腎臓の良性腫瘍の症状や手術方法!【悪性との見分け方はコレ】
<監修医師 Dr.masa>
腎臓は腰の上の背中側に左右1つずつあるソラマメの形をした臓器で、老廃物を体の外へと排出する役割を果たしています。この腎臓には、腎がんといった悪性腫瘍以外にも良性腫瘍が出来る事があります。
その症状は悪性腫瘍と似ている場合もあるので、血尿などの症状が見られた時はとても不安になりますよね。今回はそんな腎臓の良性腫瘍、悪性腫瘍について解説します。
腎臓の良性腫瘍とはどのような病気か
腎臓に発生する腫瘍には良性のものと悪性、いわゆる癌の2つがあります。最も多く出来るものが良性の腎嚢疱(じんのうほう)で、50歳以上の人の50%以上に見られます。
腎臓に出来るがんの約90%を占めるのが腎実質という尿を作る部分に出来るもので、腎がん(腎細胞がん)と言います。
腎がんは女性よりも男性の方が2~3倍多く、加齢に伴い発生率も上がっていきます。50歳以上に多く、ピークは70歳~75歳と言われており、若年者にはまれな病気です。
腎がんの危険因子として、肥満・喫煙・高血圧・乳製品の過剰摂取などが考えられています。また、アジア人に比べ欧米人で多く発症します。
また腎実質には血管筋脂肪腫という良性腫瘍が出来る事もあります。その他の良性腫瘍には乳頭腫、オンコサイトーマなどがあります。これらは若い女性に出来やすいそうです。
さらに腎盂といって尿が集まる部分に出来る悪性腫瘍を腎盂(じんう)がんと言い、腎がんとは異なった性質の癌です。
腎臓にできる腫瘍についてはこちらも参考にして下さい。
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腎臓の良性腫瘍の症状
無症状
腎血管筋脂肪腫の場合、小さな腫瘍のときは、自覚症状はほとんどないと言われています。
また人間ドックなどの検査をしている時に偶然発見されることが多く、腫瘍が小さいときは基本的に経過観察が主体となります。
しかし腫瘍が大きくなると腫瘍の血管から出血が起き、重篤な状態に陥ることもあるため、腫瘍が4センチに達した場合は詳しい検査を行い、手術を行うかどうかを決めます。
自覚症状も腫瘍の大きさが関連すると言われ、腹痛・血尿・腫瘤触知などが見られることもあります。
血尿の原因についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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腰痛や腹痛、腹部の違和感
腎嚢胞の場合、無症状の人も多くいますが、大きさによっては、腹部の重圧感や膨満感(ぼうまんかん)・腰痛、背部痛・胃腸症状・腹部腫瘤などが見られる事があります。
腎臓は後腹膜といって、お腹の後ろ側に位置しています。そのため、腰痛が強く出る場合もあるようで、腫瘍の位置も関係するようです。
腎臓の良性腫瘍。悪性との見分け方
腎がん
昔から言われている症状として、血尿・脇腹の痛み・腫瘤を自分で触る、の3つが言われています。「ポイント」特に重要な症状は血尿ですが、多くの場合は痛みのない無症候性血尿です。
痛みはなくとも血尿が出るという事は癌が腎実質から腎盂や腎杯の尿に関連する部位に浸潤したことを意味しています。そのため、早期の診断としてはやや遅いと言えます。
また脇腹の痛みや腫瘤を触れるという症状も癌が大きくなってからの症状です。腎盂がんでも無症候性血尿が多く見られます。
全身症状
腎がんの特徴は全身症状(体重減少・原因不明の発熱・貧血・肝機能障害など)も発見のきっかけになる場合があります。
この発見時の時には肝臓・肺・骨・リンパ節・皮膚・脳などに転移している場合が約1/3あります。またこれらの症状がある場合は、腫瘍の進行の勢いがいいと考えられています。
しかし最近では人間ドックや超音波検査(エコー)が行われるようになったため、エコー検査で早期に偶然発見される例も増え、早期治療によって予後もよくなっています。
良性でも腎臓腫瘍に手術は必要
腎血管筋脂肪腫
診断は腹部CTを使い行いますが、腎細胞癌や脂肪肉腫などとの鑑別が必要になる事があります。
無症状で腫瘍が4センチを超えるもの、さらに出血や破裂のリスク、症状が表れた場合は予防の意味も込め、選択的動脈塞栓術(TAE)または手術が考慮されます。
しかしこれらには明確な基準があるわけではないので、患者さんによって経過観察・手術・選択的動脈塞栓術・薬物療法など治療法も変わって来ます。
腎嚢胞
腎嚢胞は基本的には症状がないことが多いのですが、5センチ以上の大きさになることもあり、この場合は腎嚢胞の圧迫によって鈍い腰痛を訴える事があります。
まれに腎嚢胞が腎の中心部に発生してしまい、尿路を圧迫する事があります。そうすると尿の流出の抵抗となってしまい、腎盂が腫れ「水腎症」と呼ばれる状態になる事があります。
また腎細胞の中に隔壁が見られたり、石灰化していたりする場合、出血が起きている場合は腎嚢胞の悪性腫瘍の可能性があります。この場合はCT検査やMRI検査を使用し、診断をします。
また嚢胞に細菌がつくと、腎盂腎炎のように抗生物質の効きが悪くなってしまい、治療が難しくなることもあります。
健康診断や人間ドックなどで定期的に調べて貰い、早期発見・早期治療をすることがなによりも大事な予防といえるのではないでしょうか。
人間ドックについてはこちらも参考にして下さい。
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