先端恐怖症の診断チェック【5つの原因や克服法を徹底解説!】
<監修臨床心理士 鈴木崇弘>
高所恐怖症・閉所恐怖症・対人恐怖症など、ある特定の状況や対象に対して異常に恐怖を感じてしまい、それによって生活に支障が生じてしまうことを「恐怖症」と言います。
今回は先端が鋭いもの、尖っているものに過剰に恐怖を感じる『先端恐怖症』について解説していきます。
先端恐怖症の診断チェック
尖っているもの
尖っているものや鋭いものは実際に殺傷力を持っているものもあるので、ある程度恐怖を感じることは普通ですが、普段の生活で使用するものに対して過剰に恐怖を感じ、“怖いもの”としか認識されなくなったら先端恐怖症です。
「先端」に恐怖を感じる物は人によって違うと思いますが、
✅ ハサミ、ナイフ、カッター、包丁、ネジ、錐(きり)、とげ
✅ 針、つまようじ、ペン先(鉛筆、ボールペンなど)、傘、箸、注射器、目薬、指先
など、日常生活で使うものを見ることで、
✅ イライラする
✅ 動悸が激しくなる ✅ めまいや頭痛、嘔吐が起こる ✅ 発熱やパニック障害を起こす |
などの症状が現れます。
※ 例えば、目薬をさそうとすると怖くてさせなかったり、頭痛がしたり気分が悪くなるなど
チェック方法
先端恐怖症かどうかのチェック方法として、
1.先端が尖っているものを想像するだけで恐怖を感じる
2.先端が尖っているものに触れると不安になる
3.先端が尖っているものに対して、恐怖心がある事を自覚している
4.先端が尖っているものを無意識のうちに避けている
5.先端恐怖症により、生活がうまくおくれていない
以上の項目の中で一つでも当てはまる、心当たりがある方は、先端恐怖症になっている可能性があります。
先端恐怖症になる原因
先端恐怖症の原因とは、どんなことがあるのでしょうか。
過去のトラウマ
過去に先端が尖ったもので傷を負ったり、大切な人が先端の尖ったものでケガをした場面を見たりと、過去の出来事が原因の場合が多くあり、特に感受性が豊かな幼少期に体験してしまうと、“尖ったものは恐ろしいもの”と脳が認識してその後も続いてしまうことになります。
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うつ病やストレス
先端恐怖症の症状が疲労の蓄積やストレスを多く抱えている時に重くなったり現れたりする傾向のある人は、部分的な症状として現れる可能性があります。
精神的な要因で先端恐怖症の症状が起こる場合は、根本となる原因を改善しなければ先端恐怖症も改善されないと考えられています。
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原因不明
これといった原因がわからないまま先端恐怖症になっている人もいます。
元々の遺伝子的要素や素質も関係している可能性があり、先端恐怖症という疾患自体が遺伝するという事ではなく、不安や恐怖を感じやすい要因があると小さなきっかけでも恐怖症が発症することもあります。
メンタル的な症状は原因がわからないまま発症していることもあるので、原因不明でも症状を改善することは可能なので、治療を優先させましょう。
先端恐怖症の克服法
では、先端恐怖症を治すためには、どのようにすれば症状を改善できるのでしょう。
認知行動療法
メンタル的な病気の治療に用いられる治療法ですが、先端が尖っている=恐いという考え方を改善する事で、今まで避けていた先端が尖ったものと向き合い、辛さや苦しみを吐き出して気持ちを楽にすることで恐怖心と向き合えるようなメンタルを作り出します。
うつ病やその他の恐怖症の治療など、メンタル的な病気の治療に用いられます。
自律訓練法
自分の気持ちや集中力によって心の状態を自分でコントロールすることが出来るようになることで、恐怖心を克服するという治療法です。
日中に活動を積極的に行えるように体の状態を持っているために必要な“交感神経”と、体を休めて回復を図る際に活発になる“副交感神経”の2つの「自律神経」をコントロール出来るようにすることで、心の状態もコントロールしやすい状況を作り出す事が出来るようになります。
ストレスや精神的負担により自律神経のバランスが崩れてしまうことで発生するなど、原因がはっきりしている場合に有効と言えます。
自律神経のバランスが崩れているかどうかをチェックするためにはこちらを参考にして下さい。
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暴露療法
暴露療法は、「エクスポージャー法」とも言われる治療法です。
自分が感じた恐怖心をあえて言葉にすることで克服しようとする治し方で、言葉にすることで不安を身体の症状として現れないようにする事が出来ます。
先端が尖ったものを見ても不安にならない、恐怖なんて感じていない、と思ってしまうと無意識のうちに先端が尖ったものを避けてしまうようになります。
避けることで先端恐怖症が発症するのを減らすことは出来ても、改善することは出来ず、恐怖心が大きくなってしまう恐れもあります。
そうなる前に、恐怖心を感じる機会を増やして、環境に慣れさせてしまおうという“ショック療法”で、何度の先端に恐怖を感じているうちに身体が慣れてしまい恐怖を感じないようになります。恐怖と向き合うという暴露療法は、改善のためには効果的と言えます。
過去のトラウマが原因で発症した場合などに有効です。
その他の治療方法
大きなトラウマが原因の場合は、催眠療法や心理カウンセリングという治療法もあります。
又、NLP実践心理学の「サブモダリティーチェンジ」という手法でも恐怖症を克服出来ます。
✅ サブ は、“補助の”や“従属した”
✅ モダリティー は、“構成要素” ✅ チェンジ は、“変える” |
という意味で、繋げると「従属した構成要素を変える」となります。
人間が体験を記憶する際には、視覚情報・聴覚情報・感覚情報などの従属要素を元に行っており、
自分の脳の中で自分自身が作り出している、又は思い出している情景・音・感情などを変えることによって上書きしてしまえば、脳内の認識も変わって反応も変わるというテクニックなのです。
恐怖症の体験の元になっているイメージについて、色・形・明るさ・彩度・動き・距離・位置・音の大きさ・音程・音のスピード・リズム・音の聞こえる位置・温度・湿度・感触・重さ・圧力等をどんどん変えていくとすぐには恐怖がなくならなくても、何度も繰り返していく事で恐怖症が消えていきます。
脳内プログラムの上書きは繰り返すと効果があるようですので、一日で改善しなければ毎日続けてみてください。
※ 恐怖症の治療は時間がかかりますが、正しい指導者の下、正しい治療法を続ければ必ず克服出来ます。本人の苦痛がとても大きい疾患なので、放置したり恐怖を感じる事を避け続けると症状が悪化してパニック障害などを起こしてしまう可能性もあります。
病気としっかり向き合って、適切な治療を行いましょう。
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