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強力ポステリザン軟膏の効果と副作用とは【使い方もしっかり解説】

<監修薬剤師 藤沢 淳司>

トイレ 

痔になったことのある人にとっては、「強力ポステリザン軟膏」という座薬はよく聞く薬ではないでしょうか。

 

効果の高い座薬ですが、実はステロイド成分が配合されているということもあり、長期連用は避けるなど使用する際にはいくつか注意すべき点があります。

 

今回はその強力ポステリザン軟膏をとりあげ、作用や副作用について解説します。

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強力ポステリザン軟膏とは

 

強力ポステリザン軟膏は医療機関での処方が必要な座薬の一種です。

 

痔の治療薬であり、大腸菌死菌浮遊液とヒドロコルチゾン2つの成分を配合した薬です。

 

一般的には1日1回~3回注入または塗布して、注入する場合は1回で使い捨てます。1960年代からある座薬ですが、現在でも医療現場ではよく処方される薬です。

 

強力ポステリザン軟膏は、痔(正確には痔核と言います)や切れ痔(正確には裂肛(れっこう)と言います)による肛門部の炎症症状(痛み、かゆみ、腫れ)や出血を抑制したり、肛門部からの感染症を防ぐ効果があります。

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強力ポステリザン軟膏の特徴的な3つの作用

 

強力ポステリザン軟膏は大腸菌死菌浮遊液とヒドロコルチゾンという2つの成分が配合された軟膏薬です。

 

2つの成分の相乗効果によって、患部の炎症症状を抑え、回復を促進し、さらに患部からの感染を防ぐという働きがあります。

 

2つの成分について、以下にもう少し詳しく述べます。

 

大腸菌死菌浮遊液

大腸菌死菌浮遊液とは、死滅した大腸菌が浮遊している液体のことで、

 

①傷の回復を促進する働き(創傷治癒促進作用)、

 

②傷口から細菌やウイルスなどが侵入して感染症を起こすことを防ぐ働き(感染防御作用)があります。

 

①についてですが、傷が回復していく過程で新しい肉芽(にくが)が形成されることが必要となります。大腸菌死菌には肉芽形成作用があることが分かっています。

 

②についてですが、痔ができる直腸や肛門には腸内細菌が存在するため、この部分に痔(傷)があると細菌感染を起こしやすくなります。

 

そこで大腸菌死菌浮遊液による感染防御作用によって、二次感染を防ぐことができます。

 

ヒドロコルチゾン

ヒドロコルチゾンはステロイド剤です。ステロイド剤は強さによって5段階に分類されますが、ヒドロコルチゾンは最も弱いV群となります。

 

ステロイド剤には、③患部の炎症を抑える働き(抗炎症作用)があります。

 

炎症とは痛み(疼痛)、腫れ(腫脹)、赤み(発赤)、熱(熱感)を持つという4つの症状を指すため、ステロイド剤にはこれらの症状を抑える効果があります。

 

ステロイド剤は炎症に対して優れた効果を発揮しますが、連用による免疫抑制作用(抵抗力を低下させたり、回復力を低下させます)があるため、すで患部から感染を起こしているようなケースでは、かえって悪化させてしまうため使えません。

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強力ポステリザン軟膏で排便の負担軽減

 

強力ポステリザン軟膏に限らず、軟膏剤には傷口に油性の膜を張り、傷口を様々な刺激(固い便が通るという物理的刺激、

 

下痢の際に量が増える粘液などの化学的刺激)から保護するという目的があります。

 

そのため、肛門から注入することで直腸内の粘膜に軟膏の膜を張って滑らかにし、固くなった便でも通過しやすくなります。

 

また、下痢によって荒れた直腸粘膜がさらに刺激を受けるのを防いでくれます。つまり、便秘であっても下痢であっても、排便時の負担を軽減する効果が期待できます。

 

強力ポステリザン軟膏は痔のこんな症状に効果があります

 

強力ポステリザン軟膏は痔だけではなく、以下に述べる4つの状態についても効果を発揮します。

 

共通しているのは、患部の炎症を抑えて、感染を予防し、傷の治りを促進するということです。

 

痔や切れ痔に伴う症状を改善する

見出し1でも触れましたが、痔(痔核)や切れ痔(裂肛)による炎症症状(痛み・腫れ・かゆみ)や出血を改善する効果があります。

 

肛門部手術の傷の回復を促進する

肛門部の手術、例えばいぼ痔(正確には内痔核(ないじかく)と言います)や直腸脱(肛門から直腸が出てしまっている状態)など様々なものがあります。

 

こういった肛門部の手術後の傷(創部)からの感染症を防ぐ目的で、強力ポステリザン軟膏が使われることがあります。

 

