口が開かない4つの病気に注意【病院は何科を受診すべき?】
<監修医師 みのり>
急に口が開かない・開きにくいという状態になったことがありませんか?
朝起きていきなり口が開かなかったら大変なことです。どうして?もしかして病気?どこの病院に行けばいい?どうしたら良いのか誰に聞けばいいのか、とにかく焦るばかりで何もできず途方に暮れるでしょう。
それほど口が開かないというのは大変なことなのです。他にも顎がカクカク鳴ったり歯が悪い訳でもないのに顎のあたりが痛いなど、口に関わるトラブルは案外あるものです。
今回は口が開かない原因や奥に潜む病気などについて解説します。
口が開かなくなる原因
口の開閉は筋肉と関節が受け持っていますね。こめかみや耳の下あたりに手を当てて歯を噛みしめると筋肉が動きます。顎の関節は下顎頭(かがくとう)・下顎窩(かがくか)・関節結節・関節円板とで成り立っています。
この4点が関係しあって動くことで口のスムーズな開閉が可能になるのです。その関係性が崩れることによって口が開かないという症状が出ます。どのような原因があるのでしょうか。
外傷
転倒やスポーツ外傷などで顎関節の骨折やゆがみが生じると口が開かなくなります。医療機関で早急に処置をして正しい位置に戻しておかなければ、その後も口が開きにくい症状が残って障害となります。
歯の炎症
親知らずの抜歯の後、口が開きにくくなることがあります。抜歯処置の圧力で顎が痛くなるのはもちろんですが、親知らずの生え方などにも原因があります。
正常な方向に歯ぐきから生えてくれれば抜歯する必要すらない親知らずですが、横や斜めに自由に生えてきてしまいますね。このため周囲の歯茎に炎症が起こったことがありませんか?
この炎症により腫れや痛みなどが発生します。歯茎が腫れることで他の歯との噛み合わせも悪くなり、炎症が原因で口が開かないという症状が出るのです。
親知らずの抜歯後に起きるトラブルについてはこちらを参考にして下さい。
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骨の変形
口の開閉をすると顎関節や周囲の筋肉が痛んだりして口を大きく開けられなかったりカクンカクンと音がするという症状があります。
これは顎関節症というもので関節円板がずれることで起こるのですが、放置していると骨や周囲組織が変形してしまうことがあります。
病気
口が開かなくなるという症状を持つ病気があります。破傷風やパーキンソン病などですが、他にもストレス性の障害で口が開きにくくなる症状が出ることもあります。比較的身近な病気では外耳炎が挙げられます。
お風呂上りに綿棒を押し込みすぎる人に多い外耳炎は、顎の痛みで発見されることが多いと言われます。外耳が炎症を起こすことで直近にある顎にも痛みを感じ口を開きにくいという症が出ます。
口が開かないのは病気の可能性もアリ
口が開かない原因は病気の可能性が多くあります。中でも代表的な病気を紹介します。
顎関節症
顎が痛む・口が大きくあかない・口の開閉をするときに顎が鳴る・噛み合わせの違和感などの症状があれば顎関節症かもしれません。朝起きたときに口が開きにくいのは要注意です。
気づきにくく慢性化することが良くあり、睡眠時の歯ぎしりや食事中の噛み癖・頬杖をつく姿勢などがおもな原因です。日常生活でのストレスや不安感などから発症することもあるので、誰にでもかかわりのある疾患です。
肩こりや背中の痛みなどを併発することもあり、治療をせずに放置すると骨が変形したりします。
軽症の場合の対処法として、口や首周りのストレッチで症状を緩和し重症化を予防することができます。方法は簡単で、口をゆっくりと大きく開閉したり、開けたまま下あごを前後に動かしたりします。
側頭部に手を当てて、その手でゆっくりと押して頭を反対側へ倒して首周りを伸ばします。また、痛い実がある時の対処法はホットタオルで痛い顎を温めてさする程度のマッサージをするのも効果的です。
ただし、痛みや違和感がある時には無理をせずに医療機関を受診する方が悪化させずに済みます。
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破傷風
