平熱を上げるには6つの方法【食べ物や漢方も詳しく解説】
<監修医師 まっちゃん>
最近、平熱の低い低体温の方が多くなってきています。その原因は運動不足による筋肉量の低下、食生活の乱れ、生活習慣の乱れ等、様々です。
低体温は身体に様々な悪影響を及ぼし、免疫力の低下や病気のリスクも高まります。
そこで今回は平熱の正常値や低体温の危険性について、また平熱を上げるメリットや方法、平熱を上げる為に効果的な食べ物や漢方について詳しく解説いたします。
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平熱の正常値を知ろう
体温は1日の中でも変化があり、測る場所によっても少し差があります。
普段から平熱を把握しておく事は大切な事です。成人の平熱の正常値は脇の下で測る、腋窩温で36度~37度です。
赤ちゃんや子供は成人よりも少し平熱が高めで、37度~37度5分ぐらいが正常値とされています。
高齢者の場合は、個人差もありますが、成人よりも少し平熱が低くなる傾向があります。
熱を測る際に最近では様々な体温計があります。
一般的に脇の下の腋窩温で測るタイプの体温計、耳で測るタイプの体温計、口で測るタイプの体温計、直腸で測るタイプの体温計があります。
それぞれの体温計には正しい測り方があります。
✅ 腋窩温で測るタイプ
体温計は、脇を上げて脇の中心部のへこんでいるところに体温計を当てて脇を下ろします。
電子体温計の場合は音が鳴るまで測り、水銀体温計の場合には5分程度測ります。
✅ 耳で測るタイプ
体温計は、耳の穴に入れて測ります。耳で測る専用の体温計を使用してください。説明書をよく読んで使用してください。
✅ 口で測るタイプ
体温計は、舌の裏の筋の横に体温計を当てて、口を閉じて測ります。電子体温計の場合は音が鳴るまで測り、水銀体温計の場合には5分程度測ります。
✅ 直腸温で測るタイプ
体温計は、乳幼児に使用されるケースが多いものです。
また体温計にも様々な種類があり、水銀体温計、実測式電子体温計、予測式電子体温計があります。
水銀体温計
昔ながらの体温計です。測定値は正確で使いやすく、消毒が簡単等のメリットはありますが、衝撃に弱い点や計測時間に時間がかかる事がデメリットです。
電子体温計
実測式電子体温計と予測式電子体温計があります。
実測式電子体温計
場合は、水銀体温計と同じく5分~10分の時間で計測します。時間はかかりますが、測定値は正確です。
予測式電子体温計
温度センサーで測定した温度を基にして、およそ10分後の体温を予測して表示しています。測定時間は30秒~1分等非常に短くなっています。
最近よく使われているのはこちらの体温計ですが、短時間で予測して表示する為、誤差が出る事もあります。ただし、正しい測り方で測れば大きく誤差は出ません。
平熱が低い低体温は意外に怖い症状
普段から平熱が低い低体温は、身体に様々な影響を及ぼします。
私達の身体は体温によって調節されており、通常の体温の場合には血流が良く、栄養や酸素を十分に送り、免疫機能をもつ白血球が全身をめぐります。
その為、免疫力も高く、ウイルスや細菌、がん細胞等からも身体を守ってくれるのです。
低体温の場合には、体温が低い事で血行不良、免疫力低下を引き起こします。そしてウイルスや細菌、がん細胞等に感染しやすくなってしまうのです。
また平熱が低体温の人の場合には、消費カロリーにも大きく差が現れます。
低体温の多くの原因が筋肉量の低下とされており、運動不足の方が多く見られます。運動不足から筋肉量の減少、低体温を引き起こし、さらには基礎代謝を下げます。
基礎代謝低下により、痩せにくい身体になってしまいます。低体温の方は冷え性の方も多く、常に身体が冷えている状態の場合もあります。
食生活や運動不足、ストレス等の影響から低体温を引き起こし、自律神経にも影響を及ぼします。体温の調節のコントロールが難しくなる自律神経失調症も引き起こしやすくなります。
さらには低体温により、自律神経の働きに異常が現れると排卵障害が起きる事があり、非常に危険です。
