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フェンタニルの適切な使用について【種類別効果も詳しく解説】

<監修薬剤師 藤沢 淳司>

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強い鎮痛・鎮静作用を持つフェンタニルという薬をご存じでしょうか。

 

フェンタニルは、その高い効果から癌性疼痛慢性疼痛に使用されているお薬です。近年では皮膚に貼るパッチタイプの外用薬が開発され、より身近な存在になってきました。

 

しかし、2016年に海外の歌手が死亡事故を起こした薬としても注目されたことがあり、副作用予防のためにも薬の飲み合わせや日常生活の注意点を守ることがとても大切なお薬です。

 

今回はフェンタニルについて詳しくみていきましょう。

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フェンタニルとは

 

フェンタニルは麻薬の一種です。麻薬の成分はオピオイドと呼ばれ、天然由来成分、半合成化合物、合成化合物があります。

 

フェンタニルは合成化合物に属した麻薬になります。オピオイドには他にもモルヒネやヘロイン、コデインなどがあります。

 

医療の現場では「麻薬及び向精神薬取締法」で厳重に管理された「麻酔」としてしばしば使用されます。

疼痛への緩和作用、沈静作用があるため、近年では、その高い効果から軍事目的で使用されることもあるようです。

 

しかし用法用量を間違って使用すると、昏睡状態に陥り、呼吸抑制から呼吸停止が起こりえる薬です。

長期的な使用では依存をきたすこともあるため、使用に際しては医師や薬剤師の指示を必ず守らなくてはなりません。

 

フェンタニルは有効な血中濃度に達すれば、すぐに効果を得る事ができます。

その後は肝臓で代謝され腎臓で排出されますが、脂肪組織に蓄積されやすいという特徴があるため、半減期は人によってやや変化があるようです。

 

また、腎機能障害患者にはモルヒネに比べ比較的安全に使用することができますが、血中濃度が上昇しやすいので、使用の際は医師の指示のもと減量して使用することが望ましいといえます。

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フェンタニルの種類別用途はコレ

 

フェンタニルは強い鎮痛、沈静作用のある麻薬になります。同量のモルヒネと比較すると効果は約100倍以上です。

投与方法は用途によって静脈注射、皮膚に貼付するパッチタイプと2種類あります。

 

静脈注射

✅ 全身麻酔

フェンタニルは強い沈静効果を持つため、手術前の全身麻酔として使用されます。投与方法は、体重、年齢、性別、持病などを考慮してからブドウ糖注射用液で希釈したフェンタニルを静脈内に持続投与していきます。

この時に呼吸抑制がかかるため気管挿管を行い、呼吸管理を行いながら使用することが一般的です。

 

✅ 鎮痛、沈静と術後管理

大きな手術の後では、術後疼痛も非常に大きなものになります。痛みにより安静の保持やバイタルの乱れが予想される場合には、フェンタニルを持続投与して疼痛のコントロールを行っていきます。

 

外用薬(パッチタイプ)

✅ 癌性疼痛や慢性的な強い疼痛

癌性疼痛や慢性疼痛を持つ患者に対して処方されます。これはパッチタイプの外用薬で、皮膚に貼っておくことで持続した鎮痛効果を得る事ができます。

24時間タイプのワンデュロパッチと72時間タイプのデュロテップパッチがあります。貼りかえる時間が異なってくるため使用時は注意するようにしましょう。

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フェンタニルの副作用に注意して

 

眠気、吐き気

一番多い訴えが眠気と吐き気になります。特に、吐き気は多くの人で聞かれることがありますが、使用を続けていくと慣れて吐き気を感じにくくなってきます。

しかし眠気や吐き気がひどい時は、無理せず医師に相談するか安静にするようにしましょう。

 

便秘

フェンタニルの使用を長期間続けていると、ひどい便秘を起こすことがあります。あまりにひどいようなら下剤などで対処するようにしましょう。

 

ここからはあまり見られない副作用ですが、出現すると重大な障害が残ることがあります。症状を感じたら、すぐに使用を中止し、病院に連絡するようにしましょう。

 

呼吸抑制

まれに重い呼吸抑制を起こすことがあるので注意しましょう。

呼吸困難、呼吸回数の減弱、不規則な呼吸、意識が朦朧とする、チアノーゼが出現する、などの症状が見られたら、すぐに医師に相談するようにします。

 

意識障害

立っていられないほどの眠気、意識が朦朧とするなどの症状が出現することがあります。

 

アナフィラキシーショック

全身の発赤、蕁麻疹、血圧低下、動悸、呼吸困難、気分不快、嘔気嘔吐、意識朦朧といった症状が出現します。

 

依存

長期的に多めの量を使用し続けていると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなることがあります。

急に使用を中止すると、強いイライラ、不安、震え、幻覚幻聴などの症状が起こることがあるため、徐々に減量するようにします。

 

徐脈性の不整脈

脈が遅くなる、胸部の不快感や違和感、意識朦朧、心停止などの症状が出現することがあります。

 

