声がかすれる13の原因や病気【治し方を知って解放されよう】
<監修医師 吉野 聖奈>
普段何気なく話しすことで使っている「声」ですが、風邪を引いたときの不快感や、何故か突然、閉鎖感があるといった症状がみられることがあると思います。
そのような時、どのような方法で改善できるか知っておけば気楽になれることもあります。
今回は声がかすれる原因や病気の可能性、またその治し方などを解説していきます。
声がかすれる⁈発声の仕組み
声は咽頭にある声帯が空気を振動させ鳴らす音のことです。肺からの押し出される空気が喉を通る時に音が出ます。
声帯は2枚のヒダで構成され、普段息をしているときは開いていて、声を出そうとすると閉じて振動しているのです。開閉や伸縮で声は発声される仕組みとなっています。
また声帯は筋肉でできているため、使いすぎると疲労し、炎症を起こし声がかすれる原因となります。
声が出ない場合はこのような症状が考えられます。
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声がかすれる原因は13の病気
咽頭炎
咽頭の粘膜が炎症する病気です。
一時的にのど風邪や花粉症、インフルエンザなど、ウイルスや細菌、アレルギーが原因で起こる「急性咽頭炎」が多くなっています。声以外に発熱や咳・痰なども出てきます。
くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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声帯ポリープ
声帯にできるポリープは、喉を多く使った時にできるもので良性の腫瘍です。声帯に負担をかけたことが原因で、毛細血管の内出血を起こして血豆のようなものができます。
小さいポリープであれば2週間ほどで自然治癒します。
喉にできるポリープについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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声帯結節
声帯に良性の腫瘤ができ、子供や声出す職人に起こりやすい病気であります。腫瘤のできる原因は、声帯ポリープと同様で声の出しすぎによるものです。
声帯ポリープと異なる点は、内出血による腫瘤ではなく声を出すときの摩擦で生じるもので、手のひらや足の裏にできるタコと同じ仕組みです。
後鼻漏
鼻水が鼻腔の奥から喉に下り痰が絡んで声がかすれるという病気です。
鼻腔と喉の奥は繋がっているので、鼻水が下ってくるのは自然現象ですが、環境の変化で鼻水が大量に分泌されたり鼻に炎症が起きて鼻詰まりが起きると、鼻水が過剰に喉の奥に下り不快感を伴うようになってしまいます。
後鼻漏が原因で、鼻腔の奥に粘り気のある鼻水が溜まる蓄膿症であり、風邪やアレルギー性鼻炎による鼻詰まりでも起こりやすいです。
くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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咽喉頭酸逆流症
30~50代の女性を中心に近年増えてきている病気で、胸やけや喉のイガイガとする感じを伴いかすれ声の原因となっています。
胃から食道へ胃液が逆流する「胃食道逆流症」と同時に起こりやすい病気で、胃液が食道から気道に入り声帯が炎症して声がかすれてしまうのです。
原因ははっきりとしていませんが、暴飲暴食、胃酸の分泌を過剰にする食品の摂取、ストレスなどが原因で発症すると言われています。
甲状腺機能低下症
若い女性に多い病気で、声がかすれたり低くなったりすることがあります。
甲状腺ホルモンを分泌する機能が低下するために新陳代謝が遅くなり、さまざまな症状を引き起こす病気です。体の水分が排出されにくくなり、余分な水分が溜まり、体がむくんでしまいます。そのため、咽頭もむくむため、声がかすれたり低くなってしまいます。
この症状が原因で食欲低下、体重増加動作や話し方が遅い、疲れやすい、寒がりになる、無気力になる、生理不順になる、乾燥肌になる、毛が抜ける、狭心症発作が起こるなどの症状もみられます。
痙攣性発生障害(SD)
