カビ毒の8つの症状【種類や除去方法を分かりやすく解説】
<監修医師 田中 恵文>
「カビ」どのようなイメージがありますか?
食パンに生える「カビ」、浴室に生える「カビ」……
高温多湿の日本ではちょっとの油断が「カビ」の発生をおこしますね。カビは胞子で増殖します。この増殖により作られた胞子は風・水・場合によっては人間。これらの手段を使い他の場所へ運ばれてまた増殖を繰り返します。
このカビは湿度が70%以上の環境で増え始めます。ですが、このカビも私たちと同様に酸素がないと育たないのです。ほぼ殆どのカビには10~30度の温度を必要とします。
このことからカビの増殖には栄養源、水分、温度、酸素の4つの条件によってカビのタイプの影響を埋めるのです。しかしこの「カビ」のおかげで美味しくいただける「食品」もあります。
つぎにあげる食品はこの「カビ」の働きを使って作られるものものです。
✅ かつお節
✅ 甘酒
✅ 醤油
✅ みそ
✅ みりん
✅ カマンベールチーズ
これ以外にも沢山の食品がありますね。ですが、みなさんもご存知とおり良いことばかりではありません。
「カビ毒」というものをご存知でしょうか?
カビが作り出す化学物質で人や家畜に健康被害をきたすものを「カビ毒」といいます。また、「マイコトキシン」と表す事もあります。
今回はこのカビ毒の様々症状や種類・除去方法をわかりやすく解説いたします。
気になる所から確認してみよう
カビ毒の症状
まずは、このカビ毒によってどのような症状がでるのかお話いたします。一般的にカビの生えたものを誤って摂取した場合には「食中毒症状」としてあげられますが、「カビ毒」の場合事態はもっと深刻になります。
✅ 腹痛
✅ 下痢
✅ 吐気・嘔吐
✅ 血便
これらの症状に加え体内に入り込んだ「カビ毒」の種類によっては以下のような症状が表れるケースがあります。これらは命にかかわる事も症例として挙げられています。
✅ 肝障害
✅ 腎障害
✅ 消化器系障害
この3点は長期にわたり摂取してしまった際に発症するケースがみられます。
内臓機能の低下により発生する問題についてはこちらを参考にして下さい。
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✅ 癌の発症※
※アフラトキシンと呼ばれるものがとても強い発がん物質であるといわれています。
カビ毒の種類
現在、確認されている「カビ毒」は約300種類以上があります。とてつもない数ですね。ここでは、その中からいくつかの「カビ毒」を解説しましょう。
アフラトキシン
✅ 主に穀類や落花生、ナッツ類、トウモロコシや乾燥果実等に寄生しているアスベルギルス属(コウジカビ)の一部が※産生する「カビ毒」です。
大変強い発がん性物質という事がわかっています。但し、このアフラトキシンは天然の産物であり日本国内の農作物に関与している事はほぼありません。
主に亜熱帯エリアに存在する事がわかっています。輸入による事が多い。
※産生とは・・・細胞で物質が合成・生成される事。をいいます。
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オクラトキシンA
✅ コーヒー豆、豆類、小麦、大麦、等
肝臓や腎臓への毒性の障害がみられます。
バッリン
✅ 天災によりおちたリンゴに土の中にいるベニシウム属(アオカビ)等のカビが落下し傷ついた箇所から侵入し果物の中で増えバッリンを産生します。
このような状態のリンゴから作ったリンゴジュース等を摂取しカビ毒の被害にあうのです。
消化器官の充血、潰瘍の障害がみられます。
ステリグマトシスチン
✅ アスベルギルス属(コウジカビ)の一部が※産生する「カビ毒」です。
主に穀類などを汚染対象としています。このカビ毒では動物試験で発がん性が認められています。
このように、私たちの身体に大変な悪影響を及ぼすカビ毒ですが、そのほとんどが、国外からの輸入農作物に存在することがあります。
しかし、家庭でも保存状態が劣悪な場合にはこれらのカビが増殖し、カビ毒も共に増殖する事も予想されます。
カビ毒の除去方法
最後に「カビ毒」の除去方法ですが、実はこの「カビ毒」大変強いのです。
カビ毒は熱に大変強い
カビ毒は一般的な加熱(調理や商品加工)の温度、だいたい100~200度の加熱では完全に菌を分解する事は不可能なのです。(加熱時間を60分以内)
例えば、家庭で茹でる、炒める、炊く(麦等)の調理法を試みても全体の50~80%は食品にカビ毒が残ってしまします。また同時に調理に使ったゆで汁等からもカビ毒の10~15%が流出して残ってしまうのです。
すなわち、一般的な家庭での加熱処理では全く通用しないという事になります。
ではどうしたらカビ毒を避けることができますか?
カビ毒を持った食品を避けるためには次の事が大切です。
✅ カビが生えているものは食べない
✅ 虫食いがあるものは食べない ✅ 食べてみて苦いもの |
この3つが簡単に「カビ毒」の摂取を避ける方法だと思います。とても単純な方法ですがご家庭で取り入れる方法としてお勧めします。
その他、食品の保管状態によっては身体の害になるものもあります。くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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最後に
先ほどもご説明しましたが、カビ毒から身を守るためには
「カビの生えた食品は食べない」
また、予防策としても生もの等の生鮮物は早めにいただきましょう。
カビはその部分だけを削ってもあまり意味がありません。食品等の内部までカビの胞子が入り込んている事も考えられるからです。
カビの生えた食品は「ちょっとだからもったいない」と思うかもしれませんが廃棄をお勧めします。カビが生える前に美味しく頂く事をお勧めします。
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