痙攣

筋肉が硬直するような痙攣が起こることがあります。この時に呼吸抑制も同時に起こることがあるため、呼吸の状態にも注意してください。

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フェンタニルの使用上の注意をしっかり守ろう

 

以下ではワンデュロテップパッチを使用する際の注意点について挙げています。日常生活の注意点もあるため必ず確認しておきましょう。

 

長湯、熱いお風呂、サウナは禁止

長湯や熱いお風呂で体温が上昇すると、経皮からの吸収速度が増加してしまい、意識障害呼吸抑制が強く出現してしまうことがあります。

ひどい場合にはそのまま意識を失って倒れてしまう事もあるので、お風呂は軽く済ませるようにしましょう。

 

貼付したままの入浴は可能ですが、長湯や熱いお風呂に浸かることは基本的に避けるようにしましょう。

防水フィルムなども熱がこもる事があるため使用してはいけません。濡れてしまった場合は貼りかえるようにしてください。

 

激しい運動は控えて

激しい運動をすることで体温が上昇し吸収が促進されてしまうことがあります。激しい運動は避け、負荷の少ない運動をするようにしてください。

 

貼りかえる時間は厳守、場所も変えて

ワンデュロテップパッチ内の薬剤は、テープから皮膚に移行したあと、徐々に血液中に放散されていきます。

そのため同じ場所に何度も貼っていると皮膚トラブルをきたすことがあるため、貼りかえる場所はずらすようにしましょう。

 

フェンタニルの薬効時間は、パッチのタイプによりますが24時間と72時間で半減していきます。疼痛管理には血中濃度を維持することが望ましいため、時間を厳守して貼りかえるようにしましょう。

 

持病、妊娠の恐れは医師に伝える

フェンタニルの代謝には肝臓と腎臓の機能が大きく関わってきます。このため持病を持っている人は必ず医師に伝えるようにしましょう。

また飲み合わせで注意する薬もあるため、内服している薬がある場合も必ず伝えるようにしましょう。

 

フェンタニルは妊婦や妊娠の恐れがある人への使用は推奨されていません。胎盤や母乳を通して胎児や新生児に移行することがあるからです。

乳児に母乳を与えている人、または妊娠している可能性があれば医師に伝えるようにしましょう。

しかし、患者にとって有益とみなされた時には、妊娠している場合でも使用することがあります。

 

他人への譲渡は厳禁

フェンタニルは薬の用量や使用方法がとても重要な薬です。そのため医師から処方を受けたら、使い切るか余った分は返却するようにしましょう。他人への譲渡は絶対にしてはいけません。

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注意!フェンタニルの飲み合わせ

 

フェンタニルは肝臓の酵素で分解され腎臓から排出されます。このため同経路での作用を行う薬の飲み合わせでは、作用の増強・減弱を招く恐れがあるため注意してください。

 

以下の薬では特に慎重投与が求められる薬になります。

 

作用が増強する飲み合わせ

✅ 精神安定薬

✅ 吸入麻酔薬

✅ 鎮静抗ヒスタミン剤

✅ MAO阻害剤

✅ 三環系抗うつ剤

✅ 骨格筋弛緩剤

✅ オピオイド剤

これらの薬は中枢神経抑制作用を持つ薬です。そのためフェンタニルとの併用で抑制作用が増強してしまい、鎮静効果が強く出現してしまうことがあります。

また、アルコールにも中枢抑制作用があるため、フェンタニルを使用している時の飲酒は控えるようにしましょう。

 

✅ SSRI、SNRI

抗うつ薬であるこれらの薬は、フェンタニルとの併用でセロトニン症候群を引き起こすリスクがあります。

セロトニン症候群では、不安、焦燥感、緊張と緩和の繰り返し、異常発汗、頻脈、筋反射の増強といった症状が出現してきます。

 

✅ CYP3A4阻害薬

✅ 抗菌剤、抗ウィルス剤

これらの薬はフェンタニルの代謝を遅らせてしまうため、呼吸抑制が強く出現することがあります。

 

✅ 血液凝固阻止薬

血中濃度が下がりにくくなり血液が固まりにくくなります。易出血状態になるため皮下血種脊髄障害を起こすことがあります。

 

効果が減弱してしまう飲み合わせ

✅ CYP3A4誘導薬

✅ 抗痙攣剤

✅ 抗結核薬

これらの薬はフェンタニルの代謝を促進させ、効果が減弱してしまいます。

 

フェンタニルは用法用量を守って使用することで、高い鎮痛沈静効果が得られる薬剤です。

近年になり、癌性疼痛以外の強い痛みにも使用が認められるようになったため、今後も頻繁に使われていく薬剤でしょう。

 

しかし反面、使い方を間違えると重大な副作用にもつながる薬剤でもあります。医師・薬剤師の指示した用法用量を守り、安全な使い方をするように心がけましょう。

  当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。

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