レストレスレッグス症候群の4つの原因【治療法も確認しよう】
<監修医師 田中 恵文>
レストレスレッグス症候群、またはむずむず脚症候群というのを聞いたことがありますか?この症候群は、不眠の原因にもなる厄介なものです。
また病気の名前から脚の症状だけだと思われがちですが、人によっては足以外にも腰・背中・腕・手などに症状が出る人もいるようです。
今回はそんなレストレスレッグス症候群の原因と治療法を見ていきましょう。
レストレスレッグス症候群になる原因
遺伝的なもの
まだレストレスレッグス症候群の原因ははっきりとは解明されていません。
しかしレストレスレッグス症候群は同じ家系の人に見られることが多いため、遺伝子の研究も進んでいます。
実際子供がレストレスレッグス症候群にかかっている場合、その両親もレストレスレッグス症候群の症状が非常に多くみられるそうです。
現在日本での患者数は約200万~400万人とも考えられており、男性よりも女性に多く、加齢とともに患者数も増えると言われています。
中には我慢したり気のせいだと思って、放置したまま病院へ行かれない方もいます。
しかしレストレスレッグス症候群のせいで睡眠の質が落ちると、体は疲れやすくなるのでストレスが溜まる・イライラが強くなるなどの悪循環を生みだします。
その為気になる方は、睡眠障害専門のお医者さんに相談してみてくださいね。何科に行けばいいの?という事に対しては、精神科・神経内科を受診することをお勧めします。
睡眠障害を専門に治療している睡眠専門医や、睡眠障害を扱うお医者さんがいる事が多いと思います。
ドーパミン神経系の障害
ドーパミンは快楽を伝えたり、細やかな運動や末梢神経からの情報伝達をコントロールしたりしています。
ドーパミンが作動する経路になんらかの問題が生じ、レストレスレッグス症候群が起きてしまうのではないかと考えられています。
鉄不足/体内での鉄代謝異常
鉄分にはドーパミンを作り出す役目があります。その為、鉄分が不足するとドーパミンの合成はうまくいきません。
その結果、レストレスレッグス症候群を引き起こしているのではないかと考えられています。
病気が原因によるもの
鉄欠乏性貧血・慢性腎不全・パーキンソン病などによる病気が原因の場合があり、これは二次性のものです。
その他にも、抗精神薬・抗うつ薬・抗ヒスタミン薬(アレルギー治療薬)などの薬物が原因となっている場合や、カフェイン・ニコチン・アルコールなどが原因になっている事も考えられるようです。
レストレスレッグス症候群の診断をする際は、特徴的な症状があるかを見るとともに、血液検査で健康状態の把握と原因として考えられる鉄欠乏がないかをチェックします。
レストレスレッグス症候群の症状
脚がムズムズする
レストレスレッグス症候群は、脚がムズムズするような不快な異常感覚や痛みを感じ、脚を動かしたいという衝動にかられます。
そしてこの異常感覚は、脚の表面ではなく、内部に生じるのが特徴的です。人によっては、この異常感覚をほてる・しびれる・虫が這うといった言葉で表現する事もあるそうです。
このような症状は、動かないでじっとしている時に現れたり強くなりますが、脚を動かすと症状は和らいだりなくなったりします。
また、夕方から夜にかけて症状が強くなることが多いと言われています。またうつ病の患者さんでも、似たような症状が出る事があります。
しかしうつ病の患者さんの場合は、症状が夕方~夜より午前中にひどいこと、足を動かしても症状が軽くならないといった違いがあります。
ただしレストレスレッグス症候群にうつ病が合併する事もあるので、注意が必要です。
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脚がぴくぴくとする
夜寝ている時に無意識に片足、または両方の足関節が“ぴくんぴくん”と動く、周期性四肢運動を伴うことがあります。
レストレスレッグス症候群にかかっている80%の人に、周期性四肢運動が見られるそうです。
その為、眠りを妨げられ不眠が生じてしまいます。その結果、日中の眠気や疲労が出てくるので、日常生活にも支障をきたすことがあります。
レストレスレッグス症候群の治療方法
ドーパミン作動薬
パーキンソンの治療薬にドーパミンの働きを補う「ドパミンアゴニスト」と呼ばれている薬があります。
パーキンソン病もドーパミン機能障害が原因と考えられているため、レストレスレッグス症候群の治療にも使用されています。
現在ドーパミン作動薬は6種類あり、そのうちの2つがレストレスレッグス症候群の治療薬として保険適用になっています。
抗てんかん薬
この薬には、けいれんや痛みを和らげる作用があります。脚がムズムズする、痛がゆいような症状を和らげ、睡眠の質をよくする効果が期待されています。
漢方薬
漢方は飲む人の体質や飲み方によって効果に大きな差が出て来ます。その為服用前には漢方医などに相談するようにして下さいね。
また漢方には様々な種類があります。漢方の中で効果があるのではないかと思われるものは
1. 知柏地黄丸(ちはくじおうがん)
2. 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
3. 当帰飲子(とうきいんし)
4. 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
などがあります。神経の興奮を抑える物や鉄分を補うものなど、それぞれ期待できる効果に違いがありますので、購入する際は自分の体質にあったものを検討してみてくださいね。
運動
日常生活で出来る対処法として運動があります。副交感神経が働きすぎると、レストレスレッグス症候群の症状が出るとも言われています。
脚を動かすと症状が緩和されますが、これは交感神経が働いているからだとも考えられています。
その為、運動不足の人などは交感神経の働きを高める事で症状が解消できる可能性もあります。
しかし過剰な運動は症状が悪化する事もあるようなので、注意が必要です。生活習慣を改める事で、自然と完治している人もいるそうです。
またお灸や針灸によって気持ちが落ち着いたり、症状が緩和したりする人もいるようです。
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