便に赤いものや血の様なものが!【トマトや食べ物以外の原因は?】
<監修医師 田中 恵文>
毎日トイレに行って便をした時、素早く流していませんか?健康のバロメーターとも言われる“便”のチェックを見逃しているのでは?
もし、赤い便が出たら・・・そんな時の病気や原因を解説していきます。
気になる所から確認してみよう
手軽な健康チェック!観便のすすめ
毎日排便がある人も便秘症の人も、便の形や色・臭いで健康状態が色々わかります。「観便」をして、自分の健康状態をきちんと観察しましょう。
✅便の形
① 硬便(コロコロタイプ) → 甘栗のような形の便で、便秘の人に多い典型的なタイプの硬い便です。硬くて大きい便は排便の時いきむので肛門が切れて、切れ痔(裂肛)になりやすくなります。
② 硬便(兎糞タイプ) → ウサギの糞のような小さくてポロポロした便で、腸の緊張が不安定な状態を反映してます。ストレスが原因の過敏性腸症候群の疑いがあります。
③ 普通便(バナナタイプ) → 一番理想的な便で、バナナの色と形をした便が1~2本程度肛門からするりと出て、肛門を拭かなくても良いくらいの便です。健康状態が良く、食べた物の消化、吸収、排泄の仕組みが順調な事を証明している便という事になります。
④ 軟便(ペーストタイプ) → 排便の時の抵抗感がなくさっと出て、形は整っていますが、水を流す時に便器の中に便が広がり、ちょっと要注意な便になる可能性を秘めています。消化不良を起こしやすい脂肪分を多く含む食べ物の食べ過ぎに注意しましょう。
⑤ 水様便(泥水タイプ) → 水分が主体のシャーっと出る便(下痢)で、消化器が受け付けないものを一刻も早く出そうとするお腹の拒否反応の現れです。下痢が長時間続いたり、下痢と便秘が繰り返し起こる場合は、専門医に相談しましょう。
※便のチェックで、「この便ちょっと怪しいぞ」「いつもと違うぞ」と思う直感で、少しでも怪しいと思ったら、専門医(消化器内科)の診察を受けるようにしましょう。
✅便の色 ① 黄金色(茶色系統) → 便の色は、便の大腸通過時間で決まっており、短いほど明るい黄色で、長いとこげ茶に近づきます。黄金色から茶色までは健康な便と考えていいでしょう。
② 白色(灰色系統) → 人間ドックで造影剤のバリウムを飲んだ後の灰白色のような便が出たら、ウィルス性腸炎や海外からの帰国であればコレラなどの疑いもあるので、一刻も早く消化器系の専門医に診てもらうようにしましょう。
③ タール便(黒色系統) → 黒色の便は明らかに身体の危険信号で、血液は酸と接触することにより黒ずんできますので、食道や胃・十二指腸等の上部消化管からの出血が疑われますので、必ず専門医の診断を受けましょう。
④ 血便(赤色系統) → 赤色系統の便が出たら、すぐに専門医の診断を受けましょう。 鮮紅色や暗赤色の血液が混じった便を「血便」といい、殆どが大腸の病気になる出血で、水様性の便は食中毒や赤痢、潰瘍性大腸炎等、軟便や普通便の場合は、大腸がんが心配です。
但し、痔の場合もイチゴ色した鮮血が出ますので、先ずは専門医の診察を受けましょう。
✅便の臭い → 便の臭いの原因となっているのは、インドールやスカトール等のタンパク質が腸内細菌等により分解されたもので、タンパク質を多く含む食べ物を食べる人のうんちは腐敗が進んで臭くなります。
食生活が欧風化し、高たんぱく・高脂肪の食品を多く摂取するようになってきた日本人は、便まで欧風化し、益々強烈になってくるのではと言われています。
✅下痢気味や脂ぎった便 → 急性の水のような下痢便、泥水のような下痢便、血液や粘液が混じった下痢便等、下痢を起こす病気も色々あり、又、脂ぎった便や、便器内の水面に脂が浮いているような便であれば、 小腸の消化吸収が不良の状態で、膵臓の病気が疑われます。
✅いつもと違う便 → 便の色は多分に食べ物の着色料や食材そのものの色素、薬を服用した時や注射の時なども便の色が変わります。 いつもの便と違う異変を感じた時や、出血によるものか、食べ物のせいなのか、はっきりした理由がなくて赤色の便が出た時は、専門医の診断を受けましょう。 |
水下痢の場合はこちらも参考にして下さい。
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便の赤いものはトマトやこんな食べ物かも?
