スルピリド錠50㎎の効果まとめ【副作用を病気別に解説!】
<監修薬剤師 SKFC>
スルピリド錠50㎎には、胃腸の病気に効果のある「消化器系用剤」と、うつ病やうつ状態における諸症状に効果のある「中枢神経系用剤」の作用がある、とてもユニークなお薬です。
スルピリド錠50㎎の用法用量や効果、考えられる副作用などを解説していきます。
スルピリド錠50㎎の効果
スルピリド錠50㎎の効果
スルピリド錠50㎎の効果は主に、
✅ 不安や緊張などの精神の不安定な状態を抑える働き
✅ 胃腸の血液の流れを増やし、粘膜を修復するともに、胃腸の運動を良くする
などの働きをし、その主な効果として下記の5つがあげられます。
1.胃潰瘍
2.十二指腸潰瘍
3.統合失調症
4.うつ病
5.うつ状態
うつ病かどうかの判断についてはこちらも参考にして下さい。
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作用と効果
ヒトの感情というのは脳で感じる為、心の病気というのは脳の神経伝達物質に異常が起こっている状態で、統合失調症の方は、ドパミンという神経伝達物質が過剰になっています。
ドパミンは、“脳の興奮や幻覚”に関わる物質として知られており、多くなりすぎると幻覚や幻聴等の症状が現れる為、統合失調症を発症している人は、ドパミンの働きを弱めれば良いことが分かります。
脳内で放出されたドパミンは、ドパミン受容体(D受容体)に結合することでその効果を発揮します。
その中でも精神症状にはD2受容体が大きく関与しており、消化管のD2受容体を阻害すると、アセチルコリンと呼ばれる“消化管の運動を活発にさせる物質”が放出されるようになり、これによって胃や小腸の働きが活発になります。
その結果、消化管粘膜の改善や運動機能の活性化によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状が改善されます。
うつ病の場合、ノルアドレナリンやセロトニンの量が減っていることが原因とされており、脳内の神経伝達物質を増やすように作用しなければなりません。
これらのことから、スルピリド錠50㎎は、服用する事によって様々な症状の緩和が期待されることがわかり、症状によって服用する量が違い、それぞれの効果を表します。
用法・用量
スルピリドは、症状によって処方される量が違います。又、殆どの場合、飲み始めると14日で効果が現れる即効性があると言われています。
✅ 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
通常成人1日当たり3錠(150㎎)を3回に分割経口投与。尚、症状により適宜増減する。
✅ 統合失調症
通常成人1日当たり6~12錠(300~600㎎)を分割経口投与。 尚、年齢・症状により適宜増減するが、1日24錠(1,200㎎)まで増量可能。
✅ うつ病、うつ状態
通常成人1日当たり3~6錠(150~300㎎)を分割経口投与。 尚、年齢・症状により適宜増減するが、1日12錠(600㎎)まで増量可能。
※ 飲み忘れた場合は、気づいたら出来るだけ早く飲み、次に飲む時間が近い場合は1回飛ばして、絶対2回分を一度に飲まないようにしましょう。
※ 誤って多く飲んだ場合は、医師又は薬剤師に相談しましょう。
※ 医師の指示なしに自分の判断で飲むのを止めないようにしましょう。勝手に飲む量を減らしたり止めたりすると、耳鳴り・しびれ・めまい・ふらつきなどの「離脱症状」を起こす場合があります。
スルピリド錠50㎎の副作用
人によって副作用の発生傾向は異なり、副作用が必ず起こるものではありませんが、一般的な副作用や起こる可能性のある重大な副作用は下記の通りです。
重大な副作用
(1)悪性症候群
・ 無動緘黙、〔身動きしない、しゃべらない〕
・ 筋強剛〔強い筋肉のこわばり〕、身体の硬直
・ 嚥下困難
・ 頻脈
・ 血圧の変動
・ 発汗
・ 発熱
(2)痙攣
(3)QT延長、心室頻拍
(4)無顆粒球症、白血球減少
(5)肝機能障害、黄疸
(6)遅発性ジスキネジア 〔長期投与により、口周部等の不随意運動が現れる〕
(7)肺塞栓症、深部静脈血栓症 〔息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫〕
上記の様な症状が現れた場合は、服用を中止して医師に相談し、適切な処置を行いましょう。
黄疸の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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黄疸の症状を新生児と大人で分けて解説【末期がんとも関係してるの?】
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の場合の副作用
✅ 内 分 泌 ; 月経異常、乳汁分泌、男性女性化乳房、乳房腫脹、勃起不全
✅ 錐体外路症状; パーキンソン症候群、舌のもつれ、焦燥感 ✅ 精神神経系 ; 不眠、眠気、めまい、ふらつき ✅ 消 化 器 系 ; 口渇、胸やけ、悪心、嘔吐、便秘 ✅ そ の 他 ; 熱感、倦怠感、発疹、浮腫、性欲減退 |
