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iRS細胞とは?iPS細胞との違いを簡単に解説!

<監修医師 まっちゃん>
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iPS細胞と聞くと、詳細は分からないまでも「ノーベル賞を受賞するきっかけになったもの」「万能細胞」などのキーワードがぱっと思い浮かぶ方も多いかと思います。

しかし「iRS細胞」と聞いても、何のことかよく分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「iRS細胞とは一体何なの?」という疑問から、iPS細胞との違いについてまで簡単にご紹介します。

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iRS細胞とは?簡単に解説!

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2016年1月5日、新春早々に京都大学の再生医科学研究所はある発表を行いました。

「iRS細胞を新たに樹立した」というものです。

 

iRS細胞とはintermediately Reprogrammed Stemの略称です。

「再プログラム化中間細胞」とも呼ばれ、ひとの細胞からiPS細胞を作る途中で作製される細胞になります。

 

単一の体細胞をiPS細胞にまで分化させず、その途中の段階で止めさせ、いつでもiPS細胞に分化させる用意ができている細胞をiRS細胞と呼びます。

分化させたiRS細胞からはやがて10日ほどかけてiPS細胞を作製することが可能です。

 

iRS細胞のメリットとしては以下の点が挙げられます。

✅単一細胞から増殖できる

✅遺伝子操作技術の応用が従来に比べると簡単になる

今までの手法よりもiPS細胞の作成が簡単になる

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iRS細胞とiPS細胞との違い

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ところで、機能だけを聞くと「iRS細胞もiPS細胞も同じじゃないの?」と考えてしまいますが、実際はどうなのでしょうか。

「iRS細胞とは体細胞とiPS細胞のちょうど中間地点に存在する細胞です。

 

「中間の存在を作って意味があるの?」と思ってしまいがちですが、作製の過程がはっきりと解明できるようになると、途中で引き起こされる問題を解決する方法が見つかりやすくなります。

 

つまり今回発表されたiRS細胞の研究結果により、まずiPS細胞の品質安定が期待されます。

 

iPS細胞は様々な器官に分化する可能性をもつ「万能細胞」としての効果が期待されますが、実用化のためにはクリアすべき問題がいくつかありました。

【関連記事】
iPS細胞の問題点とは?簡単に分かりやすく解説!

 

現在iPS細胞は様々な細胞に分化する能力を持たせるために遺伝子操作が施されています。

ただしその遺伝子操作が原因で、iPS細胞自体が癌化するなどの問題がありました。

今回のiRS細胞の技術確立で、iPS細胞の作成が簡単になるので研究がさらに進むことが期待されます。

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iRS細胞の実用化で将来どんなメリットがあるのか

 

iPS細胞研究にはずみをつけてくれそうなiRS細胞ですが、実用化により将来どんなメリットがあるのでしょうか。

ご紹介します。

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遺伝子疾患の原因究明

これまでは発症例の少ない難病に冒された場合、症例が少ないためになかなか治療の研究が進みませんでした。

遺伝子疾患は生きている人間の体内で悪影響を及ぼすものであり、原因解明のために生きている人間を解剖するわけにもいきません。

 

しかしiPS細胞は人の体細胞から作り出せるので、遺伝疾患を持つ人から提供を受けた体細胞から作り出したiPS細胞を培養することで、どのようなメカニズムで疾患が引き起こされるのか研究を進めることが出来ます

ただしそのためにはiPS細胞の培養が必要不可欠でした。

 

しかしiRS細胞は、iPS細胞に比べゲノム編集がしやすいという特徴があります。そのため遺伝子操作を行った疾患のモデル細胞を作ることが出来ます。

 

新たな薬を作りだす

創薬に有効な方法の一つとして、「ゲノム解析」があります。

ある特定の遺伝子が関わる病気について、遺伝子そのものを研究する方法です。

病気を引き起こす遺伝子が作り出すタンパク質を見つけだし、タンパク質と結合する抗体や分子を見つけ出します。

 

見つけだした抗体や分子を薬に組み込むことで、特定の病気に作用する薬を作り出します。

この方法で作られた薬は通常の薬よりも副作用が少ないと考えられており、効果も期待できます。

iRS細胞の発見は、このゲノム解析に役立つと考えられます。

【関連記事】
iPS細胞の問題点とは?簡単に分かりやすく解説!

 

iRS細胞は体細胞とiPS細胞の間をつなぐ存在であり、まだまだ謎の多いiPS細胞の研究を助けてくれる存在です。

色々な人の努力と研究で、分からなかったものが分かるようになり、医療の発達に貢献してくれるのですね。

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