20~40代の女性に多く、よく声を使う職業の人に起こりやすくなっています。
国内での患者数は2千人弱しか確認されていない珍しい病気で、自分の意志と関係なく声帯が震えて閉まるため、スムーズに発生できなくなる病気です。
声帯の震えは筋肉の運動を司る神経系の異常で起こることが発見されていて、自分の意志と関係なく不随意運動が起こる「局所性ジストニア」の一種ですが、なぜ神経系の異常で起こるかは未解明です。
話そうとすると声がかすれたり、しぼり出すような声しか出なくなるのが特徴となっており、自宅にいるときなどリラックスしているときには症状が楽になる傾向があります。
また、認知度の低い症状ということもあり、心因性の音声障害と誤解されやすいのが現状となっています。対人関係や仕事への影響もあるため、うつ病や引きこもりにつながることがあります。
シェーグレン症候群
免疫が自分の体を過剰に攻撃してしまう自己免疫疾患の1つで、難病に指定されています。
声のかすれを伴うとともに、目・口腔の乾燥、喉が乾燥して咳が出る、虫歯や歯周炎、親知らずが腫れる、膣が乾燥するなどの場合に、この病気が考えられます。
また、免疫の異常な働きによって関節炎、血管の炎症、腎障害、神経障害などの全身症状がみられることもあるそうです。
咽頭がん
喫煙者や化学物質に曝露する職業従事者に多い病気です。
咽頭がんは部位ごとに分類され、また部位によって初期症状が変化します。声門癌はガラガラ声が出る症状、声門上癌は喉の違和感・飲み込むときに痛む・首が腫れる、声門下癌は無症状です。
どの咽頭がんも進行すると声が出しにくくなり、血痰や息苦しさを伴うようになります。
反回神経麻痺
咽頭の炎症ではなく、声帯の動きを担う「反回神経」が麻痺したために、発声機能が阻害されてしまう症状です。
反回神経とは、左右の鎖骨あたりから、胸腔内を通っている咽頭につながっている神経のことです。ケガなどによって、反回神経の一部が損傷すると声帯がスムーズに動かなくなるのです。
左右どちらかの声帯が麻痺すると、声帯の間に不自然な隙間ができて声帯を通る空気がスムーズに振動しなくなるため、声がかすれたり息切れを起こしやすくなります。
また、両側が麻痺すると声が出なくなったり、呼吸困難を起こしてしまいます。そして食べ物を飲み込む嚥下時には、食べ物が気管に入り込まないように左右の声帯を強く閉じられて、気道を完全に閉鎖します。
しかし、この症状になると声帯が上手く閉じず気道に食べ物が入ってしまう誤嚥やむせるといった症状がおこります。
結核
主な症状としてあげられるのが、微熱や咳、痰など風邪のような症状から始まり、体重低下や食欲不振、倦怠感、声がかすれる、胸の痛み、吐血、血痰、呼吸困難などがあげられます。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は気管支や肺胞の外部にある間質という組織で炎症を起こして発症する病気です。
そのため、肺などの音ではわかりにくく、症状として声がかすれる、高熱が出る、咳がぜいぜいと出る、全身倦怠感を感じます。また長引くことで、喘息を発症することもあります。
声帯萎縮
声帯の容積が減少することにより声を出そうとしても左右の声帯が上手く閉じることができず、隙間ができてしまう症状です。代表的な病気としてあげられるのは、声帯麻痺、声帯溝症、加齢に伴う変化などです。
こうなったら病院へ
咽頭炎
軽い炎症であれば数日で炎症が治まりますが、喉の痛みが強くて辛い場合や高熱が出てインフルエンザっぽい症状がある場合は、耳鼻科か内科を受診しましょう。
声帯ポリープ
小さいポリープは喉を休めることで自然治癒するので、声がかすれてから2週間ほど様子を見ておけば問題ないです。しかし、自然に回復しなければ耳鼻咽喉科を受診する必要があります。
声帯結節
治療を急ぐ病気ではないが、声がかすれたら他の重篤な病気の可能性があるので念のため耳鼻咽喉科を受診しましょう。
後鼻漏
風邪が原因で起きる症状であれば、自然に回復するため問題ありません。しかし常に鼻水が喉を下っていて、痰のからみやかすれ声が慢性化している場合は耳鼻咽喉科を受診して、原因を知り根本的な治療することが望ましいです。
咽喉頭酸逆流症
声のかすれや喉の痛みが続くようなら耳鼻咽喉科を、胸やけが目立つようなら消化器内科か内科を受診しましょう。
甲状腺機能低下症