ホルモン分泌の減少により、排卵が起きにくくなり、卵子が育ちにくくなる不妊症になるリスクも高くなってしまうのです。
そして低体温で血管の収縮、血行不良を招く事で、脳への酸素や栄養が不足します。脳へも影響してしまい、認知症等も引き起こしやすくなります。
また脳細胞の働きが低下する事で、老化の進み具合も早くなってしまうのです。このように低体温には様々な身体に及ぼす悪影響があるのです。
平熱が上がると5つのメリットがある
ここまで平熱の正常値や低体温の危険性について解説してきました。次に平熱を上げる事によってもたらされるメリットについて解説いたします。
免疫力アップ
平熱を上げる事により、免疫力を高める事ができます。免疫力を高める事によって、ウイルスや細菌、ガン予防や様々な病気へのリスク回避ができるようになります。
基礎代謝を上げる
低体温により、基礎代謝低下を招き、痩せにくい身体になってしまいます。平熱を上げる事により、基礎代謝が上がり、消費カロリーにも大きく変化が現れます。
食べ物を消費するカロリーももちろん変化が現れ、痩せやすい身体になります。さらに筋トレ等の運動の際にも基礎代謝が高い事でダイエットも効果が高まります。
冷え性の改善
低体温の方は冷え性の方や、身体が冷えている方が多いです。平熱を上げる事により、血流が良くなり、冷え性の改善にも繋がります。
冷え性から肩こりや頭痛、めまい等の症状や様々な病気等も引き起こされる事がありますので、平熱を上げる事はとても重要なのです。
美肌効果
低体温により、内臓の温度も低くなり、肌トラブルも起こしやすくなります。平熱を上げる事により、内臓の温度が上昇し、内臓の働きや代謝が良くなります。
代謝が良くなることにより、肌のターンオーバーが活性化されることで、肌トラブルも起きにくくなり、むくみにくくなり、美肌効果にもなるのです。
デトックス効果
低体温により、基礎代謝低下、内臓機能の低下、冷え性等が引き起こされます。
平熱を上げる事により、基礎代謝を高め、老廃物が排出しやすくなるため、デトックス効果も期待できます。また、脂肪の燃焼も良くなるため、ダイエットにも効果的です。
平熱を上げるには6つの方法を心がけて
平熱を上げる事は身体にとって様々なメリットがあります。続いて、平熱を上げる為の方法について解説いたします。
スクワット
平熱を上げる為に、ふくらはぎ・太もも等の下半身、腰の筋肉を鍛える事のできるスクワットが効果的です。
運動不足から低体温を招いている事も多く、筋肉量が少ない人が多く見られます。特に筋肉は下半身に多く集中している為、下半身を鍛える事がポイントです。
無理のない範囲で日常生活に取り入れていきましょう。
入浴
忙しさのあまりシャワーで済ませてしまっている方も多い事と思います。ですが、入浴をして身体を温める事は非常に重要で平熱を上げる事ができます。
普段の平熱より4度高い温度で15分~20分程度の入浴をしてください。無理に温度を熱くして入浴を行うのはやめましょう。
食事
食生活の乱れや脂肪・糖分の摂り過ぎにより、ビタミン・ミネラル等の不足を招き、基礎代謝低下、そして低体温を引き起こします。
冷たい食べ物や飲み物は、低体温だけでなく、内臓機能も低下させてしまいます。平熱を上げる為には、冷たい食べ物や飲み物の摂取を控えるようにしましょう。
白湯
人間の身体は起床時が最も体温が低く、時間が経つにつれて徐々に上昇していきます。起床時に温かい白湯を飲む事によって、平熱を上げる効果が期待できます。
睡眠
睡眠を十分にとる事も平熱を上げる為には重要です。睡眠不足は自律神経の乱れを招き、自律神経のバランスを崩してしまいます。
自律神経のバランスが崩れる事で、体温調節が上手くできなくなってしまいます。ですので、睡眠を十分にとる事、質の良い睡眠をとる事が必要なのです。
空調
空調が効きすぎている場所では身体が非常に冷えやすくなります。空調の調節をできたらした方が良いですが、会社等だとなかなか難しいですよね。
