アトピー性皮膚炎はうつるの?【出てくる汁が心配…】
<監修医師 Dr.masa>
アトピー性皮膚炎とは皮膚疾患の一つであり、強いかゆみを伴う湿疹が特徴です。
皮膚疾患にはうつるものとうつらないものがあります。例えば、伝染性軟属腫(みずいぼ)や単純ヘルペスはウィルスが原因なので、人から人へ伝染します。では、アトピー性皮膚炎はどうなのでしょうか。
アトピーは、掻き壊してしまうと患部から黄色い汁が出てきます。この汁の正体は、リンパ液という体液なのですが、この汁を介してアトピーがうつることはあるのでしょうか。
そこで今回は、アトピー性皮膚炎は感染するのかどうかを探りつつ、アトピーの症状や治療についても触れていきたいと思います。
アトピー性皮膚炎とは
まず挙げられる特徴としては、皮膚の乾燥、かゆみ、湿疹などです。そのかゆさは強烈で、眠っている間も無意識に掻き毟ってしまうほど。
あまりのかゆさに我慢できず掻き壊してしまうと、ただれて赤くなり、引っ掻き傷で重症化した患部が化膿し、黄色い汁が出てくる……という症状を繰り返します。
「朝起きたら、顔中が引っ掻き傷だらけで真っ赤になっていた」「外出もままならない」というほど酷くなる方もいます。
湿疹ができる場所は、顔や耳の周り、関節の内側の汗がたまりやすい場所などですが、全身にくまなく広がってしまう方もいます。
「乾燥肌だからかゆいと思っていたら、実はアトピーだった!」なんてこともあるので注意が必要です。
乾燥でカサカサになった皮膚がポロポロとはがれる……これを「落屑(らくせつ)」と言いますが、ここからさらに湿疹、かゆみといった症状が強くなるようなら、単なる乾燥肌ではなくアトピー性皮膚炎かもしれません。
アトピー性皮膚炎はうつるの?
ズバリ、うつりません
結論から言うと、アトピー性皮膚炎はうつりません。
「子どもの遊び仲間にアトピーの子がいるけど、一緒に遊んでいてもうつらない?」
「アトピーの子と同じプールに入っても大丈夫?」
「職場の隣の席の人がアトピーなんだけど、空気感染しないか心配」
などと、いろいろ憶測して過剰に反応してしまう方がいるかもしれませんが、アトピー性皮膚炎は感染する疾患ではありません。上記のような場合もうつることはないので大丈夫です。
アトピーで苦しんでいる方を偏見の目で見ないようにしてあげたいですね。
アトピー素因とアレルギー症状
なぜうつらないと言えるのか。それは、アトピーの原因がアレルギーにあるからです。例えば、アレルギー性疾患である花粉症や、アレルギー性鼻炎はうつりませんよね。個人の持つ体質が原因だからです。
では、どんな方がアトピー性皮膚炎を発症するのでしょうか。
アトピーを発症する原因はいくつもありますが、中でもアトピー素因を持っている方は注意が必要です。
家族の方にアトピーはもとより、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などの既往歴がある場合は、遺伝的にアトピー素因を持っていると言って良いでしょう。
例えば、お子さんの内の1人だけがアトピーというケース。
この場合は他の兄弟にうつるのか心配される方がいらっしゃると思いますが、遺伝的に見れば、うつるのではなく、アトピー素因に因って発症する可能性があると考えられるのです。
アトピー性皮膚炎が疑われる場合、きちんとした診断を下すには皮膚科を受診して、血液検査をしなければなりません。
アレルギーの検査ではIgE抗体値や白血球数などを調べますが、このIgE抗体値がアトピーと大きく関係しています。
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IgE抗体は血液中の免疫に関わっています。この抗体が増えすぎるとアレルギー反応を起こし、その反応がさらに血中の抗体を増やしてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。
また、黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌が原因になっていることもあるので、細菌検査をし、細菌が検出された場合は抗菌薬を使うことになります。
アトピーと食生活や化学物質
先ほど、アトピーを発症する原因はいくつもあると書きました。
遺伝的要素やアレルギーなどの体質に因るものだけではなく、食生活や化学物質、化粧品や紫外線などの後天的な理由も要因の一つになっているようです。
また、長時間のテレビゲームやパソコン、携帯電話などから受けるストレスも病気の原因となり得るのです。
アトピーを長引かせないためにも、まずは食生活から改善していきましょう。なるべくストレスを溜めないようにすることも大切です。
アトピーの人は皮膚疾患にかかりやすい
皮膚のバリア機能や免疫力が低下している
アトピー性皮膚炎の治療に使われるステロイドは有効な薬ですが、長期間の使用によって免疫力の低下を招いてしまいます。(免疫力低下の原因の全てがステロイドということではありません)
アトピーはそれ自体だけでも深刻な病気ですが、皮膚のバリア機能の低下により感染症を引き起こしやすい状態を作ってしまっていることも大きな問題です。
アトピーが引き起こす感染症
伝染性軟属腫(みずいぼ)やヘルペスウィルスの感染で起こるカポジ水痘様発疹症など、中にはなかなか治りづらい感染症もあります。
「プールでアトピーはうつらない」と先ほど書きましたが、反対にアトピー性皮膚炎の方がプールでみずいぼに感染してしまうこともあるので、注意が必要です。
このように、病気を悪化させないためにも、元の疾患であるアトピー性皮膚炎を一刻も早く治療しておきたいですね。
水いぼについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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アトピー性皮膚炎の治療
アトピーにはステロイドによる治療が最も有効ですが、ステロイド以外にも薬はあります。
病院に行く時間がないという方にはドラッグストアで買える薬もありますが、その薬が自分の症状に正しく作用するのかわからないし、一時的にかゆみを抑える効果はあっても根本的な治療になるのかは疑問です。
ですので、やはり皮膚科専門医に診ていただくことをおすすめします。
また、漢方による治療方法もあります。アトピーには、乾燥性タイプと湿潤性タイプの2つがあるので、タイプによって使う漢方薬も違ってきます。
漢方の種類もたくさんありますので、症状に適した漢方薬を病院・医院で処方してもらってくださいね。
アトピーの治療に関するお薬についてはこちらを参考にして下さい。
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最後に
アトピー性皮膚炎はうつらないということ、ご理解いただけましたでしょうか?この病気の多くは、乳幼児期に発症するケースが多いのですが、大人になってから急に発症する方もいます。
増悪と寛解を繰り返しながら、長い時間をかけて根気よく治療していかなければなりません。ですが、決して難病とか不治の病というものではないので、前向きな気持ちで治療していきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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