デキストリンの危険性【効果や正しい飲み方をご存知ですか?】
<監修医師 春田 萌>
デキストリン、なんだか響きはこわい薬品のような印象を受ける名前ですが、あなたはデキストリンというものが何か知っていますか?
あまり馴染みのない言葉のように感じられますが、もし近くに清涼飲料水などのペットボトルがあったら、ラベルの成分表を見てみてください。
「デキストリン」、あるいは、「難消化性デキストリン」などが書かれていませんか?
健康に気をつかっている方にとっては、「なにこれ、身体に悪いの?」と不安や危険を感じる方もいるでしょう。
今回は「デキストリン」とはどういったものなのか、どんな効果があり、どんな副作用があるのかを解説していきます。
気になる所から確認してみよう
デキストリンとは?
実は、世界中の人たちの生活に非常に身近に存在しているのが「デキストリン」です。特に食品や飲料などの成分表の中で意外と多く目にするかと思います。
その正体は、原料のトウモロコシから抽出される「デンプン」または「炭水化物」と呼ばれるもの。
デンプンの中には、「糖質」と「食物繊維」の2種類の栄養素が含まれており、それぞれ精製と加工をされ、「糖質」が「デキストリン」、「食物繊維」を「難消化性デキストリン」と表示されます。
デキストリンと難消化性デキストリンとの違い
デキストリンにはもう一つ対になった成分、難消化性デキストリンが存在しますが、この違いは簡単で、
✅ デキストリン(糖質)=ゆっくりとだが、体内でちゃんと消化できる
✅難消化性デキストリン(食物繊維)=体内で消化するのが難しい
この点のみです。
さらに、難消化性デキストリンはその食物繊維の性質から、特定保健用食品、いわゆるトクホと呼ばれる食品や、健康食品、医薬品などにも多く活用され、その効果を認められています。
ただ、これはあくまで難消化性デキストリンのみの話しになり、糖質であるデキストリンについては当てはまりません。
デキストリンは誤解されやすい
お菓子などに記載されている成分表示では、よくデキストリンと一括表示されていますが、実際はデキストリンにもブドウ糖に近いもの、デンプンにより近いものなど様々な種類があります。
ただ、間違えないでおいてほしいのが、デキストリンの原材料はあくまでトウモロコシなどの自然な食品素材であり、添加物ではないということです。
デキストリンの効果
難消化性デキストリンは食物繊維のかたまりのようなものであり、身体に与える効果も人体に足りない食物繊維を補おうとする形になるので、負担も少なく良い影響があるといわれています。
では、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?詳しい内容をご紹介いたします。
血糖値の上昇を抑制し、緩やかにしてくれる
ケーキなど砂糖を多く使った食品や、揚げ物など脂っぽい食事をとると、血糖値が一気に上昇します。
しかし、食物繊維である難消化性デキストリンを摂取することで小腸の糖質の吸収を抑えることができるのです。
実際に難消化性デキストリンを摂取していた人と、摂取してない人とを比べると血糖値の上昇が著しく違うことが証明されています。
血糖値についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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中性脂肪の吸収も抑える
難消化性デキストリンの効果は血糖値だけではなく、食事した後の中性脂肪の吸収も抑えてくれることが確認されています。
中性脂肪は過剰に摂取すると、お腹などに溜まって余分な脂肪となってしまい、肥満の大きな原因となります。
そこで難消化性デキストリンの効果で中性脂肪の蓄積を抑えられれば、日常生活や軽い運動などで現状の贅肉を減らしていけると考えられているのです。
いわゆる「脂っこい食事にはトクホのお茶」と、現在の健康重視の人々に広く知れ渡り認知されるようになった特定保健用食品も、難消化性デキストリンの働きによる活躍が大きいと言えます。
中性脂肪についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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腸内の改善作用が高い
食物繊維が便秘改善に効果が高いのは多くの方に知られた事実です。
難消化性デキストリンも同じく腸内の環境を整える働きがあり、便秘がちの人にはお通じをよくする効果が、お腹を下しやすい人でも健全な便へと改善してくれる効果があります。
腸内環境が良くなると、お腹の改善だけでなく風邪などに抵抗する免疫力を上げたり、重大な疾病の予防になったりと健康面でも大きなプラスの影響を与えてくれます。
もし便秘や下痢で悩んでいる人は試してみるのも良いかもしれません。
腸内環境についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ミネラルの吸収が向上する
難消化性デキストリンは糖や中性脂肪の吸収は抑制しますが、ミネラルの吸収率は向上することがわかっています。
特に女性にとってミネラルの不足は貧血や肌の調子が悪くなるなど、健康はもちろんですが美容にも悪影響を与えるのです。