平熱を上げる為にはとにかく身体を冷やさないようにすることが大事です。腹巻きやカイロ、タイツ等、温グッズを有効活用して、冷やさないようにしましょう。
食生活の改善で平熱を上げよう
平熱を上げる為には食生活の改善も重要です。食生活の欧米化や食生活の乱れ等から低体温を引き起こします。
ここでは平熱を上げる為に効果的な食べ物について解説いたします。
生姜
特に血行促進効果があるのが生姜です。生姜に含まれるジンゲロールという主成分が気化する事で、ジンゲロンとショウガオールという成分に変化します。
ジンゲロンには血行促進効果・基礎代謝促進効果・脂肪分解作用、ショウガオールには血行促進効果があります。生姜を食生活に取り入れる事で、身体を温める事ができます。
ニンジン
ニンジン等の根菜類は、体温低下を抑え、体温の上昇をする働きがあります。
またニンジンに含まれるβカロテンは抗酸化成分であり、血管を広げて血流を良くする働きを持っている為、平熱を上げる事ができます。
ねぎ
ねぎに含まれるカプサイシンは、身体の末梢神経を刺激し、体温を上げる効果があります。また抗酸化作用もあり、血液をサラサラにして血流促進効果が期待できます。
ごぼう
ごぼうは食物繊維が豊富に含まれ、血行促進効果が期待できます。
利尿作用をもつイヌリンという成分も含まれています。内臓機能を高める為にも効果的です。
れんこん
れんこん等の根菜類は身体を温める効果があります。れんこんは血管を丈夫にする働き、血行促進効果があり、皮膚の新陳代謝の活性化作用もあります。
赤唐辛子
赤唐辛子に含まれるカプサイシンは、熱を作り出す働きを持っています。
にら・にんにく
にら・にんにくに含まれるアリシンは、血管を広げ血流促進効果があり、また体温を上昇させる働きも持っています。
漢方と上手に付き合って平熱を上げる
最後に平熱を上げる為の漢方について解説いたします。漢方というと苦いお薬が多いですが、様々な身体に良い成分が配合されています。
病院や調剤薬局、漢方薬局等でご自身の症状に合った漢方と上手に付き合い、平熱を上げて体調改善に努めましょう。
八味地黄丸
八味地黄丸は体力低下、冷えの改善に使用されます。基礎代謝を上昇させる働き、冷えや血行不良の改善に効果的です。
人参湯
人参湯は、身体を内側から温める効果があり、痛みや胃腸機能改善作用があります。冷えの改善を行うとともに、栄養状態を良好にします。
当帰芍薬散
当帰芍薬散は、血行促進効果、冷え性の改善、疲労回復に効果があります。またホルモンバランスを整える働きや生理痛等の痛みを緩和させる働きを持ちます。
婦宝当帰膠
婦宝当帰膠には、血液量を増やし、血行促進効果があります。身体を温める事ができ、低体温や冷え性の改善に効果的です。
五積散
五積散は、冷え性や胃腸の症状のある方、関節痛、頭痛、更年期障害、腰痛、風邪等に使用します。
血行促進効果による冷えの改善、水分循環を改善し、胃腸の働きを高める効果があります。
温経湯
温経湯は下腹部が冷える事による生理痛や不正出血、不妊症によく処方されます。
桃核承気湯
桃核承気湯は血行障害の改善、腸内環境を整える効果、気持ちを落ち着かせる作用、ホルモンバランスを整える効果があります。
月経前症候群や生理不順、月経痛等にも用いられています。
清心
清心は身体を温める働き、胃腸の調子を整える働き、余分な水分を排出する働き等の効果があります。冷え性の改善や胃腸症状のある方に効果的です。
四逆散
四逆散は身体の四肢が冷えている方に効果的です。
本来温まるはずのものが温まっていない状態、炎症が起きているのに四肢が冷えているような状態の際に用いられます。
自律神経失調症による症状や腰痛、肩こりにも効果があります。
真武湯
身体を温め、余分な水分を排出する働きを持ち、むくみや痛みを取り除きます。新陳代謝の低い方、体力が低下している方、全身倦怠感や冷えのある方に用います。
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