仮性球麻痺の症状に注意!飲み込めない。は危険サインです
<監修医師 吉野 聖奈>
普段食事をしていると、飲み物を飲むときにむせたりすることがありませんか?
または飲み物が飲みにくいなと、感じたりすることはありませんか?
仮性球麻痺という症状には、このように液体を飲むことに対する嚥下障害(えんげしょうがい)などが見られるものなのです。
その他にも特徴的な症状がありますので、一つずつ見ていきましょう。
仮性球麻痺(かせいきゅうまひ)とは?
人間が運動を行うとき、脳から運動をして下さいという指令が出ます。
それによって、人間は様々な運動をする事が出来ています。
その指令の通り道を、皮質核路と言い、これは首から上の随意的な運動に関係しています。
この経路の左右どちらもが障害されることにより、仮性球麻痺の症状を呈するのです。
偽性球麻痺(ぎせいきゅうまひ)とも言います。
仮性球麻痺の症状
嚥下障害(えんげしょうがい)
上記にも書きましたが、仮性球麻痺の特徴的な症状としては、液体の飲み込みが困難になることが上がります。
人間が飲み込むという行為をする時、自分の意志で口に食べ物をいれ、飲み込もうとします。
この飲み込もうとするときに、脳から嚥下反射を司る部位に飲み込んで下さいという指令を出します。
そして、食道・胃へと食べ物や飲み物は運ばれるのです。
仮性球麻痺では、この指令を出す通り道に障害を受ける為、指令が伝わりにくくなってしまうのです。
しかし、固形物は飲み込むという反射を誘発してくれるため、反射機能が残っている仮性球麻痺では固形物の障害は少ないと言われています。
液体では飲み込むタイミングにずれが生じてしまい、結果的に誤嚥(ごえん)を起こしやすくなるのです。
強制泣き・強制笑い
仮性球麻痺では、表情を作る筋肉に障害が起こります。
障害を受ける事で、表情を作る筋肉の緊張が高まってしまいます。
それによって、少しの刺激を受けただけで、自分の意志ではないのに笑い泣きのような顔になってしまうのです。
その為、その場にあっていない表情を作ってしまうので、コミュニケーションを取るときに誤解を受けてしまうなど、対人関係にも影響を及ぼしてしまいます。
自分では笑っているわけではないのに、相手に誤解を受けてしまうのは悲しいですよね。
構音障害(こうおんしょうがい)
次に構音障害(発音が上手に出来ない状態)として痙性言語という症状が現れます。
母音が分かりにくく、引きずるような言語の事で、相手に言葉が伝わりにくくなってしまいます。
表情の障害も、このような構音障害も、私たち人間のコミュニケーションツールですよね。
そのようなツールが障害されると、人と関わることに対して億劫(おっくう)に感じる人もいると思います。
適切なリハビリや治療を行い、諦めずにやって行くことで、また今とは違う未来を切り開けるのだと思います。
仮性球麻痺の原因
仮性球麻痺を起こす病気はとして、脳血管障害の一つ多発性ラクナ梗塞、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症があります。
多発性脳梗塞
脳梗塞の中でも、特に多発性ラクナ梗塞は、無症状のまま進行していくことがあります。
これが脳の左右に病巣を作ることで仮性球麻痺を引き起こします。
筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)
筋肉がやせ衰えてしまう進行性の病気で、運動を司る神経を変性させてしまうため、仮性球麻痺の症状を呈していきます。
運動を司る神経を変性させるため、脳からの運動を起こして下さいという命令が伝わらなくなってしまうのです。
多発性硬化症
脳の神経には情報を伝えてくれる軸索という物があり、
これを髄鞘(ずいしょう)というカバーのようなものが覆っていますが、多発性硬化症では、この髄鞘が一時的に障害されることで起こります。
そして多発性硬化症は、様々な場所に病巣を作り、再発と寛解(症状が出て治まる)を繰り返すことが特徴的な病気です。
仮性球麻痺は何科を受診すればよいのか
受診の目安
仮性球麻痺のような症状があった場合は、脳血管内科や脳神経外科を受診してください。
例えば多発性脳梗塞では、ろれつが回らない、しびれがある、言葉が出てこないなどの症状が現れる事があります。
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疲れているだけだろうと思いがちかもしれませんが、この状態で病気を発見出来れば、すぐに治療が開始できます。
その結果、後遺症を残さずに回復出来る見込みが大きくなるのです。
特に脳の病気は、早期発見早期治療が大事になって来ます。
脳梗塞は脳の血管が詰まるので、発症すると脳に酸素が行き渡らない状態になります。
人間は、脳に酸素が供給されなくなって5分で障害が出ると言われています。
その為、このような症状があればすぐに受診してください。
治療法について
治療法の一つとしてリハビリテーションがあります。
嚥下障害や構音障害に対して、言語療法士が各々にあったリハビリ計画を立ててくれます。
嚥下色といい、とろみのある食事を食べる訓練を行ったりします。
また脳梗塞などが原因の場合は、言語障害や麻痺なども見られます。
その為、理学療法士、作業療法士など多職種が協力してリハビリを行っていきます。
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