手の水虫の治し方・薬全集【うつるので早めに治療して!】
<監修医師 WASHIO>
水虫は足だけでなく手にも生じます。今回は手の水虫の特徴と、治し方、使える薬の種類について解説していきます。
水虫の原因
白癬菌の感染
水虫とは白癬菌と呼ばれるカビ(真菌)の一種が、皮膚を侵食することで生じる感染症の呼び名です。
医学的には白癬と呼ばれ、感染部位によって名前が異なります。
足なら水虫、爪なら爪水虫で、頭皮に感染した物は白雲(しらくも)、手足頭皮陰部以外の皮膚なら「ぜにたむし」、股(特に男性の陰のう)に感染すれば陰金田虫(いんきんたむし)とそれぞれ呼ばれます。
症状に関してはこちらも参考にして下さい。
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白癬菌の感染経路
白癬菌と呼ばれる真菌は何種類かありますが、人と人との直接、あるいは間接的な皮膚接触が主な感染経路です。
水虫の患部から剥がれ落ちた角質の中にはまだ白癬菌が生きており、それを踏んだり触ったりして菌が皮膚に付着することで伝染します。一部には土屋他の動物から移る物もありますが、基本的は人からうつります。
水虫を患っている人が家族にいるときには、床、風呂場の足ふきマット、トイレの便座などが感染源になります。患部に直接触れる物品の使い回しは感染拡大の原因となるので、水虫が完全に治るまでは避けるべきです。
高温多湿の環境
菌が付着しただけでは水虫にはなりませんが、洗い流されずに菌が残り、増殖して角質内部に侵入すると発症します。
白癬菌はカビの一種なので高温多湿の環境を好み、靴を履いて通気性が悪い足の表面などは、増殖するのに最適な場所となります。体温が高い人、汗をかきやすい人はもちろん、免疫力が弱まっている人の皮膚も、増殖するのに好都合な場所です。
手の水虫の症状
皮膚がある場所ならどこでも水虫は発生し得ます。それは手も例外ではありません。
足の水虫が全体の9割近くを占めるのに対し、手の水虫は1割弱と少ない物の、決して生じないわけではない病気です。手水虫と似た症状が起こる皮膚疾患には手湿疹などがありますが、それらが両手に同時に生じる傾向があるのに対し、手水虫は片手だけに生じることが多いという特徴があります。
かゆみ
水虫の症状として最も代表的な物がかゆみです。
白癬菌は皮膚を構成するケラチンを食べて溶かしつつ、一つ奥の真皮へと侵入していきます。このときに出される副産物に、免疫は反応して患部に送り込んだ化学物質に、血管や神経が刺激されてかゆみが生じます。
手水虫は他の水虫に比べるとかゆみが小さい傾向にあるので、水虫と気づかずに悪化するまで放置してしまうこともあります。
いんきんたむしの症状についてはこちらを参考にして下さい。
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紅斑(こうはん)・鱗屑(りんせつ)
紅斑はその名の通り赤い斑点で、鱗屑は皮膚が魚の鱗のような屑になって剥がれ落ちる症状です。患部の皮膚に紅斑が出来て角質化(表面の角質層が分厚く硬くなる)し、皮がむけてボロボロとはがれ落ちる症状が出ます。
この症状を呈する水虫は角質増殖型水虫と呼ばれ、手の水虫は多くがこのタイプです。見た目は手荒れによく似ており、かゆみみや痛みが少ないのでハンドクリームなどで対処しようとしてしまいがちです。
水ぶくれ
小さな水ぶくれ(小水疱)が多数生じる症状で、非常にかゆいのが特徴です。悪化すると、ふやけてジュクジュクとし、雑菌が入ると膿が溜まった膿疱になることもあります。手湿疹では角質化・鱗屑の方が一般的で、小水疱はあまり生じません。
手の水虫の治療法
抗真菌剤
白癬菌は皮膚の真皮内に潜んでおり、この部分には白血球などの免疫システムが入れません。また、皮膚が新陳代謝で剥がれ落ちるスピードよりも水虫が奥へと進行する速度の方が早いので、放っておいても自然に治癒することは期待できません。
抗真菌剤は水虫治療の中で最も一般的かつ効果的な手段です。原因となる白癬菌を死滅させれば、水虫はすぐに治ります。
水虫が生じる部位によって、効果的な薬の形態は異なります。しらくもの場合は粘性の少ない液剤で、手の場合はしっかりと塗布できる軟膏剤やクリームがお勧めです。爪水虫の場合は外部からの薬が届かないので、薬局で処方してもらう飲み薬が必要になります。
症状が治まってもまだ皮膚の内部には菌が残っているので、再発を防ぐためには、油断せずに薬をしばらく使い続け、菌を完全に死滅させる必要があります。
皮膚科を受診して診断してもらい、薬をどのように使えばよいかのアドバイスをもらいましょう。
乾燥させて清潔にする
薬を使うことは重要ですが、菌が元気に活動できる状態では効果も薄れてしまいます。患部を白癬菌が生存・増殖しにくい、乾燥して風通しの良い状態にすることは、薬の使用と並んで重要な水虫対策です。
手を濡れたままにしない、きちんと洗って清潔なタオルで拭く、弱酸性のハンドソープやシャンプーを使って皮膚表面を健康に保つなど、手を清潔・健康にしておけば、それだけ水虫を早く治すことが出来ます。
市販されている主な薬
アリルアミン系
塩酸テルビナフィンという成分が配合されているタイプの抗真菌薬です。塩酸テルビナフィンは世界中で最も広く使われている成分で、効果が高く且つ即効性があります。白癬菌の増殖を阻害しつつ、細胞膜を破壊して殺す作用を持ちます。
大正製薬の「ダマリングランデ」や、ノバルティスファーマの「ラシミールプラス」が代表的です。ロート製薬が女性向け水虫薬として販売している「エクシブ」もこの部類に入ります。
くわしくはこちらも参考にして下さい。
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ベンジルアミン系
塩酸ブテナフィンという成分を使っており、作用は塩酸テルビナフィンとほぼ同じです。久光製薬の「ブテナロック」、佐藤製薬の「ラマストン」、武田薬品の「スコルバ」などがあります。
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モルホリン系
塩酸アモルフィンという成分を使用しているタイプです。塩酸ブテナフィリンや塩酸テルビナフィンとは作用機構が異なり、細胞膜の生成を2段階で阻害して菌を殺す仕組みです。白癬菌と同じ真菌であるカンジタ菌にも効果があるのが特徴です。
大正製薬の「ダマリンエース」などがあります。
イミダゾール系
ラコナゾールという成分を使用した水虫薬で、白癬菌への高い殺菌効果を持ち、カンジタ菌にも有効です。以前は第一類医薬品に分類されていたので薬局でしか買えませんでしたが、2011年から指定第二類医薬品になったので、ドラッグストアなどでも購入できるようになりました。
第一三共ヘルスケアの「ピロエース」、興和の「フットガンコーワ」などがあります。
興和は大日本製薬(現大日本住友製薬)がの「新マルピー水虫薬」を製造していましたが、2006年に販売中止になり、フットガンコーワが初めて自力で開発・販売する抗真菌薬となっています。
いずれの薬を使用する場合でも、できればお医者さんや薬剤師に相談したうえで、しっかりと説明書きを読んでから使うことが大切になります。
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