脳出血の前兆チェック!頭や目の異変に【要注意】
<監修医師 ドクターTST>
死因としてよく耳にする脳出血ですが、「早めに病院で診察してもらったから九死に一生を得た」という話もよく聞きます。
一体どんな特徴的な前兆があるのでしょうか。そこで今回は知っておくと為になる脳出血の前兆について調べてみました。
脳出血とは?
脳出血(のうしゅっけつ)とは、脳の内部にある血管が破れ、脳内部に出血を起こした状態を指します。
一口に「脳」と呼んでいますが、脳を包む膜の中で血管が破裂し内出血を起こした場合は、脳出血ではなく「くも膜下出血」と呼びます。
この他似たような症状に「脳卒中」(のうそっちゅう)「脳梗塞」(のうこうそく)があり、原因は全て同じですが細胞への影響の与え方によって名称が変わります。
脳出血は脳卒中のうち脳内で出血がおきたことが原因で細胞の働きが阻害される病気です。
脳出血により血管が破れて出血してしまうと、周囲を圧迫して様々な神経のはたらきを阻害してしまいます。
また出血した血が固まると、脳神経を直接破壊してしまうのでとても危険です。
手術で脳出血は治るの?
脳出血を引き起こしても、必ずしも手術を行うわけではありません。脳で内出血を起こした場合、血腫ができますが、この血腫が小さい場合は自然と体内に吸収されるため手術は行いません。
命を救うための手術ですが、部位が部位だけにむやみやたらと切り開かず、薬物治療で対処します。
ただし血腫が大きく意識障害がある場合は手術を行います。
手術の方法は患者さんの年齢や体力、血腫の大きさなどを総合的に判断し頭蓋骨を切り開いたり一部に穴を空け血腫を吸い出したりと方法が決定されます。
脳出血の前兆チェック
脳には重要な神経が集中しているだけに、一度脳出血を引き起こすと重篤な障害が残る可能性があります。
そうならないためにも前兆があればすぐに医療機関で処置をとりたいものですが、実は脳出血は「ある日突然」現れるため、非常に厄介な病気と言えます。
しかし人によっては前兆を感じる場合もあります。微弱ですが初期症状も引き起こされます。
どんな前兆があるのか、まとめてみました。
頭痛
最も顕著な前兆として、頭痛が挙げられます。ただの頭痛ではなく、かなり激しい頭痛発作です。
脳出血経験者のうち、頭痛を感じたという人のほとんどが「今まで経験したことのない激しい頭痛を感じた」と口にしています。
また慢性的な頭痛と言うよりは、一瞬(15分未満)痛む、という症状が一ヶ月以上続く場合があるようです。
「最近妙に頭痛がするな」と思った方は念のために病院で検査を受けておいた方が良いかもしれません。
【関連記事】
様々な頭痛のタイプとその対処法 まとめ
めまい・物が見えにくい
「ものが見えにくい」「視界の半分だけ見えにくい」という症状が現れた場合、視神経に何らかの負担がかかっている場合があります。
「何らかの負担」とは脳内に出来た腫瘍が肥大化している可能性があります。
何らかの拍子に破裂すると脳出血につながります。また特に理由に思い当たる節がないのに「目が充血している」場合も脳出血の可能性があります。
【関連記事】
鼻血が出る
突然前触れもなく鼻血が出た場合、脳に何らかの原因がある可能性があります。
特に高血圧気味の人は注意が必要です。
鼻をぶつけたわけでもなければ手でいじった覚えもなく、原因に全く心当たりはない場合は他にも症状がないのか確認しましょう。
脳出血の原因
脳出血は何らかの理由により脳内の血管が破裂して起こる症状ですが、理由はいくつか考えられます。
どんな原因があるのか見ていきましょう。
高血圧・動脈硬化(こうけつあつ・どうみゃくこうか)
脳出血を起こした人の約70%が高血圧が直接的・間接的に原因となり引き起こしています。
なぜ高血圧だと脳出血を引き起こしやすいかというと、高血圧を放置したままだと動脈硬化になるためです。
動脈硬化が加わると加齢とともに、さらに血管が破裂する可能性が高くなります。
脳出血は再発率が高く、脳出血を引き起こした患者のうち20人に1人が再発するとも言われています。
それは生活習慣が改善されず、高血圧状態が続いていること密接な関係があるのです。
最近では高血圧をコントロールすることで脳出血の発生そのものを抑えることが出来るようになり、脳出血患者の減少に一役買っています。
脳動静脈奇形(のうどうじょうみゃくきけい)
血管の奇形です。血管の奇形は破裂を引き起こしやすく、脳内で破裂すると脳出血を引き起こします。
破裂する箇所によってはくも膜下出血を引き起こします。
【関連記事】
くも膜下出血の前兆をチェック!目に異常が出たら危険!
