチテストをしてからご使用ください」と書いてあるのをみたことがあるでしょう。費用は1項目あたり200円ですが、22項目を超える場合は金額が変わります。
負荷試験
食物や薬剤のアレルギーが疑われる場合の検査です。入院が必要で、直接疑いのある物質を飲食して調べます。
MAST・View
マスト33という指定の33項目をセットで受けられる検査です。主に即時型アレルギーの検査で、医療機関によってはマスト36などと項目数が違う場合もあります。
View39では39種類のアレルゲンが検査できるもので、平成28年から始まりました。どちらも費用は保険適用で5,000円前後です。
汗アレルギーは皮膚科での治療がオススメ
検査で汗アレルギーと判明したら、1番に皮膚科での治療です。治療と同時に自分でできる対策方法もありました!
皮膚科での治療は?
かゆみの治療は外用薬・内服薬を使った薬物治療があります。ステロイド剤や抗ヒスタミン剤を使用することが多いようです。
減感作療法というアレルギー治療法もあります。少量ずつ低濃度の汗に触れさせながら、徐々に汗に対する過敏性を抑えていくというものです。
生活は清潔第一!
汗をかいたら拭き取り清潔に保ちます。入浴はお湯の温度をぬるめに設定しないと余計に汗をかいてしまうので注意しましょう。
また洗い残しによる洗浄剤などが元になり湿疹を誘発することもあります、注意しましょう。
こまめに吸湿性の高い衣類を着替えたり、かゆみが出た時には患部を冷却すると、かきむしりを防げますね。
食生活で注意したいこと
辛い辛い刺激物、食べたくはなりますが味覚性発汗の元になるので我慢しましょう。
食事と関連してアルコール、特に蕁麻疹を起こしやすいものなので禁酒することも大切です。皮膚を保護して強くするビタミン類を多く摂取することも必要でしょう。
スキンケアの重要性
汗により皮膚は乾燥し、かゆみを誘発します。バリア機能が落ちている状態では汗が要因でさらに発疹なども起こりやすいもの。
適切な保湿は重要度が高く、敏感肌用のスキンケアなどを取り入れるのも良い方法です。
日光による刺激もアレルギーを誘発するので、紫外線対策も忘れずに。
ストレスは大敵
緊張状態などのストレスがかかった状態が続けば自律神経の状態を崩してしまいます。精神性発汗が増えたりしますし、肌の状態も悪くなりやすいもの。
睡眠不足などでは新陳代謝も落ちてしまい、免疫力までダウンしてしまわないように注意しましょう。
汗腺トレーニング
エアコンが普及した現代では簡単に汗をかかない人が増えているようです。そこで汗腺トレーニングの必要性が発生します。
「良い汗」をたくさんかくように、軽い運動をしたりエアコンではない自然な気温に身を置くことが大切です。
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