吐血する6つの原因一覧!【ストレスも関係してるの?】
<監修医師 吉野 聖奈>
急に吐血をしてしまった場合、とても驚かれる事と思います。
もし吐血をした場合には何らかの病気が隠れている可能性も高いですし、出血をしているという事は危険な状態である事は間違いありません。
今回は吐血症状の現れる病気になる原因を詳しく解説いたします。原因となる事柄は多くの方が普段行っている事が多いです。
重大な状態にならないように、しっかりと気を付けましょう。
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吐血と喀血の見分け方
どちらも口から出る吐血と喀血。
吐血も喀血も、口や鼻を通して出てくる出血ですが、それぞれ出血源が異なります。
吐血は食道や胃・十二指腸等の消化器系の器官からの出血。喀血は気管や気管支、肺等の呼吸器系の器官からの出血です。どのようなところで見分ければ良いのか解説いたします。
喀血
喀血とは、気道から肺に至る呼吸器から出血した血液が口から吐き出されたものの事をいいます。出血している箇所は、気管、気管支、肺です。
出血原因としては、肺結核、肺がん、気管支拡張症、喉頭がん等の病気が考えられます。それ以外の原因として胸部の外傷、肺挫傷、気管・気管支損傷等があります。
血液の量が多いと呼吸不全や窒息を起こす危険性があります。救急車を呼び、すぐに病院に行ってください。
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咳
吐血と喀血の大きな違いとして咳症状があります。喀血の場合には呼吸器からの出血が原因ですので、多くの場合は咳を伴います。体の向きを変えた時に咳や痰が多く出るという特徴があります。
また肺がんの場合、乾いた咳や痰、発熱、胸痛を伴います。吐血の場合には咳症状はみられません。
鮮血、暗い赤
吐血の場合には血液の色は、暗い赤、茶色、茶褐色、黒色、コーヒーのかすのような色。喀血の場合には鮮血、真っ赤な色の血液が出ます。
ただし、吐血の場合にも、食道からの出血では鮮血の血液の場合が多いです。また胃・十二指腸からの吐血も大量の場合には鮮血の血液になります。
さらに睡眠中に喀血が起きた場合には、そのまま血液を飲み込んでしまう為、嘔吐する事があり、その場合には、胃液の作用により、色が黒褐色に変色するので注意が必要です。
このように色ではなかなか見分ける事が難しいかと思います。吐血も喀血も命に関わる症状ですので、すぐに病院に行ってください。
泡沫
喀血の場合には多くの場合に咳を伴う為、泡沫状の血液の事が多いです。吐血の場合には泡沫状のものはほとんどみられません。
胃液
喀血の場合には呼吸器からの出血の為、食べ物のかすは混ざりませんが、吐血の場合には食べ物のかすが混ざる事が多いです。
特に胃や十二指腸からの出血の場合には食べ物のかすが混ざります。
吐血する原因
次に吐血する原因について解説いたします。吐血をするという事は何らかの疾患を患っている可能性が非常に高いです。
日頃から病気にならないように注意が必要です。原因をしっかりと知る事で、普段の生活習慣の見直しを心掛けましょう。
ストレス
吐血の原因としてストレスが関係しています。現代社会はストレス社会と言われる程、ストレスを抱えている方が多いと思います。日々の生活、仕事、人間関係、様々な原因でストレスを溜め込み、吐血してしまう事があるのです。
胃や十二指腸等の内臓の働きは自律神経によって調節されていますが、ストレスにより、自律神経の働きが乱れます。そして粘膜の血流までもが悪くなり、粘膜が傷つきやすい状態になってしまうのです。
ストレスが原因となり、吐血を引き起こす胃潰瘍や十二指腸潰瘍等の疾患を招いてしまう事になるのです。なかなかストレスをなくす事は難しいですが、自分にとって何がストレスになっているのかを把握する事が大事です。
そして、自分の好きな事をしたり、少しでもリラックスできるような事を生活の中に取り入れてみましょう。
アルコール
吐血を引き起こす原因としてアルコールが関係しています。アルコールには胃酸の分泌を促す作用があり、胃酸の刺激により胃はうっ血します。この状態が悪化していくと吐血症状を引き起こします。
それから後程説明いたしますが、マロリーワイス症候群も食道静脈瘤もお酒の飲み過ぎによって引き起こされます。また食道や胃、十二指腸等の様々な粘膜へも悪影響を及ぼしてしまうのです。
吐血だけではなく、アルコールは体にとって様々な悪影響の一因になりますので、禁酒、もしくは飲み過ぎには十分注意してください。
ピロリ菌
