力が入らないのは病気のサインかも!【だるい原因を徹底解説】
<監修医師 WASHIO>
なんだか最近疲れがとれないなあなんて思っている時に、手に力が入らないといった症状が一緒に出る事はありませんか?
力が入らない事で考えられる病気は、とても多くありますが、どの病気でも早期治療が大事になります。
今回は「力が入らない」ことで考えられる病気を解説します。
気になる所から確認してみよう
突然手に力が入らない?!5つの原因
神経系の問題
神経系には、大きく「中枢神経」と「末梢神経」に分類する事ができます。中枢神経とは、脳や脊髄などの障害を指します。
人間が運動を行うためには、まず脳から末梢の神経へと情報を伝える必要があります。そしてさらに末梢神経が筋肉へと情報を伝え、人間は体を動かす事ができます。
簡単にまとめると、脳からの指令を末梢神経まで伝えるのが中枢神経、その伝えられた情報を筋肉などへ伝えるのが末梢神経なのです。どちらかに病気や障害を受けると、手足に力が入らなくなる事があります。
一番身近にある病気である脳血管障害の前駆症状でも、手足の脱力感などが見られます。末梢神経の問題では、腕を通る橈骨神経や尺骨神経といった神経に問題がある場合があります。
骨の障害
骨の障害の場合は、頚椎症や頚椎ヘルニアがあります。様々な神経が首を通り全身に分布している為、これらの病気になった場合には手だけでなく様々な場所に障害が出て来ます。
この頚椎症や頚椎ヘルニアになると首周辺の組織が変形し、神経を圧迫してしまうのです。力が入らない以外にも、しびれなどの症状がある場合は整形外科などを受診してみるようにしましょう。
内部疾患
糖尿病や腎臓病などの内部障害でも、手に力が入らない症状が見られます。糖尿病では、小さな血管が狭くなってしまい様々な神経症状が表れます。
そのうちの一つに、力が入らないという訴えがあります。
精神疾患
ストレスによる自律神経の乱れやうつなどでも、手に力が入らない事があります。医療機関を受診して、検査を行ってもなにも分からなかった場合は、精神科や心療内科を受診してみるといいですね。
その他の原因
手に力が入らない原因には様々なものがあることを知って頂けたかと思いますが、上記にあげたもの以外にも染色体異常・自己免疫によるもの・生活習慣や加齢によるものなどが原因になることもあります。
自律神経失調症の症状についてはこちらを見て参考にして下さい。
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その為、自分自身でこうだろう!と判断するのは良くありません。例えばそれが、脳梗塞の前駆症状であったとしたら命を救うチャンスでもあるのです。
ですので、おかしいなと思ったときは病院にかかって症状をきちんと伝えるようにしましょう。
力が入らない原因~整形外科的編
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)
橈骨神経は、手指を伸ばしたり、手首を上に持ち上げたりするような動きに働く筋肉を支配しています。その為橈骨神経麻痺が起こると、手首はたらーんとした、下垂手と呼ばれる状態になります。
障害を受けた部位によっては、下垂指になります。腕を枕にして寝たり、腕枕をして寝たりすると腕が痺れる事がありますよね?これは橈骨神経麻痺による事がほとんどなので、思い当たる人は注意が必要です。
また腕枕が原因で起こることが多いため、ハネムーン症候群なんていう風に呼ばれることもあります。
くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ハネムーン症候群の症状はコレ【2つの治療は早めが重要!】
尺骨神経麻痺
尺骨神経が障害されると、鷲手(わしで)変形を起こします。肘を打った時にびーんと痺れたような痛みが走る事はありませんか?肘を打つととっても痛いですよね。これは、尺骨神経が走っている為に起こります。
外傷や腫瘍以外で尺骨神経麻痺がおこる場合、「肘部管症候群」と「ギヨン管症候群(または尺骨神経管症候群)」があります。
キーンベック病
キーンベック病とは、手にある骨の1つである月状骨がなにかの原因によって血行障害を生じ、血液の供給が出来なくなって骨が壊死してしまう病気です。
手に力が入らない以外にも、手関節が腫れて手首が動かしにくくなってしまいます。握力も低下してしまうので、日常生活を送るうえでもとても不便です。
キーンベック病は、手首を背側に動かす時に痛みがあるのが特徴的です。
力が入らない原因~中枢異常編
脳血管障害
脳血管障害には、脳梗塞・脳出血・脳卒中があります。これらの前駆症状として、吐き気や頭痛・ろれつが回らないなどがありますが、それに加え手に力が入らない、しびれるといった症状が表れます。
これらの病気で上位運動ニューロン(運動を司る神経の伝達路)が障害されると、バレー徴候というものが陽性を示します。脳血管障害は早期発見が予後を左右するので、もし上記のような症状が表れた時はすぐに神経内科を受診しましょう。
頚椎症性脊髄症
頸椎は加齢とともに、変化しています。椎間板は弾力を失い、クッションとしての役割が果たせなくなっていきます。そうなると、椎骨と椎骨がこすれて変形を起こしたりするのです。