白血病(はっけつびょう)
白血病は「血液の癌」とも呼ばれ、正常な血液を作り出すことが出来なくなる病気です。正常な血液が作れなくなると、血液中の成分バランスが狂います。
とくに血小板が減ると、何もしていないのに出血しやすくなります。この時脳内で血管が破裂すると、脳出血となります。
白血病にかかるとまず身体に原因不明の倦怠感や息切れなどが表れます。病院で血液検査を受けると白血病かどうかが分かります。
白血病由来の脳出血は、早めに白血病の兆しに気付くことで防ぐことが出来ます。
脳の外傷
交通事故や転倒などで強く頭を打ち付けた衝撃で、脳内で出血が起きる場合があります。打ち付けた瞬間は平気そうに見えても、時間の経過とともに悪化する場合もあります。
頭部を打ち付けた際、「念のために」病院で検査を行うのは、脳出血などの疑いがあるためです。
脳出血の後遺症
脳出血は快復後も後遺症が残る可能性の高い病気です。どのような後遺症が予想されるのかご紹介します。
運動の障害
損傷を受けた脳の部分とは反対の半身に麻痺症状が現れます。
つまり右脳で脳出血が起こった場合は左半身が、左脳で脳出血が起こった場合は右半身に麻痺を起こすのです。
この片麻痺症状は、脳出血により運動に関わる神経が妨げられたことが原因だと考えられます。
麻痺の程度は個人差があり、軽い症状の場合はリハビリで社会生活を営めるまでに回復する場合もあります。
ただし下半身に麻痺症状が出た場合、飛行機や車いすの使用、筋力補完のための道具に頼らざるを得ないことが多いです。
喉の筋肉の障害
脳出血による運動に関する神経への阻害は、喉の筋肉に引き起こされることもあります。喉の筋肉に障害が出た場合、以下のような日常生活への支障が予想されます。
・発声がうまくいかない
→喉の筋肉を使用する発声が行えなくなります。
・嚥下障害
→食べ物やつばをうまく飲み込めず、誤って肺や気管支に詰まり危険です。
肺への誤飲は肺炎を引き起こしやすくします。
嚥下障害が深刻な場合は口から食べ物を摂取しなくて済むように、腹の表面にチューブを通し、胃に栄養を届ける措置が取られます。
【関連記事】
仮性球麻痺の症状に注意!飲み込めない。は危険サインです
言語障害
左脳には言語中枢が存在します。そのため左脳で脳出血を起こした場合、言語機能が損傷を受ける場合があります。
言語機能とは「読む・書く・理解する」といった機能の集合であり、一部の機能が欠損してしまう場合が多いです。
また同じ失語症でも程度により名称が異なります。脳出血後に見られる主な言語障害は以下の通りです。
・全失語
→言葉を話したり、相手の言葉を理解することが出来なくなります。
・ブローカー失語
→他人が何を話しているのか理解は出来ても、自分の考えをうまく話せなくなります。
そのため、なかなか会話が成立しにくくなります。
・ウェルニッケ失語
→他人が何を話しているのか理解できないため、自分は話せるのに会話が成立しなくなります。
言語障害はリハビリテーションで改善することも多いですが、長い時間が必要な場合もあります。
本人も周囲の人間も焦らず、じっくりとリハビリテーションに向き合えばいつか好転します。
感情や行動の障害
前頭葉(ぜんとうよう)や側頭葉(そくとうよう)で脳出血が起きた場合、感情や行動のコントロールが効かなくなります。
また注意力や集中力、やる気など目に見えない部分がおかされる場合もあります。具体的には以下のような症状が現れます。
・失認
→大脳の一部に損傷を受けると、物事の認識がうまくいかなくなることがあります。
目や鼻といった感覚器は正常なのに、感覚器の発する情報を大脳でうまく統合し処理できないために起きる症状です。
主に見られる失認の症状は左半側空間失認です。自分から見た左側の空間が認識できず、他者からは「左にあるものを無視している」と受け取られてしまいます。
・失行(しっこう)
→運動に関わる神経が損傷を受けていないのに、特定の行為がうまく出来なくなる症状です。床に落ちたものを拾えない、洋服を着られない、などの症状が挙げられます。
・後遺症から他の病気に発展
→感情や行動のコントロールが効かないと、本人はもちろん、支える家族や友人も精神的なダメージを受けます。
気力の問題でリハビリテーションがうまくいかないと、認知症(いわるゆボケ状態)やうつ病などに発展する恐れがあります。
【関連記事】
プチ鬱症状チェック!この診断を試してみて!
また人によっては耐えがたい眠気を感じようになったり、ひどい肩こりに悩まされることもあり、様々な感覚障害が引き起こされる可能性があります。
まとめ
脳出血は脳内で血管が破裂する病気であり、治ったとしても後遺症が残る可能性があります。
できる限り兆候を把握して脳出血を回避したいところですが、ある日突然前触れもなく脳出血が起きる場合もあり、油断できません。
ただし、「今まで感じたことない頭痛」「目の異常」「手足のしびれ」「ろれつが回らなくなる」など様々な前兆が見られることもあります。
知っておくと「いざ」という際の判断基準になります。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。