破傷風は土の中の破傷風菌の感染症で、現在でも致死率が10%以上と高い疾患です。子供の時に三種混合ワクチンの接種をしていても大人ではその効果が消失しているために気を付けたい感染症です。
土いじりした手に傷があったり擦り傷や鉄くぎを踏んだりして感染することが多く、神経に影響が及ぶのは感染後1週間ほどかかります。女性なら分娩時の臍帯処理が適切でなかったりすると新生児にも産婦にも発症の危険があります。
破傷風の特徴的な初期症状に口が開かないというものがあります。他には首筋の突っ張り感や嚥下困難が挙げられます。それらの症状から徐々に全身の痙攣が起こり、後弓反張(身体が後ろ向きに反り返る)や呼吸困難が発生して死に至るというものです。
口が開かない・首筋が突っ張るなどの症状があっても傷がなければ破傷風とは気づかないことが多いため命の危険が伴います。疑わしい場合は設備の整った外科を受診してみましょう。
また土と接する機会が多かったり擦り傷などを受ける機会が多い人は予防接種を受けるように心がけましょう。
パーキンソン病
パーキンソン病は筋肉を動かすための神経伝達経路に異常が起こる疾患です。顔の筋肉が固縮すると表情がなくなり口が開かなくなったり筋肉が固まり嚥下障害が起こったりします。40代から50歳以降に発症することが多い病気です。
リウマチ
免疫疾患であるリウマチは微熱や食欲の低下が続きます。どこが痛いか特定できないような痛みやこわばり間で受診することが多い疾患です。リウマチでは身体の多くの関節が左右対称に炎症を起こすことが特徴です。
リウマチ性関節炎が顎関節に発生した時には口を開きにくい・口が開かないという症状が現れます。
くわしい症状についてはこちらを参考にして下さい。
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病院は何科を受診すべき?
通常は口が縦方向に4センチ程度開けば正常だと言われています。わかりやすいのは人差し指・中指・薬指をそろえて縦向きに口に入れば良いというのが目安です。
ということは、通常の開き具合より小さくて顎に異変を感じた場合は医療機関を受診した方が良いということになります。では具体的にどのような診療科へいけば良いのでしょうか。
歯科
歯の炎症が原因であれば迷わず歯科を受診します。炎症の原因を特定して処置や投薬により治療します。
口腔外科
顎関節症は口腔外科の範囲です。親知らずも抜歯が困難な場合は口腔外科での手術となりますね。顎関節症ではおもにスプリントと呼ばれるプラスチック製のマウスピースを使用する治療になります。
要は噛みしめるときに顎にかかる力の負担を軽減して改善を目指すということです。歯ぎしりはものすごい力が顎にかかり、時には歯が欠けてしまうこともあります。姿勢が悪くいつも頬杖をついていたりするのも顎には大きな負担になります。
スプリントでは改善しない場合は内視鏡下での外科治療や、鎮痛剤の投薬や理学療法を併用することもあります。
形成外科
外傷による骨折など、顎の骨の変形を伴う場合は形成外科領域です。ワイヤーでの固定処置で済む場合と専門的な手術が必要な場合がありますが、いずれもかなり専門性の高いものとなります。
歯の噛み合わせは1ミリずれただけでも口が開けづらくなる上にボディバランスが狂ってしまうため、安易な治療はできません。
ただし、顎骨骨折や顎変形症は多くの場合、形成外科では、噛み合わせの調整等が困難なため口腔外科での併診する必要があります。
その他の受診科
リウマチやパーキンソン病では神経内科や内科・リウマチ内科を受診します。破傷風では外科での早期診断がその後の生活自体を左右します。
破傷風の治療についてはこちらを参考にして下さい。
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口が開かないという症状は自分で改善できる場合は少なく、医療機関を受診することになる場合の方が多いのです。
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