統合失調症、うつ病、うつ状態の場合の副作用
✅ 心・血管系 ; 血圧下降、心電図異常、血圧上昇、胸内苦悶、頻脈
✅ 錐体外路症状; パーキンソン症候群、ジスキネジア、アカシジア
✅ 内 分 泌 ; 乳汁分泌、男性女性化乳房、月経異常、射精不能、乳房腫脹、
✅ 精神神経系 ; 睡眠障害、不穏、焦燥感、眠気、頭痛、頭重、めまい、浮遊感、興奮、躁転、躁状態、しびれ、運動失調、物忘れ、ぼんやり、徘徊、多動、抑制欠如、無欲状態
✅ 消 化 器 系 ; 悪心、嘔吐、口渇、便秘、食欲不振、腹部不快感、下痢、胸やけ、腹痛、食欲亢進
✅ 肝 臓 ; AST(GOT)、ALT(GPT)、Al-P等の上昇
✅ 皮 膚 ; 発疹、そう痒感
✅ 眼 ; 視力障害、眼球冷感・重感、眼のちらつき
✅ そ の 他 ; 体重増加、浮腫、脱力感、倦怠感、排尿困難、性欲減退、頻尿、腰痛、肩こり、熱感、発熱、発汗、鼻閉
その他、スルピリドの副作用の特徴として、他の抗うつ薬で起こる副作用が少ないのに対して、高プロラクチン血症という副作用が起こる場合があります。
プロラクチンとは、乳汁を分泌するホルモンの事で、プロラクチンを分泌する脳の部位を刺激して血液中のプロラクチンの量を増やし、高プロラクチン血症になる可能性があります。
このように、異常が発生した時は服用を中止し、医師の適切な処置を受けましょう。又、上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
スルピリドのメリット・デメリット
<メリット>
✅ 即効性がある
✅ 食欲が上がる
✅ 興味や意欲が改善する
✅ 吐き気などの副作用が少ない
✅ 心理的に服用しやすい
<デメリット>
✅ うつ症状が重い方には効果が不十分
✅ 胃薬や統合失調症治療薬としては、効果がマイルド ✅ 高プロラクチン血症(乳汁分泌、生理不順、性欲低下など)が多い ✅ 錐体外路症状(ソワソワ・震えなど)が見られる ✅ 効果のマイルドさ ✅ 副作用の多さ |
スルピリド錠50㎎はこんな症状に効く!
スルピリドには、胃薬・抗うつ剤・統合失調症治療薬の3つの効果が期待出来、胃薬や統合失調症の効果は、ドパミンを抑える作用があるためであり、抗うつ剤の効果は、ドパミンを増やす効果があると考えられています。
効果が期待出来る症状
<胃薬>
・胃腸の病気があるわけではないけど、食欲不振の方
<統合失調症治療薬>
・気持ちが安定している方
<抗うつ剤>
・落ち込みやイライラのある方
・症状がそこまで重くない方
・吐き気がある方
・食欲減退の方
・興味や意欲が低下している方
・新しい抗うつ剤で効果があと一歩の方
・即効性を期待したい方
などの症状がみられる方に効果があると思われます。
無気力な状態の原因は様々に考えられます。こちらも参考にして下さい。
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使用上の注意
✅ 妊娠およびその可能性がある方は、治療上必要な場合に限り使用するお薬です。
✅ 母乳授乳中の方は服用量などの配慮が必要ですので、医師に相談しましょう。
✅ 他の安定剤やパーキンソン病の薬、吐き止めの薬などとの飲み合わせに注意しましょう。
✅ 飲酒により薬の作用が強く現れることがあるので、服用中の飲酒は控えた方が良いです。
✅ 今までに薬の成分に対し、過敏症やアレルギーの既往歴のある方は注意が必要です。
✅ この薬を使用中は、眠気・めまい・ふらつきなどが現れる場合があるので、車の運転や高所での作業、機械の操作など、危険を伴う作業は避けた方が良いでしょう。
※ 禁 忌
下記の方は、原則としてこの薬を使用出来ません。
✅ スルピリド錠50㎎の成分に対し、過敏症の既往歴がある方
✅ プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者 〔 抗ドパミン作用により、プロラクチン分泌が促進し、病態を悪化させるおそれがある 〕 ✅ 褐色細胞腫の疑いのある方 〔 急激な昇圧発作を起こす恐れがある 〕 |
※ スルピリドは「一般名」で、他にも主成分が同じ薬、先発品と後発品(ジェネリック医薬品)があります。
≪先発品≫
✅ アビリット錠50㎎
✅ ドグマチール錠50㎎
✅ ミラドール錠50
≪後発品≫
✅ スルピリド錠50㎎「CH」「TCK」「サワイ」(TYK) ✅ マーゲノール錠50㎎ |
≪その他、主成分が同じ薬≫
✅ スルピリド錠50㎎「アメル」
✅ スルピリド錠100㎎「アメル」「トーワ」「サワイ」(TYK)
✅ スルピリド錠200㎎「アメル」「トーワ」「サワイ」(TYK)
✅ スルピリドカプセル50㎎「TCK」「イセイ」「トーワ」
✅ スルピリド細粒10%「アメル」
✅ スルピリド細粒50%「アメル」
✅ アビリット錠100㎎
✅ アビリット錠200㎎
✅ ドグマチールカプセル50㎎
✅ ドグマチール細粒10%
✅ ドグマチール細粒50%
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