気管支喘息の4つの症状【意外な原因や治療法を解説!】
<監修医師 ドクターTST>
気管支喘息は気道に起こる炎症により発作性の症状が出る疾患です。子供がかかる小児喘息のイメージが強いですが、大人になってから発症するケースも存在します。
一度発症すると長期間の治療になることが多いため、途中でほったらかしにしてしまう人もいるようですが、放置しておくとどうなるのでしょうか?気管支喘息の原因や治療法・予防についても解説していきます。
気管支喘息の症状
気管支喘息とは、気道の壁に炎症が起こり狭くなることにより空気の流れに制限が起こる疾患です。気道は、外側から、外膜、筋軟骨層、粘膜下組織、粘膜上皮からなります。
症状が無いときでも、気道粘膜に炎症がありむくんだように肥厚していて、内側を覆っている粘膜上皮は刺激に敏感になっています。
そこに、ホコリ、ダニ、タバコ、などをきっかけとして発作を起こします。発作には、咳、息苦しさ、呼吸時のゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が起こる等があります。
気管支喘息は、アレルゲンがはっきりしていて比較的短時間に発作が起こるアトピー型と、アレルゲンが特定できない非アトピー型にわけられる他、アスピリン喘息、咳喘息、運動誘発性喘息があります。
子供がかかる小児喘息は思春期までに6~80%が寛解・治癒するが、大人になってからの成人喘息では寛解後も定期的な検診が必要という場合が多いようです。
また、放置しておくと、発作を繰り返すだけのように思われがちですが、炎症は悪化し気道上皮の剥がれが酷くなっていくため発作が起こりやすくなります。やがて、気道のリモデリングといって、気道壁が厚くなります。
こうなると発作が起こりやすくなるだけでなく、治りにくくなります。朝晩・毎日のように発作が起こり夜も眠れない、ただでさえ発作は息苦しいというのに呼吸困難にもなり、さらに窒息死のリスクさえ発生します。放置してはいけないことがわかっていただけたでしょうか?
気管支炎についてはこちらを参考にして下さい。
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気管支喘息の原因
気道を刺激して、発作を誘発させる刺激にはアレルゲンと呼ばれるアレルギーを発生させるものと、それ以外の特定刺激に分類されます。ここでは、発作の誘因となる要素を解説していきます。
アレルゲン
代表的なアレルゲンとして、ダニ、ハウスダスト、動物のフケや毛、花粉、真菌(カビ)があります。これらは、呼吸時に体内に吸入されると体内にlgE抗体が作られアレルギー反応が起こる結果、喘息発作となります。
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アレルゲン以外
アレルゲン以外にも発作を起こす原因があります。タバコ(受動喫煙も含む)、解熱剤や鎮痛剤などの薬剤、風邪や感染症、運動、大気汚染、過労やストレス、天候による気圧・気温の変化、刺激的な香りなどが挙げられます。
検査を受けて早期発見
気管支喘息かもしれないと感じたら、早めに検査を受けることをお勧めします。というのも、症状がはっきり出たら治療しようという考えだと、発作で余計に苦しむことになるからです。症状が浅いうちに対処してしまうほうがはるかに楽に治療できます。
検査には複数の方法があります。喘息の強度を調べることも重要ですが、どの物質に反応して発作を起こすのかは、人により違う為に様々な角度から調べる必要があります。
✅ スパイロメトリー(呼吸機能検査)
スパイロメーターという機械を使用して検査します。最初に息を思いっきり吸い込み、そして思いっきり吐きます。息を吸い込んだ時の肺活量である努力性肺活量と、息を吐き始めてから吐き終わるまでの時間とスピードを機械が測定してくれます。
そのデータから吐き始めて最初の1秒でで吐き出した量、すなわち1秒量(FEV1)と肺活量を基準に気管支喘息の重症度を調べます。
✅ 気道過敏性試験 薬剤により、呼吸機能検査値(1秒量など)の変化を意図的に起こします。薬剤は薄い濃度ではじめだんだん濃くしていき、検査値の変化が起こる濃度が薄いほど重症ということになります。
✅ 血液検査 血液検査によりどのアレルゲンに反応しやすいかを調べます。採取した血液に各アレルゲンを投与しlgE抗体の検出の有無を調べます。検査方式に、RAST法とMAST法があります。
✅ 皮膚反応テスト 疑いのあるアレルゲンを直接皮膚にくっつけてアレルギー反応が起こるか調べます。かゆみや腫れの発生により判別します。
✅ 胸部レントゲン 気管支喘息と似た症状の別の疾患、又は合併症の有無を調べるのに用いられます。
✅ 気管支鏡検査 電子スコープ又は、ファイバースコープを使い、気管支内部を直接観察します。 |
このほかにも、心電図、心エコー検査、胸部CTなどが行われることがあります。
気管支喘息は改善できる!治療方法!
