クレアチニンを下げる食事療法!【他の方法と合わせて確認】
<監修医師 まっちゃん>
健康診断などで年を重ねるほど色々な数値が気になるところではありますが、「クレアチニン」という数値を意識されている方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?
実はクレアチニンはわたしたちが生きていく上で、絶対に気にしないといけない目安になります。それは低すぎてもいけないし、高くてもいけない、非常に健康に重要な数値なのです。
今回はクレアチニンの高低がどのように身体に影響するのか、また改善できる方法はないかをご紹介します。
最近健康診断の結果が帰ってきた方は是非参考にされてみてください。
気になる所から確認してみよう
クレアチニンとは?
クレアチニンとは血清クレアチニンとも呼ばれ、筋肉を動かした後に出てくる老廃物の一種です。
人の身体を動かすための必要なエネルギー源としてアミノ酸が使われますが、そのアミノ酸の一つにクレアチンという成分があります。
そのクレアチンが筋肉運動で使われ代謝されて発生するのがクレアチニンです。
名前が似ていますが、車で例えるなら「クレアチンはガソリン」、「クレアチニンは排気ガス」という全く別ものの物質だということを覚えておいてください。
身体の中のクレアチンのほとんどは骨格筋内に存在し、そのうちの6割ほどは、リン酸化したクレアチニンリン酸として存在しているそうです。
クレアチンの体内量について例を挙げますと、体重が70kgの成人の場合、約120~140gくらいだそうです。
そして1日で約2gのクレアチンが代謝されクレアチニンとなって、尿の中に含まれて体外へ排出されます
ここで大事なポイントが、クレアチニンは身体に吸収されないまま、産出された分だけ尿によって体外へ排泄され、その際は必ず腎臓を通過するということです。
腎機能は正常に働いていれば、糸球体という器官が血液をろ過して体内の老廃物や不要なものは尿として排出する大切な臓器になります。
つまり、もし何らかの要因で腎機能に障害が発生しているとしたら、糸球体でろ過しきれないまま血液の中に再吸収されてしまうため、血液検査などでクレアチニンの濃度を計測することで、腎臓のろ過機能力を知ることができるということです。
さらに、筋肉内で生成されるクレアチニンの量が少なかったりする場合も、筋肉の病気を発症している可能性があるということなので、筋肉の病気を調べるのにもクレアチニン量を測ることがあります。
クレアチニンはただの老廃物ではなく、病気を知るための必要な目安ということなのです。
クレアチニンが下がってしまう原因
クレアチニンの濃度基準値よりも低い場合、何が原因で起こるかご存知ですか?
「高くなければ大丈夫なんじゃないの?」と思われる方も多いですが、クレアチニンは低くても怖い病気の可能性がります。
クレアチニンの数値が低い場合は、腎臓よりも筋肉のほうが正常な代謝が行われていない可能性があるため、筋肉に関する疾患が原因でクレアチニンが下がっていると考えられるのです。
筋ジストロフィー
筋ジストロフィーとは、その人の体の筋肉が萎縮し徐々に減っていく病気の総称です。
たしかな原因はいまだ医学的にも解明されていませんが、病気の進行は個人差があり、遺伝性の病気であることがわかっています。
クレアニチンの血液中の濃度は筋肉と比例しているため、検査の結果でクレアニチンの濃度が低いと筋肉自体が減っているということになり、筋ジストロフィーが原因である危険性もあります。
筋委縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)
筋萎縮症側索硬化症は難病のひとつとして認められている病気で、脳や末梢神経から発せられる命令を筋肉へと伝える運動神経細胞が、何らかの要因によって働かなくなる疾患のことをいいます。
脳から筋肉を動かすはずの信号が伝わらなくなってしまうことから、手足が動かしにくくなってしまったり、筋肉がやせ細っていったりとした症状が見られます。
筋肉の運動が困難になるため、クレアチンの代謝もなくなり、クレアニチンが発生せず濃度が低くなってしまうのです。
多発性筋炎
筋肉の炎症が発生してしまう病気のことを言います。原因不明の脱力感や疲労感があり、体に力が入らず、いざ動こうとすると筋肉に痛みが走る症状が多いようです。
筋肉だけにとどまらず皮膚にも症状があらわれる場合、「皮膚筋炎」と呼ばれ、消化器官や関節、腎臓、心臓などにも障害が出てくることもある非常に危険な病気です。
さらに数値が低い場合は、命にかかわる危険な状態であるといえますのでクレアニチンの数値が低いからといって決して安心はできません。