冬場や食事制限などのダイエットなどをしている女性は積極的に補給したほうがいいでしょう。
デキストリンのダイエット効果について
上記でもご紹介しましたが、体質改善と肥満体型の改善として、難消化性デキストリンは身体に負担が少ないにも関わらず、非常に高い効果が期待できると考えられています。
特に、ダイエット中で頼もしい効果である
✅ 食事の中性脂肪、糖質の吸収を抑えてくれる
✅ 便秘の改善をしてくれる
この二つのほかに、「現在溜まっている内臓脂肪を減らしてくれる効果」があることも、ダイエット中の人にとっては嬉しい効果ですよね。
ある実験では、被験者に3ヶ月ほど難消化性デキストリンを摂取してもらったところ、なんと44%もの面積がある内臓脂肪が減少したというデータもあるのです。
また、非常に似た特性と効果を持つ成分で、「イヌリン」と呼ばれる成分があります。
イヌリンはデキストリンと同じ多糖類で、血糖値・中性脂肪の抑制など基本的な効果はほぼ変わりません。
しかし、イヌリンは分解されるとフラクトオリゴ糖と言う腸内の善玉菌を増やすエサになるので、整腸作用でいうなら、イヌリンの方が効果は高いと言われています。
ただ、国がその安全性を認め特定保健用食品として認可されている難消化性デキストリンと違い、イヌリンはその品質によって注意することが必要になるため、必ずしもデキストリンより良い効果が得られるとは限りません。
どちらも天然素材の糖類のため、身体へのリスクはさほど高くありませんが、自分の身体のためにも、効果とその違いをよく理解したうえで選んだほうが良いでしょう。
その他便秘を解消しダイエットに役立つ成分については、こちらを見て参考にして下さい。
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デキストリンの危険性について
体内で余分な糖質や脂肪を抑制するデキストリンは、とればとるほど身体に良いんだ!と思われる方もいるかと思いますが、それは大きな間違いです。
身体に負担が少ないデキストリンですが、過剰摂取すればもちろん身体に悪い影響を与えることもあります。
デキストリンと難消化性デキストリンを混同しない
食物繊維である難消化性デキストリンと違い、それに相対するデキストリンは糖質でできているものです。
例えば、ジュースやお菓子にデキストリンと表示されていても、そこに含まれているのは糖分になります。
糖分の過剰摂取は体重が増えて太るだけでなく、血糖値の上昇や、血圧の上昇、悪くなれば糖尿病や痛風といった自分の人生に長く影響することとなる病気を引き起こしてしまうのです。
難消化性デキストリンにも注意
それなら、デキストリンにだけ注意すればいいのか、というと、それだけではありません。難消化性デキストリンの摂りすぎも、身体への影響を与えることがあります。
それは、過剰に摂取したことで起こる「お腹の緩み」です。
難消化性デキストリンはここまでしか摂取できない、という上限が定められているわけではありませんが、いくらでも摂取していいというわけでもありません。
難消化性デキストリンはその腸で吸収されにくい性質のために、下痢を起こし、お腹の調子を悪くしてしまうおそれがあるのです。
ただ、今現在に、それ以外の科学的な副作用は発見されていないので、逆に言えばそれ以上の大きな危険性はないとも言えます。
下痢についてはこちらを見て参考にして下さい。
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デキストリンの効果的な飲み方
デキストリンは主に特定保健用食品(トクホ)として飲料水などが手軽に購入できますが、原料である粉末としても買うことができます。
より効果を得るためにはどのように摂取したらいいのか確認しておきましょう。
分量を守る
飲料水などには飲み方として記載されているかと思いますが、メーカーが推奨している摂取量は、1日に5~10gほどとされています。
分量を守って摂取することが、やはりより効果を得られやすく安全な方法です。もう少し、というときは、10g程度から徐々に増やすなど調整してみてください。
粉末の場合も同様で、水や料理などに記載されている分量のみを溶かして摂取するようにしてください。
飲む時間を考える
この時間帯じゃないと効果なし、あり、と厳密に定められているわけではありませんが、中性脂肪や糖の吸収を抑える目的として食事中か、食事の直後に摂取することをおすすめします。
特にエネルギーが消費されやすい朝・昼よりは、脂肪などが蓄積されやすい夕飯時にすすんで飲んでみるといいでしょう。
まとめ
身体に負担もないし、体脂肪と中性脂肪を減らしてくれるなんて、すごくいい食品!と思われる方もいらっしゃると思いますが、やはりそれだけでは身体のバランスはとれません。
何事もやらなすぎ、やりすぎはどこかで思いもよらない無理を感じることがあります。
あくまで難消化性デキストリンは日ごろの補助として飲み、適度な運動とバランスのとれた食事を習慣化してください。
デキストリンの中途半端な知識、間違った認識をせずに、自分の身体を考えた食生活を心がけましょう。
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