気管支喘息の治療は発作の症状を抑えることではなく、発作が起こらない身体にまで回復することを目指します。
基本的には発作が起こっていなくても気道の炎症が無くならなければ発作が起こる可能性が残ります。
ですから、発作がでなくなったからと言ってすぐに治療を打ち切れるとも限らず、気長に治療を続ける必要があることが多いようです。
治療の基本は、吸入ステロイド薬で炎症をおさえます。ステロイドというと副作用が気になりますが、吸入ステロイドは内服する場合と比べて100万分の1の量で使用する為リスクは低くなっています。
同時に吸入できる長時間作用性β2刺激薬により気道を広げ呼吸を楽にすることもできます。ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフェリン除放薬、抗lgE抗体、抗アレルギー薬などが用いられることもあります。
これらは長期管理薬(コントローラー)と呼ばれ、発作が起こらないように規則的に使用する薬です。
それに対し、発作が起こった時だけ応急処置として使用する発作治療薬(リリーバー)として、短時間作用性β2刺激薬や経口ステロイド薬、テオフェリン薬、抗コリン薬なども併用します。
気管支喘息を予防しよう
気管支喘息では、治療により発作がなくなっても定期的な検診を勧められることがあります。それは可逆性の高い疾患だからです。治ったと思っていても再発しては元も子もありませんから、予防の段階に入ったかどうかは医師とよく相談しましょう。
そして、再発させない為にはなんといっても予防が重要です。病気の予防というと辛い修行のようなイメージがありますが、気管支ぜんそくの場合には逆に生活の質を高めてくれるような予防ばかりです。無理せず着実に行うようにしましょう。
アレルゲンの除去
部屋を掃除し清潔に保つことで、ダニ・ウスダスト・ペットのフケや毛・花粉・真菌(カビ)を除去することでアレルギー性の気管支喘息の予防ができます。布団はダニが生息しやすく、エアコンはカビが生えやすいなど掃除はポイントを押さえてしっかりやりましょう。
部屋には、観葉植物・ぬいぐるみ・カーペット・クッションなどをなるべく置かないようにして、毛や羽のあるペットも出来ることなら我慢した方がいいでしょう。
ストレス解消
ストレスを溜めない生活を心がけましょう。ストレスは人により感じやすさが違い、また我慢の強度も人により違います。仕事が原因、プライベートが原因など、自分がどんな時にストレスを感じ、どのような方法で発散できるかを知っておくことも体調をコントロールする上で重要となります。
禁煙
タバコは、気管支喘息には厳禁です。発作の誘因となるだけでなく、気道の炎症自体にも悪影響があるうえに吸入薬の効果も減弱します。
これは、副流煙を吸わされている受動喫煙の場合にも言えます。
喫煙の害についてはこちらを見て参考にして下さい。
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睡眠
睡眠不足は、体力の低下だけでなく、感染症のリスクやアレルゲンに対しても敏感になりやすいなど悪影響が出やすいため、時間、質ともに高い睡眠環境を目指したいところです。
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運動
運動が発作のきっかけになる運動性気管支喘息の場合であっても、治療により症状が安定していれば運動することができます。適度な運動は、基礎代謝や免疫力にいい影響を与え、アレルゲンにも発作にも強いからだを目指せます。
ただし、冷たい空気は気道を狭めてしまいますし、花粉などがアレルゲンになることも考えると、マスクを着用して対策する、室内の運動施設を利用するなどの工夫が必要です。
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