健康診断などで測定したクレアニチンの数値に異常があった場合はそのまま放置せず、必ず医師の診断を受けるように対処を行ってください。
クレアチニンが上がることで出てくる症状
クレアニチンの基準値は男女別に決まっており、筋肉量の関係で女性よりも男性の方の値がやや高めで設定されています。
正常値の(数値の)単位は男性が0.6~1.1mg/dl、女性が0.4~0.8mg/dlです。
しかし、もしその基準数値から2mg/dl以上高くなっていると、それは腎機能の働きが落ち込み、腎臓に関する病気に患っている可能性もあるということなのです。
クレアニチン数値が高い場合に考えられる病気については、以下のようなものがあります。
急性腎炎と慢性腎炎
現代の成人がかかる腎臓病のなかでも、一番多いのが「急性腎炎」と「慢性腎炎」という病気です。
主にあらわれる症状には、悪寒・ふるえ・高熱・脇腹の痛み・むくみや血尿、タンパク尿などの特徴があります。
何らかの細菌やウイルスに感染したあとに発症しやすいのが急性腎炎で、比較的軽症の場合が多く、投薬や食事療法の必要性があることもありますが、たいていは安静にしていれば回復するそうです。
対して長期にわたり糸球体に炎症が起き続ける慢性腎炎になってしまうと、少しずつ腎機能が確実に低下していきます。
しかも慢性腎炎のやっかいなところが、急性腎炎に比べると回復が難しく、一度罹患してしまうと治りにくいということ。
もしクレアチニンが10mg/dl以上の数値に上昇してしまったときは、人工透析が必要となり、日常生活に困難が生じてしまう場合もあります。
急性腎不全と慢性腎不全
腎炎などの病気にかかって、腎臓で血液をろ過している糸球体の網の目が詰まるようなことが起こると、腎臓の機能自体が低下して老廃物を十分に排出できなくなっていまいます。
このような状態のまま腎臓の働きが正常時の30%以下にまで低下してしまったときのことを、腎不全と呼ばれているのです。
この腎不全にも急性のものと、慢性化してしまったものとがあり、急性の場合の腎不全は、適切な治療を施していれば回復の見込みも望めます。
しかしながら、長い間徐々に腎機能が衰えていく慢性腎不全の場合は、一度かかってしまうと、腎機能は完全に回復することはないと言われているのです。
さらに、かなりの長期間にわたり腎機能の働きが失われていくため、腎臓にどのような障害が現れるかは、個人差によって異なり、治療法も異なり様々なものがあります。
尿毒症
尿毒症とは、腎不全の末期とも言える症状で、腎機能の低下で起こる症状のことを言います。
腎臓の働きには老廃物の排出の他に、水分の調整やホルモンの分泌という役目もあるのですが、尿毒症になってしまうと、こういった腎機能のすべてが阻害されるのです。
この症状が悪化してしまうと、必要な排泄、ホルモンバランスの影響など非常に身体にとって危険な状態になるため、早急な処置を行いましょう。
その他にも腎臓に関する病気はさまざまありますが、見過ごされることも少なくありません。
それは血清検査などで数値の異常が現れてもほとんどの場合、自覚症状があまりないためです。
しかし、一度患ってしまうと完治させることが大変難しい疾患でもあります。
血液と尿の中に含まれているクレアチニンの量を調べて、それぞれ両方を比べることで腎臓がどの位のレベルで機能しているかを調べる検査、クレアチニンクリアランスなどの定期検査をしっかりと受け、医師の指示に従って悪化を防ぎましょう。
クレアチニンを下げる食事方法
クレアチニン数値が高い場合、それを下げる方法として一番有効なのが、腎機能に負担をかけないような食生活の見直しが大切です。
腎臓のみで排出されるクレアチニンなどの排出量を減らすためには、塩分の摂りすぎ、魚や肉だけでなく、イモ類やご飯などにも含まれるタンパク質の摂取も控えなければなりません。
ただ、少量のタンパク質でも身体の中で有効に活用されるように、エネルギーとなる糖分や油類なども不足しない程度に摂取しましょう。
偏りのないバランスの良い食事を心がけるのが一番です。腎臓に負担をかけない食材などもご紹介しまうので、参考にされてみてください。
魚介類や海藻類を食べよう
✅ イワシ・ブリ
✅ シジミ・牡蠣
✅ ひじき・昆布
など、魚介や海藻類の食材は腎臓に良い食べ物です。特に、シジミには腎臓に良いといわれるオルニチンという栄養素が豊富に含まれています。
ひじきと昆布も尿酸を溶かして排出する働きがあるため、非常におすすめの食材ですので、積極的に食べるようにしてください。
野菜と食物繊維を摂ろう
にんじんやトマトなどに含まれるカロチンやビタミンA。鉄、カルシウムなどをたっぷりと含んだ緑黄色野菜なども腎臓には大変良いといわれています。
