ふくらはぎがつる驚きの原因【5つの治し方で解放されよう】
<監修医師 田中 恵文>
夜、寝ている時などに突然足がつって痛みにもんどりうった経験、皆さんにもありませんか?
足がつるのは筋肉が急激に収縮・痙攣することが原因であり、主にふくらはぎに起こりやすいことから、ふくらはぎの別名である「こむら」に因んで一般的には「こむら返り」と呼ばれています。
こむら返りは誰にでも起こりうる症状ですが、時に重大な病気が潜んでいる場合も少なくありません。
ここではふくらはぎがつる原因と治し方、予防方法について徹底解説していきます。
気になる所から確認してみよう
ふくらはぎがつる原因
筋肉疲労
夜中寝ている時にふくらはぎがつる場合、主な原因としては筋肉の疲労が挙げられます。
過度の運動はもちろんのこと、運動不足や加齢などにより筋力が低下していると普段通りに生活しているだけども筋肉が疲れ、足がつりやすくなります。ふくらはぎがよくつるという方は一度自分の生活を見直してみることをおすすめします。
水分不足
筋肉疲労同様、ふくらはぎがつる原因になるのが水分不足です。
水分が不足すると栄養を全身に行き渡らせることができなくなり、慢性的に筋肉が緊張している状態になりやすくなるため、ふくらはぎがつる原因となってしまいます。これを防ぐためには毎日しっかり水を飲むように心がけることが大事です。
血行不良
血行が悪くなると栄養が全身に行き渡らなくなり、水分不足のときと同じように筋肉が緊張している状態になりやすくなるため、ふくらはぎがつる原因になる場合があります。
血行不良の主な原因としては慢性的なストレスや体の冷えなどが挙げられるので、ストレスや冷えを感じている人はそれらを改善するような生活を心がけるようにしましょう。
電解質異常
「電解質異常」とは体内のカルシウムやマグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラルイオンのバランスが崩れることをいいます。ミネラルイオンは筋肉や神経の働きを調整する役割があるため、ミネラルバランスが崩れると神経異常などの悪影響が起こるので注意が必要です。
主に大量の汗をかいたり、下痢や嘔吐などで脱水状態になった時に起こることが多いですが、アルコールを排泄する際にも体内のミネラルが一緒に排泄されてしまいます。
飲酒をする時にはカリウムなどのミネラルが多く含まれる食品をとるようにするとよいでしょう。
ミネラルと身体の関係についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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妊娠
妊娠中は胎児や羊水の重さがすべて足と腰にかかってくるため、少し歩いただけでも筋肉が疲労しやすくなります。
また妊娠中は胎児に多くの栄養素が使われるため、栄養不足の状態になりやすいため、ふくらはぎがつる原因になる場合が多いです。
ふくらはぎがつる以外の症状があるときは病気の可能性も
ポイント こむら返りは健康な人にも起こるが、頻繁に痙攣が起きる場合は重大な病気が潜んでいる可能性があるため、次のような症状がないかもチェックしてみてください。
手足のしびれ、喉の渇き
手足のしびれや喉の渇きがある場合、糖尿病を発症している可能性があります。
糖尿病のように血糖値が高い状態が続くとミネラルバランスに乱れが生じるため、足がつりやすくなるので注意してください。
むくみ
足のむくみを伴う場合、肝臓疾患や腎臓疾患よるものである可能性があります。これらの疾患により体内に毒素がたまることでミネラルバランスが崩れ、こむら返りが起こりやすくなります。
また足に静脈瘤がある場合も血行が悪くなり、栄養が行き渡らなくなるため、むくみを伴うこむら返りが起こりやすくなるようです。
静脈瘤についてはこちらを見て参考にして下さい。
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腰痛、坐骨神経痛
腰痛や坐骨神経痛のある人は椎間板ヘルニアや変形性腰痛症、脊柱管狭窄症などにより腰椎が変形している場合が多いです。この状態になると腰から下の筋肉が硬直したような状態になるため、ちょっとした動きでも足がつりやすい状態になります。
主に40代以上の人に注意してほしい症状ですが、最近では姿勢の悪さが原因となって若い人でもなることが多いので、心当たりのある方は医師の診断を受けることをおすすめします。
歩行困難
歩行困難の症状がある場合は「閉そく性動脈硬化症」の可能性が考えられます。
閉塞性動脈硬化症とは動脈硬化により手足の血管が狭窄・閉塞して血液の流れが悪くなり、手足にさまざまな障害があらわれる病気です。
血液の流れが悪くなると栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、ある一定の距離を歩くとふくらはぎがつったり締め付けられて痛むようになります。
閉塞性動脈硬化症は進行すると心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中の原因にもなるため注意が必要な症状です。