吐血を起こす病気として胃潰瘍と十二指腸潰瘍の頻度が高いです。その胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因のほとんどはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が関係しています。
また胃がんもピロリ菌と塩分の強い食生活が原因としてあげられます。さらにピロリ菌に感染している方はストレスがあると胃潰瘍・十二指腸潰瘍を起こしやすくなりますので、注意が必要です。
最近ではピロリ菌を無くす内服薬等も出ています。一度病院で検査の上、ひどくなる前に対処するようにしましょう。
非ステロイド性抗炎症薬
解熱、鎮痛、炎症を抑える等の作用がある非ステロイド性抗炎症薬ですが、このお薬が原因となり、胃潰瘍・十二指腸潰瘍を引き起こす事があります。
非ステロイド性抗炎症薬による胃潰瘍の場合は、通常の胃潰瘍と違い、痛み等の症状を感じずに進行し、突然吐血や下血等の症状が起こる事があります。
病院で処方されるお薬の他に市販薬で同じ効能のものが出ています。病院での処方の場合にも定期的に内視鏡検査等が必要です。
また市販薬でも同様の症状を招く事がありますので、安易に使うのはやめましょう。
タバコ
タバコも胃だけでなく、体に様々な悪影響を及ぼします。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道がん、肝臓がん、直腸がん、すい臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、乳がん等様々な病気の原因となります。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、内臓の血行を悪くします。血流が減少してしまい、胃の粘膜がただれ、胃潰瘍等を引き起こします。またニコチンのアルカリ性により消化液も減少します。
結果、十二指腸も強い酸性の胃液の影響で、十二指腸潰瘍となってしまうのです。ピロリ菌の増殖等にも関連してきますので、タバコはやめてください。
禁煙のメリットについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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不規則な食生活
塩分の強い食べ物、酸味の強い食べ物、香辛料、コーヒーの飲み過ぎ等により、胃や十二指腸に刺激を与えてしまいます。また1日2食や、食事時間がまちまち等、不規則な食生活の場合も影響を及ぼします。
食べていない空腹の状態で胃酸が分泌される事で、胃酸が濃くなってしまい、胃の粘膜を傷つけます。またピロリ菌がいる時には胃はビタミン不足の状態になっています。
野菜類や牛乳、納豆、うなぎ等がビタミンも豊富で胃の粘膜を保護してくれる働きもありますので、おすすめです。そして規則正しく1日3食、しっかり噛んで食べるように心掛けましょう。
吐血を伴う病気
吐血を引き起こす疾患の多くは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん等の疾患です。何事も早期発見・早期治療が重要になりますので、健康診断をきちんと受けましょう。
また後程詳しく解説いたしますが、食道静脈瘤や胃粘膜の病変等、普段の生活習慣から考えられる疾患もありますので、普段から体の事を意識した生活を送りましょう。
それでは最後に吐血を伴う病気について解説いたします。
食道静脈瘤
食道静脈瘤とは、食道内に血液の溜まり(瘤(こぶ))ができ、それが破裂する事で吐血症状を起こします。静脈瘤自体には痛みはなく、突然の吐血により気付く事も多い病気です。
自覚症状としては食べ物が飲み込みにくい事や、黒っぽいタール便が続く事で、異変に気付く場合もまれにあります。肝臓の病気がある人に多くみられる合併症ですので、定期的に検査を受けましょう。
病気とまではいかなくても、肝機能に健康診断等で指摘があった場合には注意が必要です。突然の吐血、そして死に至る事もある怖い病気ですので、定期的な検査が必要です。
また食道静脈瘤の原因にはアルコールの影響が大きく関係しています。過度なアルコール摂取は避けてください。
がん
消化管のがんは、口腔・食道・胃・十二指腸・小腸・大腸などの食物が通過する消化管内腔の粘膜面から発生します。食道がんは下咽頭から胃までの食道粘膜に発生します。
食道がんの場合には、症状が現れにくく、食べ物が飲み込みにくい等の症状が現れた時には進行性食道がんの可能性が高いです。