このような年齢とともに変化が起こることを頚椎症と言います。これ自体は病気ではないのですが、この頚椎症のために脊髄や神経が圧迫されてしびれや麻痺が出てくることを「頚椎症性脊髄症」と言います。
頚椎症性筋萎縮症
この病気は脊髄の前角や前根(運動を行うための神経がある)という部分に病変があると考えられています。特に上肢の筋委縮と筋力低下が起こり、障害される部位によって近位型と遠位型の2つのタイプに分類されます。
片側性が多いですが、両側性の場合もあります。
筋萎縮性側索硬化症
この病気は女性よりも男性の方が多く発症するもので、60歳~70歳代で最も多いといわれています。多くの場合、遺伝はしないといわれていますが、全体の5%で家族間での発症が報告されています。
筋萎縮性側索硬化症は、運動を司る神経が障害を受けます。手足だけでなく、喉や舌の筋肉、呼吸など生命にかかわる筋肉も委縮してしまいます。
また、体の感覚や視力、聴力、内臓機能などは全て保たれます。
力が入らない原因~神経損傷編
ギラン・バレー症候群
ギランバレー症候群は末梢神経が障害される病気で、自己免疫疾患(自分の体が正常である自分の体の組織を攻撃してしまう病気)と考えられています。
ギランバレー症候群を発症する1~2週間前に、多くの場合で風邪をひいたり下痢をしたりしています。手足の麻痺は、発症後1~2週間以内に最もひどくなります。
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重症筋無力症
重症筋無力症は、末梢神経と筋肉を繋ぐ部位(神経筋接合部)が自分の抗体によって破壊される自己免疫疾患です。全身の筋力が低下し、体は疲れやすくなります。
特に眼瞼下垂(がんけんかすい)と複視などの眼の症状が特徴的です。また、眼の症状だけであれば眼筋型と言い、全身の症状がある場合は全身型と呼びます。
嚥下が上手に出来なくなる場合もあり、重症化すると呼吸筋が麻痺し、呼吸困難を起こすこともあります。
遠位型ミオパチー
遠位型ミオパチーは遺伝性の筋肉の病気です。名前の通り遠位の筋(体幹から遠い筋)が障害を受けます。そのような遺伝性の筋疾患を総称して、遠位型ミオパチーと呼びます。
力が入らない原因~精神病編
慢性疲労症候群
慢性疲労症候群は、体を動かせないほどの疲労が6か月以上の長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたしてしまうようになる病気です。
代表的な症状は微熱や頭痛、喉の痛みで平熱より0.5~1.5℃程度高い熱が半年以上続きます。解熱剤を使っても熱があまり下がらない事も特徴です。
その他にも疲労感・不眠と仮眠・気分障害・筋肉痛などの症状があります。
自律神経失調症
自律神経失調症になると、特に原因もないのに様々な身体的・精神的な症状が出て来ます。自律神経失調症になる原因は人によって違い、さらに様々な原因が絡み合っていると考えられています。
生活リズムの乱れ、ストレス、環境の変化、女性ホルモンの影響といった、生きている限り起こり得ることが関係してきます。
うつ病
うつ病はなぜ発症するかはまだ解明されていません。しかし、脳の伝達物質やストレスに対する耐性、遺伝、環境など様々な問題が絡み合って発症すると考えられています。
また、様々なライフイベントがきっかけになることもあります。うつ病にかかりやすいといわれる性格タイプもあるので、考え方や物事の受け止め方などを少しずつ変えていくことも治療になります。
力が入らない原因~生活習慣編
腎臓病
腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管に病気が起こり、腎臓の働きが悪くなってしまう病気です。腎臓病には様々な種類があり、それぞれ原因や症状も異なって来ます。
また、腎臓は一度障害を受けると回復する事がない例が多いのですが、早期に治療する事で腎機能の低下を防いだり遅らせる事が出来るようになっています。
腎臓についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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糖尿病
糖尿病は、インスリンの作用が十分に働かず、血液中の糖濃度が高くなっている状態です。糖尿病は糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害の三大合併症があります。
神経障害では、手足のしびれなども呈するようになります。
カリウム
体内にカリウムが多く蓄積されると、神経の伝達が上手に行われません。その結果筋肉へ情報が伝わらず、手足や様々な部位に力が入らないといったことが起こってしまうのです。
逆にカリウムが不足するとだるくなったり体が疲れやすくなってしまいます。カリウムはバランスよくとることがとっても大事ですね。
低血糖
血糖値が低くなると、手に力が入らなくなる状態になります。低血糖というと糖尿病というイメージが先行しがちですが、中には人よりもインスリンが多いためになるという人もいるようです。
低血糖の場合は、応急処置としてチョコや飴などを食べるようにしましょう。空腹時にふらふらするという人も、是非試してみてくださいね。
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