PTSDの症状チェック!治療の方法と期間も解説!
<監修医師 まっちゃん>
みなさん、PTSDという言葉をご存知でしょうか。
PTSDはご存知なくても、トラウマという言葉には聞き覚えがあると思います。
震災だけでなく、火事、事故、暴力などが原因となるPTSD。
どのような症状で、どんな治療をするのでしょうか。詳しくご説明します。
PTSDの症状をチェック
PTSDとは、英語のPostTraumatic Stress Disorderの頭文字をとった心の病気の名称で、日本語では、心的外傷後ストレス障害と言います。
命の危険を感じるような出来事や、強い精神的ショックを体験することで、
心に深い傷を負ってしまい、時間が経ってからもその恐怖から心と体に様々な症状を引き起こす病気です。
主な症状は3つあると考えられています。
追体験
いわゆる、フラッシュバックです。
PTSDの原因となる出来事が、日常生活の中で急に思い出されたり、再び起こっているように感じることです。
どのように思い出すかは、様々です。
特に原因なく当時のイメージが頭に浮かんでしまうこともあれば、悪夢としてみてしまったり、錯覚・幻覚が起こってしまったりすることもあります。
さらに、追体験によって体も反応します。
鼓動が早くなる、呼吸困難になる、吐き気がする、冷や汗をかく、などまるでもう一度自分がその場にいるように体も反応してしまいます。
回避
辛い体験を思い出すような人物、場所、状況を意識的もしくは無意識に避けることを回避と言います。
例えば、夜に恐怖を感じた人は夜出かけられなくなる場合もあるようです。
このように、ひどくなると、行動が制限されてしまい、普通の生活を送ることも困難になりかねません。
過覚醒
過覚醒は一言で言うと、精神的な落ち着きが得られなくなる状態のことです。
危険な状況に陥っても大丈夫なように、常に身構えている状態になります。
そのため、緊張して、イライラ、ビクビクした状態が続き、ひどく不快な気分になります。
さらに、集中し辛くなり、夜もよく眠れなくなります。
PTSDの治療方法
PTSDは心が原因の病気ですので、基本的にはカンセリングを中心とした治療法が取られます。
その上で、一部の症状を緩和させるために薬での治療を行う場合もあります。
EDMR法
聞きなれない言葉ですが、アメリカで考案されたPTSD治療法で、パニック障害やうつ病にも効果があるとされています。
EDMRはEye-Movement Desensitization and Reprocessingの略で、日本語では眼球運動脱感作療法と言います。
これは、両目を動かしたり左右の手を叩いたりすることで、記憶プロセスを正常化させ、PTSDの原因となる出来事を記憶の一つとして認識できるように促す方法です。
持続エクスポージャー法
持続エクスポージャー法では、PTSDの原因となった場面をイメージしたり、これまで避けていた記憶をよびおこすきっかけにあえて身を置くようにしたりします。
こうすることにより、記憶が思い出されても自分には危険がない、ということを感じ、理解するように促します。
ですが、PTSDの患者さんにとっては、思い出すこと自体がとても辛いことですので、
ある意味荒療治とも言え、かえって患者さんの不安感や緊張が強くなってしまう可能性もゼロではありません。
この治療法は、必ず経験豊富な治療者の元で行うことが非常に重要です。
認知処理療法
この治療法は、PTSDや、心の仕組みや自分の精神状態を理解することで、自分の記憶に対して客観的にアプローチする方法です。
持続エクスポージャー法に少し似ていますが、自分の体験を紙に書いたり、自分の考え方を見直したり、記憶や体験そのものではなく、もう少し心や精神のプロセルに重きを置いていて、体系化されているのが特長です。
家族・対人関係療法
PTSDに苦しむ患者さんは、あまりにショッキングな出来事に遭遇したため、自分が世界から切り離されたような気分になります。
そのため、家族や友人など、自分の周りの人たちを通じて、自分と世界とのつながりを見出すことが効果的な場合もあります。
そうした関係を再構築することで、自分自身のコントロールを取り戻すことを促す治療法です。
薬物療法
薬物療法には、抗不安剤や抗うつ剤を使用します。
あくまで、不安症状や睡眠障害、または抑うつの症状を緩和するためのもので、根本の治療はやはりカウンセリングになります。
また、病院によっては、漢方薬を処方しているところもあります。
こちらも、抗不安剤や抑うつ剤と狙っている効果は同じで、現在抱えている症状の緩和に用いられます。
漢方は体力や体質を見て服用するものですので、できれば専門の方に相談して自分にあったものを見つけるのがベストです。
PTSDの治療にかかる期間
PTSDは治療開始が遅れるほど、回復に時間がかかってしまう病気です。
もし、命の危険を感じたり、強い精神的ショックを受ける出来事があった場合は、できるだけすぐに専門医に相談することをお勧めします。
PTSDの治療期間は、残念ながら一概には言うことができません。
患者さんによって状況や症状が様々で、一般化できないからです。
ですが、もし、治療が早ければ、3ヶ月以内に回復する例は多数あります。
ただし、場合によっては、1年以上かけて少しずつ回復する方もいます。
どちらにしても重要なのは、適切な治療を行うということです。
PTSDの治療は、一人では乗り越えることが困難です。
もし、ご自分がPTSDかな、と思われたら、できれば信頼できる方にご自分の症状を話してみてください。
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また、もしご友人やご家族がPTSDと診断されたら、できる限りサポートして差し上げてください。
必ずしも、記憶を聞き出したりする必要はありません。
ただ、いつでも味方であると伝えてあげることが回復への大きな一歩となります。
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