ふくらはぎがつってしまったときの治し方
ポイント ふくらはぎがつった場合はまず楽な姿勢になって痛みが引くのを待つことが大事です。
ストレッチ
ふくらはぎがつった時にはつま先を持って足を反らせるストレッチが有効と言われています。
ただしつった状態で無理に筋肉を伸ばそうとすると余計な負担がかかり、筋肉を傷める危険があるため、必ず痛みや痙攣が治まってから行うようにしてください。大事なのは筋肉をゆっくり伸ばすようにストレッチを行うことです。
ストレッチについてはこちらも見て参考にして下さい。
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マッサージ
ふくらはぎがつった時は痛みが治まってからふくらはぎを揉んだり揺らしたりしてマッサージするのも効果があります。
ただし力を入れて激しくマッサージするとふくらはぎの筋肉が刺激されて再びつってしまう可能性があるため、あくまでも優しくマッサージを行うことが大事です。
またマッサージを行う際はふくらはぎだけではなく、すねや足の裏などを一緒にマッサージすることによって筋肉が緊張状態から解放されやすくなり、筋肉痛や違和感が早く改善されるといわれています。
テーピング
テーピングを行うことでふくらはぎに過度な負担がかかるのを防ぐことができるのでふくらはぎがつるのを予防できます。
テーピングのやり方としては
✅ まず足首を直角にして、かかとの下からひざの裏に向かってまっすぐに1本目を貼ります。
✅ 次にひざの内側に向けて、かかとの下で1本目と重なるようにV字に2本目を貼ります。
✅ 最後に同じくかかとの下で1本目、2本目と重なるようにひざの外側に向かって3本目を貼っていきます。貼り終ってテープが下向きの矢印のようになっていればOKです。
ただしテーピングをする際にシワやたるみがあると十分な効果が得られないことがあるので、テープの張りが一定になるように注意しながら貼るようにしてください。
また市販のこむら返り用のサポーターや靴下もふくらはぎをしっかりホールドでき血行も良くなるのでおすすめです。
温湿布
血行不良もふくらはぎがつる原因の1つのため、温湿布で足を暖めるのも有効な手段といえます。
冷湿布で冷やすという人も多いが、冷やすことで血行不良が悪化してさらに足がつりやすい状態になるため、湿布を使う場合は絶対に温湿布を使うようにしてください。
ツボを押す
人体のツボのなかには足がつりにくくしたり、つった時の症状を和らげるツボもあります。
足がつった時に効果的と言われているツボとしては両足の小指の付け根の少し外側にある「通谷(つうこく)」やアキレス腱の延長線上にある「承山(しょうざん)」などが挙げられます。
これらのツボは自分で押すだけでも効果がありますが、症状が酷い時には鍼灸院で治療を受けるのもおすすめです。
ふくらはぎがつらないための予防法
ストレッチやマッサージを行う
急に筋肉を動かすことがふくらはぎのつる原因となるため、運動前にしっかり準備運動としてストレッチを行うことが大事です。
ストレッチには筋肉をほぐす効果があり、血行を促すこともできます。ポイントとしてはゆっくりと時間をかけて筋肉を伸ばすようにすることが大事です。一気に伸ばそうとすると逆に筋肉を傷めたり肉離れを起こす場合があるので注意してください。
またストレッチは運動後のクールダウンに行うのもおすすめ。この時マッサージも併せて行うとさらに効果を高めることができます。
水分をしっかりとる
水分が不足すると血行不良により足がつりやすくなるため、日頃から水分をしっかりとるようにすることが大事です。
また水分補給にはリンパの流れを良くしたり、老廃物の排出を促して体の新陳代謝を良くする効果も期待できます。
ミネラルを一緒に補給できるミネラルウォーターを飲むのがおすすめです。
お風呂にしっかり入る
血行不良はふくらはぎのつる原因になる場合も多いため、お風呂に浸かってゆっくりと体を温めるのも有効な対策といえます。
入浴する時間がない場合は足湯で足を温めるだけでも効果がありますが、温度が下がりやすいのでお湯を足しながら温めるようにしましょう。また入浴剤やアロマオイルを加えるとリラックス効果も期待できます。
漢方薬やサプリメントを利用する
こむら返りの予防にはマグネシウムやカルシウムなどのミネラルが含まれているサプリメントや血行改善に効果があるビタミンDやビタミンB群が摂取できるサプリメントがおすすめです。
また漢方薬では筋肉の緊張や収縮を抑制してくれる効果のある「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」などもあります。
ただし治療中の病気などがある場合は服用をする前にかかりつけの医師に相談するようにしてください。
その他の筋肉痛の治し方についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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