排卵日に食欲旺盛になる理由をご存知?【4つの対策で太らない!】
<監修医師 春田 萌>
排卵日とは、生理と生理のちょうど中間。28日周期の人なら、最後に生理が来た日から14日後となります。毎月この時期になると、なんか食欲旺盛になってダイエットが思うように進まない、とお悩みの女性も多いのではないでしょうか。
でも、これは正常な身体の変化で、2~3kgの増加なら問題ないそう。実際に、次の生理が来ると元に戻るという人も多いと思います。でも、どうして毎月毎月、そんな現象が起こるのでしょう。
今回は、排卵日になると食欲旺盛になる理由と、太りたくない女性必見の対策法についてもお話したいと思います。
排卵日に食欲旺盛になる理由
女性ホルモンの働き
女性は生理があったり妊娠・出産があったりで、ホルモンバランスが常に変動しています。
その中でもポイントとなるのが、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つ。この2つには、どのような作用があるのでしょう。
まず「エストロゲン」。
これは卵胞ホルモンと呼ばれるもので、毎月、生理後から排卵日にかけて分泌量が増加します。その役割は、女性らしい身体にして、妊娠できるように整えること。子宮内膜を厚くしたり、基礎体温を下げたりします。
次に「プロゲステロン」。
これは黄体ホルモンと呼ばれるもので、排卵後から次の生理にかけて分泌されます。その役割は、妊娠を助けること。
受精卵の着床を助けたり、そのまま妊娠を継続できるようにします。ほかにも、乳腺を発達させたり、基礎体温を上げたり。
また、精神状態を不安定にする作用もあるため、生理前に身体の不調やイライラなどの症状が出るPMS(月経前症候群)の原因にもなります。
生理前の身体の不調についてはこちらを参考にして下さい。
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原因はプロゲステロン
では、排卵日を過ぎると食欲旺盛になる理由はというと、その時期に分泌量が増えるプロゲステロンにあります。
プロゲステロンは妊娠を助けるホルモンのため、妊娠や胎児の成長に備えて栄養を蓄えようとします。摂食中枢に働きかけて、水分や脂肪分、栄養分を蓄えようとするため、排卵日を過ぎると食欲旺盛となるのですね。
ちなみに水分を蓄えようとするのは、羊水や血液を作るため。そのため、そこまで水分を取っていなくても、浮腫(むくみ)として身体に現れることがあります。
もし、そんなに食べているわけではないのに体重が増加してしまうという場合には、むくみの可能性も考えられます。
太らないための対策法
食欲旺盛になる理由が、その時期に増加する女性ホルモンの影響なので、生理が始まれば元に戻ります。しかし、気を付けていないと毎月徐々に太っていく、なんてことにもなりかねません。
排卵日を過ぎてから次の生理まで、どのようなことに気を付けると良いのでしょう。
血糖値をコントロールする
プロゲステロンが分泌されると、対照的に血糖値が下がります。これが食欲旺盛になる要因。
食事を取れば血糖値も上がり、お腹もいっぱいになりますが、急激に血糖値が上がるような食事の仕方をしていると、また急激に下がってしまうので良くありません。
血糖値を急激に上げてしまうものといったら甘いもの。特に排卵日以降はプロゲステロンの影響で甘いものが食べたくなります。
もちろん食べ過ぎも良くありませんが、我慢しすぎてもストレスが溜まってしまい、ドカ食いの原因となります。
気を付けたいのは精製された白砂糖をたくさん使ったお菓子。ケーキやジュースなどには注意が必要です。甘いものが食べたくなった時にオススメなのは、黒糖やはちみつ、メープルシロップなどの自然の甘味料を使っているもの。
間食として食べるなら低カロリーのものを選びましょう。
食べ方に注意する
太るからといって、炭水化物を抜いてしまうのも良くありません。炭水化物を食べないと、身体が栄養不足と判断して余計に蓄えようとしてしまい、逆に太ってしまうのです。
気になるようなら、白米ではなく玄米を、よく噛んで食べましょう。
よく噛むことはとても大切。最低でも1口25回は噛んで食べるようにしましょう。よく噛むことで、血糖値の上昇も緩やかになり、満腹中枢も刺激されます。
ほかには、食事の前に軽い運動をすることで、脂肪が燃焼される過程で血糖値も上がってくれるため、食欲を抑えることができます。
食事の前に野菜を食べるというのも有名ですね。血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。ただし、野菜といっても、カボチャやサツマイモ、ジャガイモなどは糖質が多いので注意しましょう。
ビタミンB6を摂る
プロゲステロンが分泌されると、ビタミンB6が反対に減少します。
ビタミンB6というと、たんぱく質をアミノ酸に変換することで、筋肉や皮膚など健康な身体を作ってくれるビタミンです。ホルモンバランスの乱れで肌荒れにお悩みの女性には嬉しいですね。
また、エネルギー代謝なども行ってくれますし、精神を安定させるセロトニンを作ってくれる作用もあるので、PMS(月経前症候群)のイライラや、そのほかの身体の不調も軽減してくれます。
ビタミンB6が多い食材には、以下のようなものがあります。
牛や豚のレバー
青魚(カツオ・マグロ・イワシなど)
大豆
ニンニク
アボカド
サツマイモ
バナナ
むくみ対策
プロゲステロンは、羊水や血液の材料として水分も溜め込んでしまうので、この時期はむくみやすくもなっています。むくみ解消には、利尿作用のある食材や、カリウムを多く含む食材が最適。
利尿作用がある食材には、ネギやダイコン、ゴボウなど。カリウムを多く含む食材には、海藻(わかめやひじきなど)やアボカド、キュウリ、果物(バナナやプルーンなど)があります。
カリウムの役割についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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排卵日にしてはいけないこと
食事を抜く
太るからといって食べないのは良くありません。
血糖値が下がったり、ストレスが溜まったり、身体が栄養不足と勘違いして余計に蓄えようとしてしまったりと、なんにしても最終的には暴飲暴食に繋がってしまいます。
また、食べないでいると体力も落ちてしまいますよね。そのまま生理に突入してしまうと、貧血で倒れてしまう、ということにもなりかねません。
お腹が空きやすいなら、食事を1日3食ではなく、1日分の食事量を4~5食に分けて食べても良いでしょう。
逆に食欲不振になることも
一般的に排卵日以降は食欲旺盛になりやすいと言われていますが、逆に食欲が減退する人もいます。
女性のホルモンバランスの乱れは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)以外でも、もう一つ「プロスタグランジン」というホルモンが大きく関係しています。
プロスタグランジンは、生理前後に分泌が増加するホルモンで、子宮を収縮させて、月経血の排出を助ける作用を持っています。女性にとっては大切な役割を持つホルモンですが、一方で、分泌量が多すぎると、様々な体調不良の原因となってしまいます。
プロスタグランジンが増えすぎると、吐き気や憂鬱感などが出ることが多く、食欲不振にも繋がります。また、子宮を収縮させる作用が強すぎてしまい、辛い生理痛の原因にも。
排卵日に食欲不振になるという人の場合、対処法としては、出来るだけリラックスすること。お風呂に入ったり、無理のない範囲でストレッチをするなどして血行を良くすることで、食欲が出てきやすくなります。
生理前の体調不良に関してはこちらも参考にして下さい。
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