りんご病の大人の症状が怖すぎる【むくみや関節痛で眠れない】
<監修医師 春田 萌>
今回はりんご病に大人がかかることで、どのような症状があるのか、またその対処法について解説していきます。
りんご病とは
子供によく見られる病気で、正式には「伝染性紅斑」と言います。まず、頬が赤くなり、手足にレースカーテンのような赤い発疹が出て、時には体中に広がります。
紅斑が出ることで風疹や発熱、のどの痛みを伴う溶連菌感染症と間違われることや、膠原病の全身性エリテマトーデスがあげられますが、この症状は蝶が羽を広げたように赤く腫れるのが特徴で、時々激しい痒みに襲われるそうです。
重症化する恐れがあるので正しく検査して医師の診断を受けることが必要です。
りんご病の発疹はかゆみを伴うことが多く、約1週間で1度消えますが、その後も日光や運動によって、出たり消えたりする症状が3〜4週間程度続きます。
顔が赤くなるのが特徴ですが、1週間〜10日前に微熱・鼻水・咳・頭痛・腹痛・筋肉痛・下痢・嘔吐などの風邪症状が出るのも特徴です。
この時はウイルスが血液中で最も増えた状態で、感染力が強い時期となります。
原因は「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスで、このウイルスは、保持者の唾液や痰などで人へ感染する飛沫感染と皮膚や手すりなどを触ることで感染する接触感染、また輸血から感染することもあるので献血をする際は控えたほうが良いでしょう。
インフルエンザや水疱瘡のように強力な感染力を持っているわけではないので、流行はあまり見られません。
ごくまれに、脳炎・脳症・心筋炎・関節炎・中耳炎などの合併症を引き起こすことがあります。先天性の溶血性貧血、免疫不全の子供がかかると症状が重症化します。
りんご病は一度かかると終生免疫ができるので再度感染しない病気です。60歳以上の高齢者は、80%以上が免疫を持っています。
ワクチンはないため、りんご病を発症しないと抗体を作ることはできません。抗体があるかどうか内科や産婦人科で検査することができます。
りんご病と間違えやすい溶連菌感染の症状との違いについてはこちらを見て参考にして下さい。
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溶連菌感染症【子供の症状チェック】発疹を見逃さないで!
大人と子供のりんご病の違い
大人の約50%がりんご病の免疫を持っていると言われています。りんご病にかかった場合、頬などに紅斑が出ないため自覚症状はありません。
発症したら体の発疹の症状は子供より長く、3週間ほど続くこともあります。また高熱、頭痛、全身倦怠感、関節痛、腰痛、筋肉痛、むくみなどを伴い重症化することが多いです。
また、膠原病やリウマチといった重い病気と間違えられることがあったり、意識障害や嘔吐を伴う激しい頭痛が起きたりする場合もあります。
長い期間続くため、精神的に追い込まれてしまい、うつ状態になる人もいるそうです。入浴をして体が温まると痒みがぶり返すことがあり、我慢できず掻きすぎて出血します。
そして関節痛がひどいと後遺症となる場合があります。その際は整形外科や異常がないのであれば指圧・鍼・灸を受診してみると良いでしょう。
子供の場合、両頬が赤く染まり、赤いりんごのように見えます。急を要する症状は見られないですが、症状が急に変わるようであれば救急にかかる必要があります。
この症状は1~4日で急速に消えていきます。その後、体の四肢や背中などに発疹ができ、最初はまばらだったものが次第に融合して網目状、地図状の紅斑となります。
この症状は数日~1週間ほどで消えていきます。また、子供に発症することが多い病気として手足口病が挙げられます。この症状も飛沫感染、接触感染が原因となっています。
大人と子供の最大の違いは、関節炎を伴うかどうかです。病気との見極めが難しいようで、血液検査をする必要があります。
この関節炎は2〜3日間ほどで治る場合がほとんどなので、りんご病と分かってもすぐに治ってしまいます。
特に注意が必要な妊婦さん
りんご病が原因で感染者が死亡することはほとんどないですが、妊娠期間中に感染すると胎児死亡などが発症します。
ヒトパルボウイルスが感染するのは赤血球の元の細胞である赤芽球という細胞です。この細胞をウイルスが壊していくことで一時的に赤血球を生産できなくなります。
そして母体が感染すると胎盤を通して胎児に感染し、胎児の赤血球がどんどん減少し、重症の胎児貧血となります。
貧血が進むことで胎児はむくみがひどく、胎児水腫といった状態になると奇形児となって生まれてくるか、死亡してしまう恐れがあります。
また日本では、りんご病が流行した2011年に厚生労働省が初めて全国調査を行ったところ、むくみ、心不全、貧血などを引き起こし70%の胎児が死産、流産しています。
母体感染から2週間~17週間後に胎児に影響が出てくるので長期にわたる管理が必要となります。
正常な免疫力をもつ妊婦さんであれば紅斑や関節痛が出現した後ではウイルスを排出していないので、周囲への感染源となる可能性は低くなりますが、念のためマスクを着用することや手洗いをして対策をとる必要があります。
そして、妊婦の場合りんご病の他に、はしかやおたふくかぜも同じく注意が必要です。
はしかについてはこちらを見て参考にして下さい。
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りんご病の4つの対処法
自然に治るのを待つ
りんご病に対するワクチンはないため、発疹やかゆみを抑える薬やステロイド系の抗炎症剤、軟膏、解熱剤、座薬などを投薬する対症療法を行いつつ、完治するまで安静にして自然治癒を待つことが大切です。
腸内環境を整え免疫力を上げる
人間の免疫細胞は腸に70%あると言われているため、腸内環境を整えることが大切です。以下の方法で腸内環境を整えることができます。
✅ 発酵食品(ヨーグルト、みそ、乳酸菌飲料など)を摂取する
✅ 暴飲暴食をしない、睡眠をよく取るなどの生活習慣を整える
✅ ストレスを減らす(趣味や音楽を聴くなど)
✅ 運動をする(毎日20分のウォーキングなど)
腸内環境の改善についてはこちらを見て参考にして下さい。
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腸内フローラの改善!【3つの食事療法を試してみてスッキリ!】
うがい・手洗いの徹底
手についたウイルスから接触感染することもあるため、正しくうがい手洗いをすることが必要です。
正しい手洗いの方法は以下の通りです。
✅ 流水の下で15秒以上洗う
✅ 細菌が残りやすい指先や指の間、手首までしっかりと洗う ✅ 手を拭くタオルは清潔なものを使い、個人用のタオルがあると良い ✅ 手洗いの後はアルコール消毒する |
そして正しいうがいの方法は以下の通りです。
✅ はじめに手洗いをする
✅ 水を口に含んだら、口全体をゆすぐ
✅ 口のゆすぎが終わってから喉のうがいをする
✅ うがいをする際は「おー」と声を出す
✅ 水の冷たさがなくなるまでする
マスクを着用する
感染予防にはまずマスクを着用することを基本にしましょう。りんご病は飛沫感染するため、感染者の唾液や鼻水を口や鼻の粘膜に付けないようにすることが大切です。
りんご病は潜伏期間が20日前後あるので、その間、街中を歩いていればウイルスをまき散らしていることになります。特に妊婦はどこに外出するにも絶対にマスクを着用しましょう。
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