また、腎機能を強化すると認められているゴマ、キャベツや、にんにく、ホウレン草なども腎臓の働きを助けてくれる食べ物として知られています。
食事は三食バランス良く、野菜を多めにして低タンパクの食事にするよう心がけてください。
食事は洋食よりも和食
ハムやベーコンなどの加工食品、手軽な市販の調理済みの食品や冷凍食品などは塩分やタンパク質も非常に高いため、腎臓のことを思えばあまりおすすめできません。
また、主食の量を少し見直し、出来るだけ減らしてみましょう。パンやお米にもタンパク質が入っているため、食べ過ぎてしまうと腎臓に負担がかかってしまいます。
また、肉や魚は控えつつ、野菜を多く摂るよう心がけてください。
つまり、一番身体に優しい食事は塩分を控えめにした、さっぱり薄味の和食を自分の手で作ることが一番です。
最近では低タンパクの料理レシピなども多くあり、少し工夫するだけで制限のある食事でも満足できるものとなります。自分だけのアレンジレシピを考えるのも楽しいかもしれませんよ。
その他のクレアチニンを下げる方法
食生活の改善以外にも、生活の中でできる改善方法はいろいろあります。自分でできることから、ひとつずつ積極的に取り組んでみましょう。
適度な運動を取り入れる
脂肪が蓄積して身体の機能に著しく影響を及ぼす肥満は、糖尿病や高血圧を招きやすく腎機能に負担をかけてしまいます。
適度な運動は身体機能を高め、内臓の働きや血液の循環も良くしてくれます。
自分の身体にあった無理のない運動トレーニングを心がけて肥満にならないよう注意しましょう。
生活習慣の見直し
食生活はもちろんですが、睡眠不足や喫煙や飲酒は、腎機能への影響が非常に高いものの代表と言えます。
腎臓の機能が悪くなり、腎臓病はもちろんのこと、がんなどの重大疾病を患う危険性もあるため、自分の身体を考えるなら出来る限り控えたほうが最善です。
難しいところもあるかもしれませんが、食事の時間と寝る時間はしっかりと決め、メリハリのある生活へ少しずつ変えていきましょう。
漢方薬を活用してみよう
漢方薬は身体の機能を向上させることを目的として遠い昔から活用されており、副作用があまりないことも特徴です。腎臓の働きを高めてくれる漢方薬も多くあります。
五苓散(ごれいさん)
むくみや、尿の排泄が悪いときに服用します。ネフローゼ症候群などを治療する際によく処方される漢方薬としても知られており、利尿作用があり、体の中の水分を排出する働きがあります。
体の中の水分が一定量になると腎機能は休まるため、効果が高い漢方薬です。
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小柴胡湯(しょうさいことう)
甘草が配合されおり、副腎皮質ホルモン作用や抗炎症作用など、カリウムの降下作用も持っています。
しかし甘草は低カリウム血しょうを引き起こすおそれもあるため、服用するにあたり医師の診察や説明、注意が必要となります。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血気味の女性や、むくみに悩んでいる女性などによく処方される漢方薬で、貧血予防に効果があります。
その他、足腰や手足の冷え、尿量の減少、倦怠感などの症状に処方される漢方薬です。
医薬品には頼りたくないけど効果の高い処置をしたいという方は、まずは漢方薬から始めてみてはいかがでしょうか。
漢方薬は漢方薬局や医療機関、薬局などでも扱っていますから、自分の症状と照らし合わせて適切なものを選びましょう。
サプリメントを活用してみよう
仕事などが忙しい人のために、手軽で簡単にできる方法としてサプリメントがおすすめです。そのなかでも、
1. ノコギリヤシ
2. ペポカポチャ
など、クレアチニンの上昇を抑えてくれる効果が高いものがあります。近くの市販の薬店には必ず一つはあるので、ぜひお試しされてみてください。
まとめ
クレアニチンの数値が高い場合、下げる方法は一番は食事療法になります。押さえておきたい主なポイントとしては、たんぱく質をとりすぎないこと、塩分は控え目にすることです。
ただ、現実問題として、食生活をすぐに改めるというのは、ライフスタイルが多様化した現代人にとっては難しい問題ですよね。
けれど今は市販の薬局や、通販などで腎臓の働きをサポートしてくれるサプリメントや健康食品が多くあります。
今すぐには無理でも、将来の身体を考えた生活スタイルを徐々に変えていくのも良いかもしれません。
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