便が赤いのは、出血だけとは限りません。どんな食べ物で赤い便が出るのでしょうか。
野菜や果物
トマト、ニンジン、すいか、赤い着色料入りの食品などで便が赤くなる場合もあります。
飲み物
野菜ジュース、赤ワインなどを飲んで便が赤くなることがあります。
刺激のある食品
キムチ、唐辛子などの食べ過ぎで便が赤くなることがありますが、刺激物なので下痢を起こす場合もあるので注意しましょう。
健康便にするために
もし、便の色、形、臭いが毎日続く場合は、腸内は悪玉菌の温床となっているので、こんな時は“オリゴ糖”がお勧めです!善玉菌のエサとなってどんどん増やし、腸内環境を整えていき、便の状態も安定していきます。
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便に血?!5つの疾患に要注意
便に血?赤いうんちといっても、便やトイレットペーパーに少し付着している程度から、便器が真っ赤に染まるほど大量に出血している場合まで様々です。
痔
鮮血便(鮮やかな赤い便)が出た場合は、硬くなった便を排出する際に肛門が傷ついて出血している可能性が高く、「切れ痔」の状態です。
便器が真っ赤になるほど大量に出血している場合は、痔核(いぼ痔)が進行して排便と共に痔が裂けて出血したためだと考えられます。
このような出血を、排便が終われば止まったから良し!とはせず、肛門科などでしっかり検査、治療をしてもらいましょう。
痔についてくわしくはこちらも参考にして下さい。
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大腸がん
少し濁ったような赤いうんちが出る場合も注意が必要です。大腸がんを引き起こす原因は、肉類の摂り過ぎによる胆汁酸の分泌で、胆汁酸は脂肪の吸収に欠かせないものですが、腸内細菌の悪玉菌によって二次胆汁酸となり、これが発ガン性があります。
日頃のチェックは便を観察する事で、大腸がんにより腸内に出血が起こり、便が赤くなることがある為です。
虚血性大腸炎
大腸への血液のめぐりが悪くなり、必要な栄養分や酸素が行き届かなくなる為に大腸に炎症や潰瘍が生じる状態で、炎症や潰瘍が生じた部位から血液が出てくる為、便が赤くなります。
潰瘍性大腸炎
厚生労働省により、特定疾患に指定されている難病で、潰瘍性大腸炎は大腸に慢性的な炎症を起こす治りにくい病気で、粘っこい血便や腹痛を伴います。
症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気で、炎症により出血するので便が赤くなります。
症状についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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クローン病
潰瘍性大腸炎と共に、厚生労働省から特定疾患の指定をされている難病で、クローン病も慢性の炎症性腸疾患ですが、口から肛門まであらゆる消化管に病変が拡がる事があります。
もし、腹痛を伴う血便が出たら、炎症性腸疾患が疑われます。炎症が肛門に近い場合は便が赤く、十二指腸より上の上部消化管で起こっている場合は、黒い便になることもあります。
乳幼児の赤い便は危険
生後3・4ヶ月~1歳の子供が急にぐずったりして、イチゴゼリーのような赤いうんちをした場合は、腸重積の可能性があります。
腸重積は腸の中に腸が重なるように入り込んでしまい、組織の壊死(組織がダメになること)を起こした状態の事で、この場合、早急に治療を始めなければならないので、すぐに専門医の診断を受けましょう。
※便が出ていなくても、血液を肛門から排泄した場合は、下血と言います。下血が起こる場合、真っ赤な血が出る場合と、赤黒いもしくは真っ黒の血が出る場合があり、出血が起こる部位の違いによってみられる現象です。
痔など肛門周辺の出血であれば鮮血便となり、食道・胃・十二指腸等上部消化管の出血であれば黒色になり、これは胃液や膵液、腸液等の消化液の作用によるものです。
又、鉄剤の薬やサプリ、肉類を多量に摂取しても便が黒くなることがあり、このあたりの精査は、医師にチェックしてもらいましょう。
小腸や大腸の事は下部消化管と言い、出血している部位が下部消化管になると、胃液や膵液と混ざりきらないまま下血に至る事もあるので、その場合は赤黒い便もしくは血が出てきますので、便の赤さの明暗でも出血部位を特定する指標になります。
消化管での出血は緊急事態ですので、早期発見・早期治療の為にも、便の色の変化があれば早めに専門医を受診して相談しましょう。
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