またがんは、粘膜がんの状態で発見する事が早期治療には必要です。どの消化管がんもそうですが、粘膜がんの場合には内視鏡での治療ができるようになっています。
ただ粘膜がんの場合にはほとんど自覚症状がみられません。その為、定期健診や人間ドック等の検査が必要になります。
がんが進行してしまった場合には、転移や手術も大掛かりな手術が必要になりますし、予後も悪くなってしまいます。
食道異物
誤って異物を飲み込み、咽頭や食道に停滞し、はまり込んでしまう事によって起こります。症状としては、物が飲み込めない、嘔吐、胸痛、吐血等の症状が現れます。
異物が食道壁を破ってしまった場合には、発熱、胸痛、腹痛、呼吸困難を引き起こします。小児の場合にもちょっと目を離したすきに硬貨やおもちゃ、電池等を飲み込んでしまう場合がありますので、注意が必要です。
胃潰瘍
胃酸の影響を受けて潰瘍を形成するものの総称が消化性潰瘍で、胃潰瘍と十二指腸潰瘍が含まれます。胃潰瘍の場合は、胃酸の分泌は正常かやや少なめの場合がほとんどです。
胃の粘膜に炎症が生じると、胃の粘膜が深くえぐり取られ、潰瘍となります。症状としては食後30分~1時間後の上腹部痛が現れます。また潰瘍から出血がある場合に、吐血または下血、タール便の症状がみられます。
その他の症状としては、吐き気、嘔吐があります。吐血や下血等の出血症状が現れた場合には救急で病院を受診してください。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、胃酸が多い過酸症である場合がほとんどです。症状としては、十二指腸潰瘍の場合は胃潰瘍とは違い、空腹時に上腹部痛が起きます。特に夜間に起こる事が多いので、念頭に入れておきましょう。
またそれ以外の症状は胃潰瘍と似ています。強い上腹部痛の場合は穴が空いてしまっている穿孔(せんこう)の可能性もあります。
十二指腸潰瘍の場合も出血症状がみられる場合には救急で病院を受診してください。
急性胃粘膜病変
突然の上腹部痛、吐血、下血の症状が現れます。胃や十二指腸に多くの急性潰瘍やびらん、急性胃炎等のみられる病気です。吐血や下血がある場合には救急車を呼んでください。
胃粘膜下腫瘍
胃粘膜下腫瘍とは、胃の粘膜層よりも深いところの胃壁の中の病変によって、粘膜が胃の内腔に突出した隆起の事で、ほとんどが良性腫瘍です。
症状としては、腫瘍が小さい時にはあまり見られませんが、みぞおちあたりの痛みである心窩部痛(しんかぶつう)や腹部不快感が現れる事があります。
ただし、悪性の場合には腫瘍が崩れ、出血を起こしますので、吐血や下血の症状が現れます。悪性腫瘍の場合には手術を行わなければなりません。
マロリーワイス症候群
大量に飲酒をした後に、嘔吐を繰り返し、食道に圧が加わる事で、食道と胃の接合部分の粘膜が破れて出血する病気です。出血した後、吐血症状が現れます。
また飲酒だけでなく、食中毒や乗り物酔い、つわり等で嘔吐を繰り返す場合には同様の症状が現れます。吐血、下血、心窩部痛(しんかぶつう)、立ちくらみなどの症状が現れます。
痛みを伴う場合には食道壁が全層破れる突発性食道破裂の危険性があります。出血量が多い場合にはショック状態になる危険性もありますので、要注意です。
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫の場合に吐血症状が現れる事があり、主に胃等の消化器官からの出血症状である事が多いです。悪性リンパ腫で最初は吐血症状がなくても、免疫力の低下により、出血性疾患を併発して吐血する場合があります。
また胃の悪性リンパ腫は全身性のものが胃に転移する事が多いです。しっかりと検査をして、治療を行いましょう。
リンパ腫についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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白血病
白血病は血液のがんで、進行すると吐血症状が現れる事があります。白血病とは白血病細胞が骨髄を埋め尽くし、血液成分の生成を阻害する病気です。血液を構成している赤血球、白血球、血小板が不足する事で吐血等の重大な症状を引き起こします。
症状としては、貧血、動悸、息切れ、出血、吐血、下血、関節痛、あざができる等です。また血液が固まりにくい為、なかなか止血の難しい場合があります。きちんとした治療を受けましょう。
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