肛門周辺の湿疹や皮膚炎を改善する

肛門周辺に便が残っていたり、汗などの刺激によって湿疹やかぶれ(皮膚炎)を起こすことがあります。

 

ここでも、強力ポステリザン軟膏の作用によって、かゆみや赤みなどの炎症症状を改善することができます。

 

軽い直腸炎の症状を改善する

直腸炎とは大腸の一部である直腸内の粘膜に炎症が起こった状態を言います。

 

クローン病や潰瘍性大腸炎といった腸の病気、クラミジアなどの性感染症が原因となることもあります。

 

直腸の炎症症状を改善するために、抗生物質が処方されることもあれば、強力ポステリザン軟膏が使われることもあります。

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強力ポステリザン軟膏の正しい使い方

 

肛門から注入する場合

通常、強力ポステリザン軟膏は1日1回~3回、肛門部から注入します。2gの軟膏が小さなチューブに入っているため、1回の使用で全量を注入してしまい、使い捨てとします。

 

肛門に適量を塗布する場合

肛門部に塗布する場合は、同じく1日1回~3回使用します。軟膏の効果を高めるためには、患部に薄く塗り込むのではなく、

 

たっぷりと乗せるように付けるようにしましょう。

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副作用の少ないお薬です

 

見出し2でも述べたように強力ポステリザン軟膏に含まれるステロイド成分は弱く、

 

 

また飲み薬や注射薬のように全身に作用するものではないため、ステロイド特有の副作用は少ない薬です。

 

ただし、肛門部から注入する軟膏薬であるため、少ないながら肛門部や直腸のかゆみ(掻痒)や不快感、便意を誘発することがあります。

 

持病のない大人であれば、長期連用をしなければ安全性の高い薬と言えます。

 

ただし、免疫力が低下している大人(妊婦や高齢者など)や免疫力が未熟な子供の場合は注意が必要です。

 

また、すでに肛門部や直腸に感染症や真菌症(カンジタなど)を起こしている場合は症状を悪化させるため、強力ポステリザン軟膏を使用できません。

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痔のセルフケア方法

 

痔には、強力ポステリザン軟膏などによる薬物療法と並行して生活改善も重要となります。ここでは、痔のセルフケア方法について述べます。

 

痔の原因とは

痔になる主な原因は、①便秘、②下痢、③飲酒、④冷えや長時間の同一姿勢による肛門部の血流の低下、⑤ストレスです。

 

便秘の改善方法

便秘が原因となって痔を引き起こすことがあります。痔を繰り返さないためには、便秘そのものを悪化させないようにしましょう。

 

食事によって便を柔らかくするために、水分や食物繊維を多めに摂ることが大切です。水分は1日1.5リットル程度を目標とします。

 

普段あまり水分を摂る習慣のない人や苦手な人は、3度の食事にスープや味噌汁を追加すると良いでしょう。

 

その際に、食物繊維が多く含まれる野菜や海藻、きのこ類をたっぷり入れたスープ・味噌汁にすることで、水分と一緒に食物繊維も摂ることができ、一石二鳥です。

 

運動不足の状態が続くと腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下し、便秘を招きやすくなります。

 

軽めの散歩やストレッチ、自転車をこぐといったちょっとした運動でも良いですし、雑巾がけや風呂掃除といった家事も効果的です。

 

下痢を改善するために

脂っこいもの、辛いもの、多量飲酒は腸に負担がかかり下痢を招きやすくなります。

 

普段の食生活で心当たりのある人は、こういった食事や飲酒量を見直すようにしましょう。

 

肛門部の血流を改善するために

全身が冷えていたり、長時間同じ姿勢(立ちっぱなし、座りっぱなしなど)をとっていると、肛門やその周辺の筋肉がこわばって血流が滞り、痔を悪化させます。

 

可能な範囲で姿勢を変えるよう心がけましょう。また、毎日ぬるめの湯船にゆっくり浸かって全身を温めるのも効果的です。

 

精神的ストレスがあると全身の血流の低下を招きます。入浴、睡眠、運動など自分なりの体を労るストレス解消法を持ち、こまめに実施するようにしましょう。

 

その他のセルフケア方法

肛門部の清潔を保ち、過度な刺激を避けることも痔の改善には大切です。トイレットペーパーで力任せに拭き取ること、何分もいきむことは避けましょう。

 

痔になりやすい人はウォシュレット機能を利用し、洗浄してから優しく拭き取ることをお勧めします。

 

また、1回の排便時間は5分までと決め、頑固な便秘がある場合は上手く下剤や緩下剤を併用することも必要です。

  当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。

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