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髄膜刺激症状の3つの原因【検査方法も簡単に解説!】

<監修医師 ドクターTST>
頭痛

頭痛や吐き気を感じるとき、片頭痛や緊張型頭痛だと安直に考えてはいませんか?それはひょっとすると髄膜刺激症状かもしれません。

髄膜刺激症状とはどんなものなのか、またその原因について解説します。

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髄膜とは

 

脳と脊髄は生命維持はもちろん、人間が生きていくうえに必要な思考、運動、感覚、感情などを司る働きをしています。これらを包んで守っているのが髄膜です。

 

髄膜は三層からできています。

 

軟膜

薄い網状の膜で脳の表面に密着しており、皮質の溝の中まで入り込んでいます。軟膜は二層に分かれており、外側を上軟膜層、内側を内軟膜と言います

 

上軟膜層は膠原繊維(コラーゲンからできている結合組織で最も重要な基質)の組織が網目のようになっています。

内軟膜は脳と脊髄の神経組織と癒着しています。栄養は血管からではなく脳脊髄液からとっています。

 

クモ膜

透明の薄い膜で脳を包んでいます。クモ膜と脳(軟膜)との間にはクモ膜下腔があり、動静脈が走り、脳脊髄液が循環しています。

くも膜下についてはこちらも参考にして下さい。

【関連記事】
くも膜下出血の前兆をチェック!目に異常が出たら危険!

 

硬膜

一番外側にある硬い膜で脳や脊髄を外傷や感染から守っています。硬膜のうち、脳を包んでいるのが脳硬膜、脊髄を包んでいるのが脊髄硬膜です

 

脳硬膜は2層構造(外層と内層)になっており、外層は頭蓋骨内面を被う骨膜も兼ねています。表面には中硬膜動脈が走っており、外傷などによって破損すると硬膜外血腫となります。

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髄膜刺激症状とは?

 

髄膜が刺激されることによって髄膜刺激症状が起こります。自覚症状は重症度によって異なりますが、頭痛、悪心、嘔吐、まぶしくて目が開けられないなどの症状が出ます。

 

髄膜刺激症状がおこる原因

 

前述の通り、髄膜が刺激されることによって起こるのが脊髄刺激症状ですが、髄膜への刺激というのは脳脊髄液の感染、髄膜への出血の2つがあります。

 

脳脊髄液の感染

髄膜炎と脳炎があります。それぞれ症状と原因によって下記のように分類されます

経過:急性、亜急性、慢性

原因:細菌性、ウィルス性、結核性、真菌性

 

1.髄膜炎

髄膜の中でも軟膜とクモ膜に炎症が起きる病気です。脳への障害を伴わない病気です。

 

原因はウィルス・細菌の感染、がん等、多岐にわたりますが、細菌性の場合の典型的な症状は発熱、項部硬直、意識障害で髄膜炎患者の95%にそのうちの2つ以上の徴候が見られます。

 

成人の場合、髄膜炎の症状に先行して上気道感染がしばしばおこり、高齢者の場合は38度以上の発熱、錯乱、こん睡などの意識障害からなることが多いようです。

【関連記事】
髄膜炎による後遺症に注意!【頭痛やてんかんが起こるかも】

 

2.脳炎

軟膜から脳細胞にまで炎症がおよび、意識障害等脳の障害が伴う病気です。臨床上では髄膜炎との区別が難しいのですが、脳炎では髄膜炎ほど頭痛を感じることが少なく、脳実質症状としての精神症状、意識障害、高次脳機能障害などを伴うことがあります。

 

髄膜に炎症が及んでいない場合、髄膜刺激症状は発症しません。

 

髄膜への出血

クモ膜下出血:脳卒中の一つでクモ膜と軟膜の間にあるクモ膜下腔内で出血した状態を言います

 

出血する原因はいくつかあります。

 

✅ 脳動脈瘤破裂

発症の8~9割が脳動脈瘤破裂により起こっています。動脈瘤とは動脈にできた瘤ですが、動脈が枝分かれする部分によくできます。

 

✅ 脳動脈解離

血管が割けて出血し、血管壁の内側に血液が流れ込み、その部分が膨らんで動脈瘤ができて破裂します。

 

✅ 外傷性

脳挫傷など外部からの衝撃によって脳の表面組織が損傷して出血し、その血液がクモ膜下腔に溜まることによって起こります。

交通事故やスポーツのほか転倒等による頭部打撲が原因となります。

 

✅ 脳動静脈奇形

血液は動脈によって酸素や栄養が運ばれ、二酸化炭素や老廃物は静脈に乗って心臓に戻ってきます。本来、分かれるべき血管がうまく分化されず、動脈と静脈が直接つながってしまう先天性の病気です。

 

これにより、動脈の圧力が分散されずに直接静脈に加わり、破裂を起こします。

 

✅ 病気

高血圧や動脈硬化などが起因となることが多いようです。

 

✅ 遺伝性

家族に発症した人は3倍の危険性があるといわれています。

 

その他、くも膜下出血による後遺症についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
くも膜下出血の後遺症で記憶障害が!その他の怖い後遺症とは!

 

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髄膜刺激症状の検査方法

 

髄膜刺激症状と他の病気とを見分けるために下記のスクリーニング検査を行います。それぞれの検査で陽性の場合、髄膜刺激症と判断できます。

 

項部硬直

対象者を仰臥位(仰向けに寝た状態)にします。検者は両手で後頭部を支え、ゆっくりと頭部を前屈させます。その際、明らかな抵抗や痛みがある場合は陽性です

 

これは項部筋の収縮で抵抗が増大しているためで、硬直が強い場合は頭部を持ち上げた時に肩まであがります。頚部の回旋ではあまり抵抗が増大しないため、筋固縮ではないことがわかります。

 

ケルニッヒ徴候

対象者を仰臥位にします。片足を上げ、股関節、ひざ関節をそれぞれ90度に屈曲させます。ひざ関節を徐々に伸展させていきます。ひざ関節を135度以上に伸展できない場合は陽性です

 

意識障害がある場合でも顔をしかめるなどの表情の変化を認める場合があります。

 

ブルジンスキー兆候

対象者を仰臥位にします。検者は対象者の頭の下に片手を置き、他方の手で体が持ち上がらないように胸部を軽く押さえ、頭を前屈させます。

 

股関節、ひざ関節が自動的に屈曲し、ひざが持ち上がると陽性です。ケルニッヒ徴候に比べると頻度は少ないようです。

 

ラゼーグ徴候

対象者を仰臥位にします。検者は片足を伸展させたまま持ち上げます。70度以下で痛みを訴える場合は陽性です。坐骨神経の走行に沿って痛みが生じ、通常は一側性です。

 

ジョルトアクセンチュエイション(ゆすぶり増強試験)

対象者に自身で頭を1~2秒間に2~3回の頻度で水平方向に振ってもらいます。頭痛が増強する場合は陽性です

 

ネックフレクションテスト

椅子にまっすぐ座るか直立して頭部を前に倒します。屈伸時に抵抗が生じ、下顎が前胸部に付かない場合は陽性です

 

いかがでしたか。ただの頭痛か髄膜刺激性症状化はご紹介した検査方法でわかりますので心配になったら家族の方に協力してもらって調べてみてください。それでもよくわからなかったり、不安な人は病院でしっかり検査してくださいね。

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