声がかすれるなどの異常、体重増加、無気力など特有の症状があれば治療が必要になります。内分泌代謝科を受診しましょう。
また、甲状腺が腫れる「橋本病」に併発して起こることもあります。橋本病は治療を急ぐ病気ではありませんが、首の腫れを感じたときは受診して、必要な治療を受けましょう。
甲状腺の異常についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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痙攣性発声障害(SD)
発声しにくくなったら、原因を特定するためにもすぐ検査しましょう。
他の病気と見極めにくいので、音声外来、音声外科など発声のトラブル専門に診察している病院を受診することが望ましいです。
シェーグレン症候群
ドライアイや更年期障害と間違えて、症状を見過ごしてしまう可能性があります。目や口腔内が乾燥する症状が出る場合、頻繁に保湿ケアが必要になるので早めに治療受けましょう。
咽頭がん
かすれ声といった声異常が1ヶ月以上続く場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
反回神経麻痺
呼吸や食事をしているときに支障をきたすことがあるので、症状が出てから6ヶ月経過しても改善されないような場合は、声帯の動きをサポートする治療を受けましょう。
かすれる声の症状改善7つの方法
大人しくしている
カラオケに行って大声で歌いすぎてしまったり、声が裏返るほど一生懸命高音を出したり、ついつい友人と話すぎてしまったりすることで一時的に喉に痛みがあったり声がかすれたりします。
炎症が起きているときはなるべく声を出さないようにしましょう。できる環境であれば数週間筆談で過ごすことで症状も落ち着いてきます。
禁煙・禁酒
タバコの煙に含まれているタールは、気管と気管支の粘膜に悪く喉の炎症を起こします。本数を減らすなどして対策を取りましょう。また、アルコールの飲み過ぎで炎症が起きたときはお酒の量を減らしましょう。
正しく発声する
無理をして必要以上に声を絞り出してしまうと、声がかすれてしまう原因になります。
あくびをしたときの喉のように、咽頭を大きく開けて声を出す「あくびため息法」や、声帯をしっかり合わせて力を入れて声を出す「プッシング法」があります。ボイストレーニングに通って、正しい発声法を学ぶのも1つの方法です。
正しい姿勢をする
声帯は2本あります。その声帯をバランス良く使うには背すじを真っ直ぐにして正しい姿勢を保つことが大切です。
✅ 右足と左足に均等に体重を乗せる
✅ 足を外側に開かない
✅ 猫背にならないで背すじを伸ばす
✅ お腹を突き出さない
✅ 顎を引く
以上のことを意識することで正しい姿勢を保つことができ、声のかすれを防ぐことができるせしょう。
唾液の分泌を活発にして、口腔内を潤す
夏場はクーラーによる喉の乾燥や、冬場は空気が乾燥しているので喉が乾燥したりします。口腔内が乾燥していると声帯の周りの粘膜も乾き働きが鈍くなるため、潤いを保つことが大切です。
✅ こまめにうがい、水分を取る
✅ 応急処置でシュガーレスガムを噛む、飴やトローチをなめる ✅ 加湿器をつけたり、マスクを着用する ✅ 耳の下あたりを押して、唾液腺を刺激する |
ストレスを溜めない
日々、疲れることでストレスを溜めてしまうこともあるかと思います。
精神的なストレスによる心因性が原因で声が出なくなることもあります。喉には異常はないが、違和感や不快感を感じる症状は「咽喉頭異常感症」とされる症状で、アレルギーや貧血、更年期障害が原因ともされています。
ストレスを溜めないようにするには、規則正しい生活を心掛けること、バランスの良い食事をすること、睡眠、運動や入浴をしてリラックスすることが大切です。
腹式呼吸をする
声が かすれないようにするためには、声帯に負担を掛けないことが大切です。
肺の周りの筋肉が緊張していると空気を十分に吸うことができないので、喉や胸に力を入れず腹式呼吸をすることで、喉に負担が掛かりにくくなります。
その他の声がれに関する対処方法についてはこちらを見て参考にして下さい。
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